第21話 俺はいつでも旅行する7
波乱の一言であった一日目が終結し、長野旅行は二日目を迎えていた。
「以外だったな、日下部が非常に寝相が悪いとは・・・・・・・・・」
「き、切井くん、そ、それ以上はちょっと・・・・・は、恥ずかしいから・・・・・・」
日下部は顔を真っ赤にして俺にそう懇願する。俺はそれ以上は言うつもりがなかったため、追求はそれ以上しないが。
◇
今朝のことだ。俺はいつも通りに5時頃に起き、顔を洗っていた。いつもより寝付けなく、寝不足感がハンパない。
顔を洗い終えると日下部を起こそうと日下部の寝ているベットを見ると、
「あれ?いない。日下部もう起きてたのか・・・・・・・・」
俺は日下部のベットを見てそう言った。
確かに日下部はすでにベットにいない。ということは俺より早く起き、朝飯を食べに行っているということだ。
俺は部屋から出ようとすると日下部のベットの下に誰かがいることに気づいた。
えっ?な、何?いや落ち着け。今は朝だ。幽霊が仮にいたとしても朝には出てこない。たぶん。とするとこいつは一体・・・・・。
俺は忍び足でベットの横に行く。
そこで目にしたのが、日下部だった。
ベットから落ちたが、起きることはなく寝ていた。俺は呆れるとともに感心した。そこまで寝ていたいのかと。しかし、そこまでして寝るというのはやはり根性が据わっているのではないのか?
そして最初に戻る。
◇
俺と日下部は一階までエスカレーターで降り、朝食を食べることにした。途中、りずはたちと合流し、昨日の夜、何があったのかを聞こうとしてきたが、日下部がどうにかしてくれた。
「りずは、日下部がそう言っているんだ。納得しろとは言わないが、しつこいぞ」
りずはが何度となく日下部に突っかかるのを見て仲裁に入った。りずははこういうところがあるからな。聞きたいことはとことん聞く。いいことでもあるし、それが悪いことにも繋がる。日下部が困惑しているのが分からないのか?
「お兄ちゃん、そのセリフは何かしたというふうにとってもいいのかな?」
「はあ?」
りずはが何を言い出すかと思えば、日下部になにかしただ?何かをするって何するんだ?トランプか?
俺が?を浮かべているとりずはが、
「だったら日下部さんのことは責任持って・・・・・」
「り、りずはちゃん!!!!!な、何言ってんの!」
日下部がワタワタと仕出したのを見てまたかよこの展開!と思い、
「日下部、落ち着け」
「これがおちついていられるか!!!」
俺は日下部に二度目となる説教を受けた。なんで俺が怒られるん!?
親父と母さんは俺たちの方を見ていても何も言わない。親父は何かさっきから頷いてウンウン言っているし。ウザいからやめろ!昨日といい今日といい。お前マジでいい加減にしろや!俺はツッコミ係じゃねぇんだよ!そういうのはりずはが言っていた新八くんに頼んでください。
俺たちは朝食を終えるとどこに今日行くのかを話し合った。結果として昨日はハプニングによってあまり旅行っぽいことができていなかった。だから、昨日行く予定であった善光寺、地獄谷野猿公苑、松本城に行くこととなった。
◇
「つ、疲れた・・・・・・」
旅行二日目は異常なレベルの移動。それもすべて歩き。
俺は途中から頭が真っ白になり、思考停止していた。記憶喪失?みたいな状況に今ある。これやばくね?
「切井くん、大丈夫?なんか、すごい疲れてるけど・・・・・・・」
「く、日下部」
「えっ!ほんとにどうしたの?」
俺が呻くように言ったがために日下部が身構えた。俺はそんな日下部の様子を見て、
「いやなんでもねぇ。ただ呼んでみただけだ」
「へ?え、ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
日下部の叫び声が響いた。うるさい静かにしろ!
◇
日下部にまたもや説教にあい、部屋に戻ろうとしたら、りずはになぜか捕まった。
「お兄ちゃん、今のは日下部さんへの告白か何か?」
「何言ってんの、りずは?告白?俺が誰に?」
りずはの言ったことが意味不明すぎてワロタ。ワロタって何だ?使ってみたのは初めてなのだが、使い方あってる?もういいや。なんか今日は疲れたし。休憩がてら勉強がしたいな。
「・・・・そうかぁ。日下部さんも苦労するね、これじゃあ」
そんな俺の様子にりずは、はぁとため息を付き言った。何?なにこれ?なんで俺はりずはに呆れられているんだ?俺なんかしたのか?
「へ?何?りずは、どういうこと?」
俺はりずはに問い詰めるが、答えてくれない。
俺は一体なにしたんだ???と言うか俺は何かしたのか!?何もしてないよな?
「お兄ちゃんみたいなのをね、鈍感クソヤローって言うんだよ」
クソヤロー扱いされて俺はりずはと別れた。結局、何だったのか。よく分からなかった。
部屋に戻ると日下部がベットの上に座っていた。
俺は日下部の様子を見て安堵した。何もなかったかのようにしている。このままにしておけば問題はないだろう。
俺と日下部は十二時頃になると寝た。
朝起きると昨日のような日下部をまた目にするのだったがそれは別の話だ。
◇
時間は少し遡る。
私は遂に切井くんからこ、こく、告白された。
『ただ呼んでみただけだ』
あんなの告白以外の何物でもない。どう返事をすればいいのか。私は悩みに悩むが一向に答えが出そうにない。
「うーーッ。どうしよう」
私は困った。告白されることが初めての経験でどうすればよいのかわからない。でも、切井くんなら・・・・・・。
いや、落ち着いて。切井くんはたぶんそんなこと言ってない。誤解しているのよ。切井くんが気の利いたこと言うはずがない。あのときだってそう。あの人に少し喧嘩腰で話していたし。切井くんのお父さんに対してもそう。だから、あれは告白でもなんでもない。つまり、切井くんは私をからかっているのだ。
私は考えていると怒りでいっぱいになってきた。
もう、許さない!!!
切井くんがからかってくるのなら、私だってやり返してみせる!
私はそう心に決め、眠りにつくのだった。
◇
3日目。
二日目とは違い、少し近場で遊園地的なものがあった。今日は一日そこで過ごすことにした。長い旅行になるのなら少しは計画しておけよ!と言いたいが、日下部がさっきからなんか変だ。何かというとよくわからないが。
「切井くん、切井くん。次、あれ乗ろうよ!」
「わ、わかったから。だから、引っ張るなって」
日下部に手を引っ張られ、俺の意見関係なしに乗り物に乗せられる。
絶叫系やらメリーゴーランドやら。りずは提案のお化け屋敷やら。
二日目と変わらないくらい疲れる。
早く終わってくれ。マジで。そして、帰るんだ、素晴らしき家へ!
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