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42.密談へ①-ロベルトside-

 あれから出来る限り従者に皇妃について調べてもらったが、過去の事件に繋がるような情報は何一つ手に入れる事は出来なかった。

 あまり近づき過ぎると勘付かれる可能性があるので、深くまで追えない事が辛みでもあった。


 あの人は用心深い、ラヴィニアの誘拐事件の時も何一つ手がかりが出なかったのは、用意周到に計画が立てられていたからなのだろう。

 しかし、あの人が一人でそんな完璧な計画を立てられるとは到底思えない。

 だとすれば計画を立てた者は別にいるということになる。

 誰にも見つからずに城内から抜け出した事を考えれば、恐らく内部の人間であり、城内の構造をかなり詳しく知っていて、周りの人間の行動も全て把握仕切っている者とかなり絞られてくる。


 誘拐事件の情報は得られなかったが一つだけ、気になる情報を聞いた。

 皇帝の側近の一人が、あの人と関係を持っていると言う噂だ。

 あくまでも噂話だが。


 シンリーを守りたいと言う気持ちは本物だが、それを実行する為にはまだまだ調べることは山積みだ。




 ***




 それから数日が過ぎ、今日はいよいよ城に入り父である皇帝と会う日になった。

 事前に皇帝には、事情がありドラグレス国の使者として行くことまでは伝えてあるが、詳しい事は直接話そうと思っていたので手紙には綴らなかった。


 城に戻るのは3年ぶり位だった。


 こんな話を突然して、皇帝は信じてくれるのかという不安もある。

 だけど信じてもらうことから始めなければ、なにも動かせないことは分かっている。


 父は幼かったラヴィニアを溺愛していた。

 それはラヴィニアの母親である側妃のロゼにとても良く似ていて可愛かったからだろう。


 だからラヴィニアが居なくなった時は、立場的にあまり表立って感情は見せられなかったとは思うが、相当に心に傷を追っていたのだとは思う。

 父とはいえ、皇帝であるが故に僕はあまり近づくことは出来なかったけど、時折寂しそうな表情を浮かべながら外を眺めている姿は何度か見たことがある。

 あれはラヴィニアを思ってのことなのだろう。


 そしてラヴィニアの母である側妃のロゼは2年程前に病死した。

 犯人を見つけられないまま旅だってしまって、さぞ無念だっただろう。

 もっと早くにシンリーを見つけていれば、最期に会わせてあげることも出来たのにと、悔やんでしまう。



「カイン様、お待たせいたしました。皇帝陛下がお会いになられるそうです」


 今の僕の名前は偽名であるカイン・ローデスと名乗っている。

 扉の前に立っていた兵士がそう告げると、玉座へと続く扉が開かれた。


 扉が開くと一歩づつ歩き出した。

 玉座までは長い道が続いている。


 僕は歩きながら、これから話すことを頭の中で考えていた。

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