初めてを繰り返して1
家族に想いを告げてからどれだけか馬車に揺られていた。太陽は既に傾き始めている頃合い。見慣れた王都の景色から随分と離れ、道は舗装されているものの辺りはのどかな、緑が風に揺れているのが分かる景色の中。
「これから長旅になるが、大丈夫か?なるべく休憩をとりながら進む日程ではあるが…。」
そう心配してくれるのは私の向かい側に座る、今から向かうアーデストの王太子、ユリウスである。私を気遣ってくれるのは以前のお茶会の時に、王都やすぐ近くの領地以外に出たことがない、と言ったことを覚えてくれているのだろう。ユリウスは些細なことも当然のように覚えていてくれる。
そんな彼に心配させないよう、微笑みを浮かべ返事をする。
「お気遣いありがとうございます。景色が素敵で疲れは感じていません。…無理はしません、何かあれば言うようにします…。」
最後に付け足したのは、ユリウスが本当か?と更に心配そうな顔をしたからである。実際に疲れは全く感じていない。普段の王都の賑わいと違う、心安らぐような風景に見惚れてここまであっという間だった。出発した時はユリウスと一緒の馬車に乗ると思っていなかったから緊張したが。それも気付けば解れて景色を楽しむ余裕があるくらいである。
私の顔を見て言葉に偽りがないと分かったのか、ユリウスは表情を緩め絶対に言ってくれ、と念を押してきた。ここまで気遣ってくれるユリウスこそ大丈夫だろうか?と心配になってしまうが、長旅に慣れていると言っていたことがあったから大丈夫なのだろう。休憩もこまめに取るとのことだったし、問題ないだろうと思い直し、再び外の風景を楽しんでいるとユリウスから再び声がかかる。
「すまない、日程の話をまだしていなかったのを思い出した。予定だが、これから一週間程かけてアルカートを出る。そこから一週間半でアーデストへ入る予定だ。」
忘れないようしっかり聞いていれば、ふと疑問が出てきた。アルカートを出るのに一週間、出てからアーデストまで一週間半…。アルカートの王都から普通に行けば、アルカートを出るのに四日あれば十分。反対に出てからは道が険しい所もあるし、距離がありユリウスの言う日程だと厳しいはず。なのに一週間半でアーデストに入る…。あくまで知識として知っているだけだから、実際は近道があったりするから短いのだろうか?




