予測出来ないのが世界2
父の武勇伝とも言えるような話を聞いていたら、いつの間にか王宮へ着いたらしい。馬車が止まり、御者が扉を開けてくれたことで気付いた。存外、女子会というものは楽しかった。浮き足立っていた気持ちもちゃんと落ち着いている。
御者に手を借り二人とも馬車から降りる。
「あっという間だったわね、こんなに楽しかったのはいつぶりかしら。…それじゃあクレア、私はここで一旦別れるわね。終わったら侍女に伝えてちょうだい、私のことは気にしなくていいから。ユリウス殿下に貴女の気持ちをしっかりと伝えてらっしゃい。」
「はい!ありがとうございます!お母様行ってまいります。」
母の気遣いに感謝しながら軽くカーテンシーをし、ユリウスが待つ部屋へと王宮仕えの従者に連れられ歩き始める。
ここ最近はよく来てはいるが、やはり広くて少し疲れる。でもその疲労よりこれからのことが楽しみで仕方ない。おかげで足取りは軽かった。だが――。
「その色はカレンティス公爵の娘か?王宮への呼び出しは無かったと記憶しているが。何用だ?」
後ろから聞こえてきたのは…あの感情を伴っていないのに、氷のように冷たくナイフのように刺さる声だった。
「…っ!ヨ、ヨハネス殿下、ご機嫌よう。本日はユリウス殿下にお茶会に誘われ参りました。」
声の主はヨハネス殿下。振り向きカーテンシーと挨拶をする。どうにか動揺は抑えられたと思う。それでも手汗は滲むし、立っているだけで限界。視線など合わせられそうにもない。
カーテンシーのおかげで顔を合わせずにいられるがどうしたものか。
「姿勢を戻すと良い。…ユリウスとの茶会と言ったな?では今向かっている最中だったか。」
殿下から姿勢を戻せと言われれば従うほかない、とりあえずは視線は合わせないよう尽力しよう。
「…はい。約束の時間に遅れるわけにはいけませんので…。」
不敬にもなり得るが早く立ち去りたい一心で告げる。どちらにせよヨハネスだって私には関わりたくないはず、すぐに終わるわ。そんな考えが甘かったことを知った。
「そうか。…面白そうだな、私も参加させてもらえるかユリウスに聞きに行こうか。ついでだ、私がカレンティス公爵令嬢を案内する。」
そう言い放ったヨハネスは従者を下げると私に手を差し出してきた。
余りに突然のことで困惑してしまう、これは一体何のために…?と。普通に考えればエスコートだろうが、相手は自分を嫌っている人間。意図が読み取れずにいればヨハネスが言う。
「?何をしている。よもや王家のエスコートを受けないつもりではないだろうな。」
受けずに済むなら受けたくない。でも受けなければ家に迷惑が掛かると思い、一時の辛抱だと言い聞かせ手を取る。極力触れずに済むように。
そうして歩き出すが無言である。話したいわけでもないから有難いが、一応エスコートするのであれば必要では?とは思う。ただ会話がないおかげで気持ちは少しだけ落ち着つき考え事をする余裕が出来た。




