アルストロメリアを心に飾って4
あれこれ話しているうちに日も傾き始めた為、今は馬車に揺られながら帰宅している最中である。馬車は家族四人で乗っていおり、会話も途切れることなく交わし合っている、一人を除いて。
会話に参加していない、いや参加出来ないのは初めてのピクニックに大はしゃぎをして、疲れ切ったのか馬車に乗り込んだ途端眠り始めたサイサスだ。すぅすぅと寝息を立てながら、渡しと母の向かい側、父の隣で父に体を寄せながら寝ている。
「あらあら、サイサスったら。楽しくてはしゃぎすぎたのね。ふふっ…可愛い寝顔だこと。」
母は本当に可愛くて仕方ない、と言わんばかりの優しさと愛しさを込めた眼差しで見つめていた。父も横で眠るサイサスが苦しくないよう、そっと体勢を変えながら話す。
「あそこまで興味を持ってもらえるとは思わなかったな。あれこれ聞いてくるから、私も楽しくなってついつい歩き回ってしまったよ。」
父は昼食後もサイサスを連れて森の中や湖で色々教えていたらしい。帰る頃にはサイサスは船を漕ぎ始めていたくらいだったから、親子で楽しんでいたのが伝わってきた。
私も母と花冠を作ったりして大いに楽しんだ。
「クレア?貴女も少し眠そうね。着いたら起こしてあげるから寝ていいのよ?」
流石は母である。私もさほど体を動かしてはいないにしても、少し疲れてはいる。だが母の言葉に首を振り、大丈夫と伝える。
正直言えば眠くて寝てしまいたい。だけどここで寝てしまうには勿体無い気がした。暫く見れなくなるだろうアルカートの景色を、家族の姿を一秒でも多く覚えていたい。ただそれだけが理由。
両親も何となく思いが伝わったのか、眠くなったら寝なさい、とだけ言い会話を続ける。両親の会話に加わりながら、窓から景色を眺めていれば、父から呼ばれる。
「そういえばクレア。話は変わるが、出発の準備は済んだか?アリアスと一緒に準備をしているとは聞いたが…。」
これに関しては準備は万端である。決まった翌日からすぐに取り掛かり、元々荷物が少なかったこともあって早い段階で済んでいる。服も自前の物と新しく購入したもので間に合ったから心配はない。そのことを伝えると。
「そうか…。何か手伝えることがあれば、と思っていたが流石はクレアだな。」
そう言い、手を伸ばし私の頭を撫でてくれる。本当に私の家族は気持ちが顔に出やすくて困ってしまう。だけど私を思ってくれているのが分かるから、嬉しくもあって。
温かい思いを抱えながら、その後も馬車に揺られ続けた。




