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闇の令嬢、愛を思い出す  作者: 雨音祭
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深愛 -アリアスside- 5

あのお茶会は結果として良い方向へ向かった。

家族や従者達には変わらない表情を浮かべるが、手紙のやり取りとユリウス・アーデストとの茶会を頻繁にしている。

(クレアにとって心を落ち着けられるのでしょうね)

そう思うと寂しくもあり、誰にも言えない事を独りで悩む時間が少なくなるのは嬉しかった。

クレアとユリウスが茶会をするようになってから一ヵ月ほど経つ頃、クレアがユリウスから提案を受けた茶会の早朝にウェルトとアリアスは驚きの手紙を受け取る。

差出人はアルカート王国の王。王から茶会や夜会の招待状以外に送られてくることは少ないため、訝しみながら封をあけ読む。そこには色々と綴ってあったが要約するとこんな感じだった。

『カレンティス公爵家の娘、クレア・カレンティスに対して隣国アーデスト王国の王太子がある申し出をしている。話が必要だと判断したので早急に王宮へ赴くように。』と。

読み終わるや否やウェルトは、侍従に急いで王宮へ向かう支度をせよと伝える。

準備が整うまでウェルトとアリアスの間は沈黙が流れていた。互いに様々な事を考えていたが全ては推測の域を出ないから、何も言えなかった。

侍従が呼びに来て思考を一旦止め、二人とも急ぎ気味で馬車へ乗る。そこで漸くウェルトへと話かける。

「ウェルト…。陛下は…クレアをどうするつもりなのかしら…。アーデストからの申し出、というのも気になるけれど…。」

それは手紙を読んでからずっと抱いていた疑問であった。クレアは闇属性、それも国一の魔力を誇る。

そんな国を守る剣とも、国を滅ぼす業火になりえる者を手放すだろうか。陛下は国を守るためならば、大を守るためならば小の犠牲を厭わないのなら。クレアは――。

その不安を拭うようにウェルトは答えた。

「それを決めかねたからこその話だ。ユリウス王太子殿下の申し出は分からないが、クレアを守れるのは私達だけだ。」

そう言ってウェルトは手を伸ばし、膝の上で握りしめていたアリアスの手を包む。

(そうね…私が弱気ではクレアを守れない。なんであれあの子を守らねば!)

見えない不安に揺らいだ心を立て直し、前を見据えた瞳に光が強く宿った頃。

ついに王宮へと着いた。ここからは戦場だと言わんばかりに気を張り巡らせる。王宮の騎士に連れられ謁見の間へと通された。

(謁見の間…ということはユリウス殿下も見えるはず)

アリアスはユリウスが来ることを強く願った。娘を欲している理由が知りたいから。

人の思考は言葉以外にも様々なところで出てくる。

視線が泳いだり、返事が早いなど手紙だけでは読み取れないことがたくさんあるのを、身をもって知っている。

だからこそ見極めたい、あの子が幸せになれるのかを。

ウェルトと視線を交わし、互いの思いを確認し合う。終わると同時に陛下とユリウスが入ってきた。

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