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闇の令嬢、愛を思い出す  作者: 雨音祭
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初めてを繰り返して2

「あの…話の途中に申し訳ありません。アルカートの滞在は長いのに、アーデストまでの期間が短いように思うのですが…。」

素直に疑問をぶつければ、ユリウスは頷き答えてくれる。

「クレアの言う通り短くしてある。アルカートの滞在を長くしてあるのは、疲労を残さないためだ。この国を出たら道が険しく、天候も変わりやすい場所を通るから、早く通り過ぎたい。それに…。」

理由は大方想像していたので間違ってはいないようだ、だがユリウスが言葉を区切ったのが気になる。それ以外にも理由があるのだろうか。ユリウスの言葉を待っていれば、あまり言いたくなさそうにしながらも教えてくれる。

「…ならず者が出てくる場合がある。私も護衛の者達も、実力があるから心配はないが…万が一がある。用心しておくことに越した事はないと思ってな。」

怖がらせるようなことを言ってすまない、とユリウスから謝られてしまう。謝られるようなことではない、むしろ聞けたことで感謝しているくらいだ。知っているのと知らないのでは取れる行動が変わってくる。それにそもそも一週間半というのも私がいるからなのだろう。ユリウスだけであったならもっと早く抜けていくだろうことが予想出来る。だからこそ自分の身くらいは自分で守らねば、と心で思う。

「殿下、謝っていただくようなことではありません。私自身も注意を出来るようになるのですから、お話いただけて助かりました。ありがとうございます。」

流石に自分で対処が出来る、とは言わずにおいた。理由は簡単で闇魔法が危険だから。闇魔法は幻覚や精神に作用する支援系魔法もあるが、基本的に攻撃系の魔法が多い。お茶会でリリアーナが放った火の球を消したのは支援系魔法なので害はないが、攻撃系だと魔力の調整を間違えると辺りが消し飛ぶ可能性がある。それに加え、闇は総じて威力が高い。魔法にはいくつかランク分けをされており、Ⅰ〜Ⅴの五段階のカテゴリがあるのだが、Ⅰは生活魔法、Ⅱが初級、Ⅲが中級でⅣが上級。Ⅴは超級でいわば奥義みたいなもの。闇魔法を当てはめると、初級レベルで他属性のⅡ〜Ⅲ、中級か上級近くの威力がある。実戦で使った事がない私では被害を増やしてしまうだろう。だから対処はあくまでも支援系のみのつもりで話した。

だがユリウスは戦いに参加すると思ったのか、立ち上がって私の手を取った。

「大丈夫だ、君を危険な目になど合わせない。必ず守り切るから安心してくれ。」

そう言って安心させるように手を包んでくれる。ユリウスの手は陽だまりのような、優しい感じがしてホッとする。ヨハネスがエスコートした時は怖くて早く離れたかった。もちろんヨハネスを恐れていたからなのもあったが、それでも全く違う。ユリウスの優しさが伝わってくる。…ずっと繋いでいてほしいくらいに。

この思いを友人としていかがなものか、と思っていればユリウスが私を見つめているのに気付く。心の内を悟られないよう、慌てて返事をする。

「殿下や護衛の方々に守っていただけるのに、不安などありません。…ですがお怪我をされないかは心配ですが…。」

そう心配事を話すとユリウスはフワッと優しく微笑む。

「それこそ大丈夫だ、護衛は精鋭揃いだし、私も鍛錬を怠らない様にしている。…まぁ、何もなく抜けられれば問題ない。」

そうですね、と微笑みを返せば、安心したようにユリウスの手が離れ席に戻っていった。繋がれていた手の寂しさを少しだけ思ったが、気持ちを切り替えようと再び外を眺めた。

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