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奥の響き  作者: 松仲諒
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2. 詩織との出会い

 詩織に出会ったのは3週間前だ。僕は休みを取って小笠原諸島の父島に旅行した。僕はダイビングをするのが趣味でダイビングショップで知合った仲間と一緒に父島で2週間を過ごした。小笠原諸島は都心から南東に1千キロも離れた太平洋上に浮かぶ世界自然遺産にも指定されている自然豊かな島だが、れっきとした東京の一部だ。


 父島に着いた二日目の夜、僕達はダイビングを終えて地元の居酒屋で飲んでいた。そこで隣に居合わせたのが詩織のグループだった。詩織はクジラやイルカの生態を研究するために3年前からこの島に住んでいた。詩織は男2名、女2名の研究者仲間のグループで飲んでいた。僕達はふとしたきっかけで詩織のグループと話をし出した。彼女達がイルカの研究をしていると聞いて、僕達は今日イルカと一緒に泳ぐ体験をした興奮を語り、その後、父島の自然と都心の様子などの話をして盛り上がった。詩織はショートカットの髪型のあっさりした顔立ちで、薄い唇の笑顔がかわいく、イルカの話をするときには真剣な目付きになって、その純心に輝く瞳が素敵だった。僕はそんな詩織に魅力を感じてLineを交換した。


 その二日後、ダイビングを終えた昼過ぎに僕達は詩織達に島の中を案内してもらった。島を歩いていると本土とは違う木々があり、農業を研究している僕にはとても楽しい散歩だった。

「北村君は農業を研究してるんだ」

「うん、農業といってもセンサーとインターネットを使って科学的に効率的に植物を栽培できないかってことを研究している」

「ふーん、私は技術のことはよくわからないけど、農業が効率的になるって素敵な研究ね」

「安田さんはイルカ一筋なの?」

「うん、子供のときからイルカが好きでクジラを研究している大学に進んで、卒業してからここに来たの」

「こっちだと、寂しくない」

「ときどき人恋しくなるけど、イルカとクジラに会ってるとそんなことも忘れちゃうわ」

「イルカに恋してるんだね」

「そうね、一生結婚できないかも……」

 その夜、二つのグループはまた一緒にお酒を飲みおしゃべりをして楽しんだ。


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