第42話 俺はいつでも多揉めする2
小田切順は驚いていた。栄光高校の生徒のレベルがここまでに“ 低い ”ことに。
栄光高校は、市立内でトップ層に君臨する名門校である。東京大学にも毎年、数人輩出するほどに優秀のはずである。
しかし、実際はそうではなかった。
確認試験ということで夏休みを明け、1学期の内容をどれだけ理解、覚えられているかのテストを行った。
試験の難易度自体は大したことなく、サクサクと小田切は解いた。実際、すべての科目で満点を取っている。だが、そこら辺の生徒は普通に赤点を取り、ヘラヘラとしている。これでは小田切のいた都野沢学園の方が普通に優秀である。
何笑ってる!ふざけるな!
小田切の思いをぶち壊し、何が名門校だとそう言いたい。
実際、張り紙に張り出されている中ですべて満点を取っているのは同じクラスであった?ような気がする日下部さん。それと切井くんだ。
名門校であるわけだから、それなりに普通の生徒もいるみたいだな。
小田切は、そう思うが、あまりの点差に呆れる。
4位からは話にならないほどに大きな差が生まれており、正直、よく受かったなとすら言える。
小田切は、張り紙から背を向けると言う。
「この学校はカリキュラムもそうだが、生徒もダメだな。話にならない。学校の名にうぬぼれているのか?」
周囲にいた生徒は何事だと小田切に目を向けてくるが、小田切は気にしない。
どうせ関わることのない奴らだ。時間の無駄。とにかく言いたいことを言わせてもらう。
「この程度で赤点を取るやつはゴミだ。社会の落ちこぼれ。俺はそんなやつとは違う。頭がな」
小田切の言葉に一人の男子生徒が我慢ならないとばかりに立ち上がってきた。
男子生徒は、怒りでおかしくなりそうだった。自分がバカであることは知っている。だが、転校してきたばかりのやつに言われるのはイライラする。それに自分だってバカなりに頑張ってんだ!!
男子生徒は、小田切のことを知っていた。むろん、悪い情報を。
転校早々に問題発言をし、クラス内でも学年内でも浮いている存在だと。
しかし、人に言ってもよいこと、悪いことも判断できないやつに何かを言われる筋合いはない。
男子生徒は、小田切の胸ぐらをつかもうと手を伸ばした。
男子生徒の手は小田切の胸ぐらを掴むことなく、空を切った。
「お前」
「初対面であるのにお前呼ばりか。随分と程度の低いクズもいたものだな」
「ふざけるな!」
「・・・・・」
「こっちは真面目にやってんだ!バカにすんじゃねぇよ!」
男子生徒の言っていることはまともだ。
人には得意、不得意があり、誰しもに欠点がある。
みんな違ってみんな良い。
それはここからくるものだろう。
小田切は、ただただ人を見下し、人の尊厳をぶち壊している。そんなことが許されるはずがない。
小田切には、男子生徒の言っていることを理解した上で言う。
「バカにする?誰が?」
「お前以外に誰がいるんだ!」
「なぜ、“ お前ごとき ”をバカにしなくてはならない?お前など眼中にあるはずもないだろ。つうか、上から目線をやめろ。バカが」
小田切はそう言うと男子生徒を廊下の床に押し倒した。
周囲にいた生徒らは小田切の行動に悲鳴を上げる。
先生たちは今、職員会議の方に出ており、来ることができない。
本来なら、停学処分、いや退学処分となる。
だが、問題視する先生らがいないいまは無法地帯となり果てる。
止めることはできないのか。
周囲の生徒たちは思う。だが、また男子生徒のように張り倒されたのでは意味がない。
やはり無理なのか。そう思った。誰もが。
しかし、
「お前の言ってることはつまり同点であればいいのか?」
「ん?」
「ああ、悪い。日本語が理解できていないのだな。悪い悪い」
「バカにしてんのか?お前」
「初対面であるのにお前呼ばりか。随分と程度の低いクズもいたものだな」
「!」
「何驚いてんだよ。お前がさっき言ったことだろ?」
「ッッ!」
「人をバカにするほど学力もないくせにでしゃばりか、お前は」
切井当麻が小田切順の前に立ちふさがった。




