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39.ずっと傍に

 私は今どんな表情をしているのだろう。

 だけどルカルドから『好き』だと言われて胸がドキドキと激しく脈だっているのは感じていた。

 でも驚き過ぎて言葉を出すまでに時間がかかった。


「シンリー、驚いているよな。俺の勘違いだったら悪いけど、シンリーは俺と同じ気持ちでいてくれていると思ってる。シンリーって結構分かりやすいから、すぐ顔に出るし嘘がつけないって言うかさ。そんな所がすごく可愛くてたまらない。そんな姿を俺以外の男には見せたく無くてずっと傍にいたんだ。俺も人の事は言えないか。これでも結構必死だったんだ」

「……っ」


 ルカルドは少し照れくさそうに困った表情をしていた。

 そんな事を言われると私まで恥ずかしくなってしまい、お互い顔を赤く染めていた。


「ルカ様、私もっ……」

「うん」


 私が口を開くと、ルカルドは優しい表情を浮かべていた。


「私は、この気持ちを伝えてしまったら困らせてしまうだけだと思っていました。何度も諦めようと思った。でも、出来なくて……。だって一緒にいるといつも楽しくて、それ所かどんどん気持ちが大きくなっていってしまって、それで……、それで……」


 私が切なそうな顔をしていると、不意に抱きしめられた。


「ごめんな。本当はもっと早くにシンリーに気持ちを伝えたかった。だけど、俺には婚約者候補と呼ばれている者達がいたからそんな状態でシンリーに気持ちを伝えたくはなかったんだ。それにシンリーが皇族であるのは初めて会った時から分かっていた、だから簡単には言えなかった」


 私は自分の気持ちを抑える事だけしか考えていなかったけど、ルカルドはそこまで考えていたのだと知った。

 そこまでして私の事を選んでくれたことが嬉しかった。


「少し前から色々動いていたんだ。だから俺の方はいつでもシンリーを受け入れられる準備は出来てる。あとはオルヴィス帝国の方の問題だけだ。そこについてはロベルト皇子も全面的に協力してくれることになった。俺はシンリーとこの先もずっと一緒にいられるのであれば、なんだってする覚悟はある。元々、俺達は婚約者同士だったんだ。きっと上手く行くはずだよ」

「……そこまで私の事、考えていてくれたんだ」


 私の目からは涙が溢れていた。


 そこまで動いてくれたのは、私との未来を本気で考えてくれていたからなんだろう。

 その気持ちがすごく嬉しくて、目からはぽろぽろと涙が零れた。


「シンリー、泣かないでくれ。重すぎると思われてしまったか?」


 ルカルドは私の涙を指で拭うと困った顔を見せた。

 私は慌てる様に首を横に振った。


「違うんですっ、そんなにルカ様に思ってもらえてたのが嬉しくて……」

「……本当に?」


「はい。私、これからもルカ様の傍にいてもいいんですよね?」

「ああ、勿論だ。ずっと俺の傍にいて欲しい。嫌だと言っても離れないけどな」


 ルカルドは冗談ぽく言うと、私は小さく笑った。

 そんな私の顔を見ていたルカルドはどこかほっとしている様に見えた。


「シンリーの気持ちを俺に教えて。シンリーの口からちゃんと聞きたい」

「私の気持ちなんて、もう分かってるじゃないですか」


「それでも、聞きたいんだ。ダメか?」

「……」


 私が恥ずかしそうに口を閉じてると、ルカルドは念を押す様に「言って」と私を見つめながら囁いた。


「……す、好きです。ルカ様のこと、ずっと……」

「……なに? 聞こえないよ」


 私が消えそうなくらい小さい声で呟くと、ルカルドは意地悪そうに小さく笑った。

 小さな声だったけど、それはルカルドの耳には恐らく届いているのだろう。


「……ルカ様の事が好きですっ!」


 私が真っ赤に染めながら必死な顔で思いを伝えると、ルカルドは嬉しそうに笑った。

 その表情を見た瞬間、胸の鼓動が早くなり感情がどんどん溢れて来た。


 私は思わずルカルドに抱き着いた。


「……好き、私はルカ様の事が大好き」


 私は何故か泣きながらそう何度も伝えていた。

 ルカルドは「ありがとう」と優しい声で言うと私を抱きしめ、優しく頭を撫でてくれた。


 やっと自分の気持ちを伝えることが出来た。

 もう自分の気持ちに嘘を付かなくていいんだ。

 それがとても嬉しかった。

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