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4.担任の先生は有名人

 暫くすると前の扉から黒いローブを着た30代位の男が入って来た。

 銀髪で片目は長い前髪で隠れている。

 瞳は血の様な色だ。その眼光は鋭く第一印象は怖そうだった。

 手には名簿らしき物を持っていて、恐らく私達のクラスの担任なんだろう。


「お前等、さっさと席に着け」


 低い声が教室内に響き渡り、生徒達はその声に気付いて慌てて席に戻り室内がシーンとなった。


(やっぱりこの先生、怖い……)


「俺はシモンズ・カイザー、お前達の担任だ」


 シモンズがそう言うと室内は再び話声でざわざわとし始めた。

 周りの生徒の話し声から、どうやらシモンズは有名人らしい。


「シンリーは彼の事は知っているか?」

「全く。有名な人なんですか?」


 初めて聞く名前だった。

 そもそも貴族に知り合いなんていないのだから、当然と言えば当然だろう。


「シモンズ・カイザー、彼はオルヴィス帝国でかつて最年少で帝国魔術団を率いていた男だ。数年前に退団したって聞いてたけど、まさかここで教師になっていたとはな」

「すごい人なんだ」


 魔術団と言われてもあまりぱっと来ないけど、皆が騒ぐ位すごい人らしいと言う事は分かった。


「うるさい。黙れ」


 シモンズの声が響くと教室内は一瞬で静かになった。

 やっぱり怖い…。


(こんな怖そうな人が担任だなんて、やだな……)


 私は不安でいっぱいになっていた。


「とりあえず今日は初日だからな。自己紹介からしてもらう、後ろの端から……」

「シンリーからだね」


 まさか初っ端が私だなんて、本当についてない。

 皆の視線が一斉に私に向けられて、一気に緊張してしまう。


「……シンリーです。よろしくお願いします」


 私は緊張からか震えた声で挨拶をすると、ペコっと頭を下げた。


「短すぎだ、もっと言う事はないのか?」


 シモンズにいきなり睨まれてしまい余計に焦ってしまう。


「あ、あのっ……」

「シンリーの持ってる属性とか、趣味とか話せばいいんじゃないか?」


 頭の中が真っ白になり混乱していると、ルカルドが小声で助け船を出してくれた。


「えっと……、属性は一応全部使えます。あと趣味はお菓子作りです」


 私が『全部』と答えると教室は再び、ざわざわとし始めた。


「お前、全属性使いか…」

「はい…」


 シモンズも少し驚いている様子だった。


「それじゃあ次、隣」


 その言葉で私の番が終わったんだとほっとした。


「ルカルド・エーリ・ドラグレスです。俺も全属性持ちです、ドラグレス国の王太子だが気にせず接して欲しい。特技は一度見たものは忘れない事…かな。よろしくお願いします」


 ルカルドは落ち着いた口調で話していた。私とは全く違う、さすが王子だ。


「ありがとう、助かりましたっ」


 私はルカルドの方を向くと小声でお礼を言った。


「一番最初は焦るよな、気にしなくていいよ。シンリーはお菓子作りが趣味なのか。なんだか可愛いらしいな」

「でも、簡単なもの位しか作れないよ」


 可愛らしいと突然言われて照れてしまった。

 僅かに頬も赤く染まっている様な気がする。 


「今度、今のお礼に何か作ってよ?」

「でもっ、私なんかが作ったもの、殿下の口には合いませんよっ!」


 私が焦って答えると「殿下じゃない」と指摘され「ルカ様」と私は言い直した。


「そんなの食べてみないと分からないだろう?」

「……っ」


 私が言葉に困ってると「楽しみに待ってるよ」と先に言われてしまった。

 ルカルドのおかげで助かったけど、どうして平民の私にこんなに絡んで来るのか謎で仕方がなかった。

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