第11話 【改訂版】俺はいつでも喧嘩する4
1/28:初期より1000文字以上もの書き足し修正をしてしまったため、【改訂版】と置かせて頂いています。話の全体像は特に変化していないですが、だいぶ話の"量"に関しては増えたのかなと。
今後もこのような状況になりましたら、【改訂版】と題名につけさせていただきます。
今後ともよろしくおねがいします。
私は初めて切井くんと喧嘩してしまった。
私は喧嘩がしたかったわけではない。喧嘩ではなくて、説得がしたかった。話し合いがしたかった。一人の友人として、ライバルとして話がしたかった。私の思いを切井くんに伝えたかった。私は切井くんのことをどう思っているのかを。それでもどこかで間違えて、上手く伝えられなくて、勝手に勘違いして、喧嘩して。何をしているのか私はわからない。
うまくことが進んだことはこれまで少なかった。うまくいくことなんてきっとそうそうないことなんだと思う。だから、今回うまくいかなかったこともそういう運命だっただけ。そんな事実を私はこれからずっと呪い続けることになるだろう。神様はときに優しく、冷たい存在だ。私に対しても"一度"優しかったけれど、今回は文句の一つや二つ、言いたいくらいだ。どうして今のような状況になっているのか、と。私に何か恨みでもあるのか、と。
でも、そんなことを思っていても状況は何も変わらない。切井くんとの距離が開くだけだ。
私には何ができるだろうか?そもそも、私にできることなどあるのだろうか?
切井くんのように頭がいいわけではないし、とりわけ特技といったものもない。
そんな私でも頑張れているのはあの“男の子”、いや、その男の子が誰なのかは知っている。もう何度も顔を合わせているし。その男の子の私に向けた言葉の数々が今も私の原動力となってくれている。あの男の子ならどうするだろうか?そう考えていくとじっとしていてはダメだという気になる。必死に努力してその先にある奇跡を手にする。そのためのやり方も教えてくれた。逃げずに立ち向かえばいいことが多くあるということも。
その過程には辛いこともあるだろうし、悩むことだってあるはず。今の切井くんはまさにその過程の中にある。だからこそ、諦めないでほしい。努力は必ず報われるから。
だからこそ、これだけは言える。
切井くんには勉強を続けてほしい。
ライバルとしてではなく、一人の友人として。切井くんは私にとって“命の恩人”とも思える大切な人だから。
勉強をしていて辛いことはある。苦しいこともある。出来ないことや足りてないことの多さに苛立ったり、テストがうまくいかなかったり。体の調子によっても結果は変わってしまう。世の中は不平等だから、どれだけ努力しても結果を残せなければ努力していないと判断される。勉強ほど報われないものはないとすら思う。
でも、それらを乗り越えた先には目標達成がある。勉強した分、報われなくてはやる気なんかでないでしょ?結果を残せるだけの勉強を切井くんは当然のようにやってた。だから、私は何度も大丈夫の一言を言ってきた。切井くんにはそれを誤解されてしまったみたいだけど·········。とにかく切井くんには勉強を、努力を続けてほしい。切井くんは今までうまく行き過ぎてて戸惑っているだけだと思うから。
全国で2位なんてスゴいとかの騒ぎではないと思う。私なんか38位だよ?切井くんはもっと自分に自信を持つべきだと思う。焦ってる理由は私にはなんとなくだけど分かる。けど、それでも切井くんなら乗り越えられると思う。だって私にとって·····。
それなのに私はほんとにバカだ。切井くんの事情を知っておきながらも冷静さをなくして、言いたいことを一つも言えなかった。切井くんに八つ当たりみたいに悪口言って、切井くんを責めたてて、何がしたいの?私は。
『わからないのはそっちでしょ!!なんでそんなに頭が良くて、何でもできるのに人の心配を理解できないの!!!』
『わかってないのは、切井くんの方だよ!!なんであんな点数取ってて普通でいられるの?前ならすごい悔しがって勉強してたじゃん』
『一回失敗しただけで諦めるくらいなら、端から人を救いたいなんておこがましいんだよ!!!』
私は何がしたかったんだろう、本当に。切井くんを責めて。
私は今回初めて1位を取った。今までずっと2位で、悔しくて、切井くんに勝つために勉強を頑張って次はもっと高い点数取れるように勉強してきたつもりだ。でも今はもうその目標であった切井くんはいない。勉強意欲をなくしてしまって、勉強をしなくなってしまった。それをどうにかしようと何があったのか、聞こうと家に行っても私はろくな会話すらできず、関係をより悪くした。私には何もできないのだろうか。
切井くんとは違い、勉強は全国トップクラスではない。だから、切井くんがどんな状況に置かれているのかはわからない。だけど、それでも力になってあげたい。助けなんて求められなくても、要らないと切り捨てられても、それでも私は切井くんのライバルであるから。切井くんと対等でありたいから、ライバルでありたいから私は諦めるわけにはいかない。
たとえそれで切井くんに嫌われることになったとしても。
私はそう決心して、勉強を再開し始めた。切井くんに勉強で負けないために。切井くんの助けになるために。
だって私にとって切井くんは命の恩人なのだから。
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