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奥の響き  作者: 松仲諒
7/12

7.会話

「センサーの内部では抵抗値や電流容量の変化を測定しているので、トマトの根がそこに変化を与えてるんでょうね」センサーメーカーの技術者 田中さんは若くてクセが強いが今までにセンサーやアクチュエーターで何度も助けてもらったことがあり、腕は確かだった。

「頂いたセンサーと根っこのサンプルを会社に戻ったら分析してみますよ」

「ありがとうございます」

「逆に根っこも電流の変化を受け取っているかもしれない。そうだ双方向通信型のセンサーがあるんですが、それを使えばトマトと交信ができるかもしれませんよ。明日届けますよ」


「父島にムニンノボタンという植物が自生してるの。父島の固有種よ」

「ムニンノボタン?」

「素朴な白い花を咲かすわ。ボタンの仲間だけど小さい花。ムニンって無人のことよ。

人がいない島のボタン。昔、19世紀までは父島に人も住んでいなかったから」

「ちょっと寂しい名前だね」

「そうね。無人ってやっぱり寂しいわよね。人がいないこと、相手がいないと寂しいわ」

「ムニンノボタン、今度見てみたいな」

「夏に来たら見られるわ。また来て」

「うん、行くよ」


 僕は田中さんに送ってもらった双方向通信型のセンサーをトマトの根元に埋め込んでみた。1週間もするとセンサーから波形を受信するようになった。そこで僕は波形を他のグループのトマトのセンサーに流してみた。すると波形に時間的な差が出てきた。周波数や波形の強弱がグループの間で差が出てきたのだ。それはまるでお互いが交信しているようだった。トマト同士がネットを通して会話をしている。


「トマトの会話を聞いたよ」

「え?トマトが会話するの?」

「うん。会話してるとしか思えない」

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