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闇の令嬢、愛を思い出す  作者: 雨音祭
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予測出来ないのが世界3

唐突に起こったことで困惑しすぎて忘れていたが、お茶会に参加するつもりなのか。

一体何のために?面白そうだとは言っていたが普通のお茶会しかしていない。それに今日のお茶会は特別なものなのだ、正直言って邪魔にしかならない。

(…なんでこの日に限ってこんなことが起こるのかしら…)

軽く溜息が出てしまった。しまった、とヨハネスをチラッと見るが気付いていない様子。バレなくて良かったと思うのといっそバレてエスコートをやめてくれないかしら、と同時に思ってしまう。

そもそもだが、ヨハネスが同席することをユリウスが良しとするのだろうか?国同士のことになるから許可する可能性は十分にあり得る。でもユリウスも重要なお茶会だと思っていてくれたなら、断りそうな気もする。

結局胸の中でモヤモヤが解消されないまま、ユリウスの部屋へと着いてしまった。部屋の前にはユリウスを護衛する騎士が立っており、軽く挨拶をする。

「カレンティス公爵令嬢様、お待ちしておりました。殿下は中でお待ちですので、どうぞお入りください。」

「ありがとうございます。失礼しますね。」

この一ヵ月で騎士とも顔見知りになっており、招待状の確認は免除されているため直ぐに入室が出来る。が…。

「失礼ですがヨハネス殿下。カレンティス公爵令嬢様のエスコートには感謝いたします。しかし本日の茶会は招待状が必要ですので、申し訳ありませんが…。」

そう、未だにエスコートをしているヨハネスが横にいるので入室が出来ない。私としては今すぐにでも離れてほしい、というか帰ってほしい。王族に対して失礼なのは重々承知だが、関わりたくない。今日出会ってからずっと生きた心地がしていないから。

そんな思いなど露知らずのヨハネスは騎士に告げる。

「そうか。ならばユリウスへ許可を取ってきてくれ。邪魔はしないと約束しよう、と。」

邪魔はしないと約束するなら帰ってほしい。騎士は渋々ドアをノックし、中へ入っていく。…まだ待っていなければいけないのか。家族と思いを固め、それを伝えるために来たというのに上手くいかない。

不満を募らせていれば、ドアがガチャっと音を立て開く。

ユリウスからなんと言われたのだろうか、と気になり開いたドアを見ればそこにはユリウスがいた。

(えっ?ユリウス殿下が何故?…相手が王子だから騎士ではダメだと判断されたのかしら?)

ユリウスは部屋から出てきて私を見て微笑む。

「クレア嬢、待たせてしまい申し訳ない。さぁ、中へ入って。」

促され入ろうとするがヨハネスのことはどうするのだろうか、と思いユリウスを見る。ユリウスは微笑みを保ったままヨハネスに向き合った。

「ヨハネス、彼女をエスコートしてくれて助かった。…もう彼女の手は離してもらって大丈夫だ。」

そう言い切るとヨハネスと繋がっていた私の手を取り、中へ招き入れてくれた。ヨハネスからユリウスへ手を取る相手が変わっただけで気持ちが安らいだ。ソファに私を座らせ「ちょっとだけ待っていて。」と伝え、ヨハネスの方へ歩いていく。

「ヨハネス、茶会に参加したいと申し出たそうだな。本来であれば断るが…、今日の茶会ではアルカートにも関わる話をするつもりだ。参加は認めよう。だが茶会での会話に口を挟むこと、またこの茶会での会話を他人に話すのは許さない。それが条件だ。」

ユリウスははっきりとした声で告げる。ヨハネスが参加する条件は簡潔に言えば、いないものとしてなら良いということ。外部に話すことを禁じたのも、良からぬ企みをする貴族を警戒してのことだろう。まぁ、急遽参加しようとしたのだ、仕方ないんじゃないだろうか。

「…分かった。では中へ失礼する。」

納得してなさそうなヨハネスだが、参加する方が大事だったのだろう、特に文句も言わず入室してきた。迷わず私が座るソファへ向かって来るが、すぐにユリウスから声がかかる。

「ヨハネス、申し訳ないが君の席はそこではなくこちらだ。」

示したのはドアに近い、私から見て左斜めにある一人掛けソファ。ユリウスは何が何でもヨハネスをただの空気として扱いたいのが窺える。ユリウスはきっと私と向かい合う位置、机を挟んだ向こう側のソファに座るだろう。話をするのが私とユリウスだけだから必然的に視線も互いしか映らない。本来なら二人だけのはずで、大切な話をするためのお茶会なのだから気持ちはよく分かる。ただヨハネスも王子としてのプライドがあるだろう、この扱いを良しとするかだが…。

「…ユリウス、条件は守る、が席は自由でもいいだろう。一応は客になるのだぞ。」

やはり良しとしなかったらしい。だがユリウスは冷たく言い放つ。

「招いてはいない筈だが?こちらの要望に応えぬなら貴殿を除き、茶会を終えたあとに理由を教えてやろう。」

そこまで言われたらヨハネスも何も言えない。招かれていないのは事実、邪魔をしないと約束もしたのだ。ユリウスが邪魔だと判断したら従うほかない。

苛つきを顔に見せながらも渋々ヨハネスは一人掛けソファに着いた。

それを確認するとユリウスも席に着き、お茶会が始まる。

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