目覚め始める欠片6
そっとエイリーとユニの背に手を回し、伝える。
「エイリー、ユニ?私の我儘、聞いてくれる?私を馬車から出してほしいの。」
そう伝えるとエイリーがバッと私を見つめ、ダメだと言う。もちろん、そう言うだろうことは理解している。だから優しく諭すようにまた伝える。
「危険なのは分かっているわ、でもね?皆が守ってくれるように、私もエイリーやユニ、殿下を守りたいの。十歳の令嬢の言葉じゃ意味は無いのも分かってる。」
一拍置いて、続ける。
「私には闇属性の魔法が使えるの。この戦いを終わらせられるような、皆を守れるような力。…私だって怖いわ、でもエイリー達が怪我をしてしまったりする方がもっと怖い。…だから、ね?」
それでもエイリー達は私を抱きしめて離さない。ユリウスの命を受け、守り抜こうとしているのが痛い程に伝わってくる。それは心も抱きしめられる力からも。本当はこの腕に甘えていたい、守られる方が怖さはない。でもそれではいけないのだ。
戦える力があって、誰かを守れる力があって。誰かを犠牲にして生きる、なんて考えたくない。それが自己満足で、偽善であったとしても。だから―――。
「お願い。これが今考えうる中で、一番最善なの。無事に戻ってくるから。」
言い終わると同時に、外から声がかかる。声を聞いて、エイリーとユニが力を弱める。その人物は良く知った声で話す。




