初めてを繰り返して3
夕方に差し掛かるだろう時刻になった頃に、今日泊まる予定の街へたどり着く。雰囲気としては王都のように活気があるが、人はやはり少ない。地方になるから当然であるが、時刻的にはまだ人がいてもおかしくはなさそうなのだが…。そこまで考えて一つ気付いた。
「殿下、この街は男性の方が大分少ないように思えますね。まだお仕事をされている時間なのでしょうか?」
そう、男性がかなり少ない。通りで店を出している店員も女性がほとんど。街に入ってから見た男性は、この街の警備隊くらいであとは見かけなかった。出稼ぎに出ていたとしても、街の活気さを思うと異様である。それとなくユリウスに問うと、ユリウスも同じことを思っていたようで頷いた。
「ここに至るまでいくつか街を抜けたが、同規模の街と比べても少ないな。…この時間帯なら帰宅しているだろうに。」
二人で考えながらいれば馬車が止まった。おそらく宿に着いたのだろう、すぐに御者がこちらへ来て扉を開けた。ユリウスが先に降り、馬車の扉のすぐ近くで立って待っている。私を見つめるものだから早く降りねば、と思い立ち上がり降りようとすれば。
スッと手が差し出される。差し出してきたのはユリウス。あまりにも自然に差し出されたものだから、戸惑う暇もなく手を取っていた。私が降りやすい絶妙な高さのおかげで、すんなりと降りれた。今になってエスコートされたんだ、と思いユリウスに感謝を伝える。
するとユリウスは微笑みを浮かべる。
「当然のことだ、気にしなくていい。それに私が君をエスコートしたかっただけだ。」
サラッと言うと彼は御者と何か話をし始める。
どうしても比べてしまうが、同じエスコートでもやはり違う。ヨハネスだって当たり前のように手を差し出してはくれた、でもどこか強引さを感じさせる。他の令嬢なら喜ぶのだろうが、私は違う。ユリウスの手を取るかどうか委ねてくれる優しさの方が嬉しい。単純にヨハネスが怖いからだけかもしれないが。でもだからこそ、相手をしっかりと見てくれるユリウスだと安心出来るもの。
そんなことを思うと恥ずかしくなって、顔を少し俯かせた。その視界の中にユリウスとまだ繋いでいる手が入ってくる。それだけでまた顔が赤くなっていく感覚がする。離した方がいいだろうか、なんて考えるが自分から離すのはマナー的にはよろしくない。それにユリウスに言おうにも何と説明したら良いものか。堂々巡りをしていれば思い出す。
(殿下は友人として私を丁重に扱ってくれているのに…)
この得体の知れない思いを抱くのは失礼ではないか。そう思い始めると何故か気持ちが落ち込んでしまう。反省していれば、俯いた視界の中に影がスッと差し込んできて顔を上げる。影の正体はユリウスで、心配そうに見つめる。
「大丈夫か?やはり慣れない旅で疲れたんだろう、今日は早目に休むとしよう。」
ユリウスは手を繋いだまま、そのまま宿の中へ入り私が泊まる部屋の前まで連れて行ってくれた。そこでずっと繋がれたままだった手が離れる。




