第93話 修学旅行7(男サイド)
修学旅行最終日。
俺は、ベットから体を上げ、隣のベットを見た、隣では小田切が寝ている。
(そういや、今日は別行動、か)
昨夜、徳川からの話を受け、俺は日下部と過去に出会い、そしてそこで何があったとのかを話した。徳川はそれを真摯に聞いてくれ、俺としても少しスッキリした気持ちになった。
その話が終わった直後に小田切が部屋に戻ってきた。
「切井、体の調子はどうだ?」
「問題ない。少し首がいてぇくらいかな」
俺はそう言って首に触れると小田切が苦笑いを浮かべた。すぐに表情は戻り、
「明日は別行動を取ることになった」
「········そうか」
別行動は正直、助かった。今、日下部と顔を合わせたところでまともに話もできないであろうし。それに俺は··········。
「··········」
小田切はそんな俺の様子に何か言いたそうな雰囲気だったが、結局なにも言わなかった。
その後は特に日下部との諍いの話に触れることなく、就寝時刻まで過ごした。
俺は寝る直前に
「小田切、少し良いか?」
「·········ああ」
「徳川は先に寝ててくれていいぞ」
「お、おう」
俺は徳川に一声かけると部屋から出た。小田切も俺に続いた。
「それで切井、何か用か?」
「小田切、お前は俺が気絶してからも日下部と、木村といたんだよな?」
「········そうだよ」
「木村はどんな様子だった?俺がいなくなってから」
「··········」
「いや、質問の仕方が悪いな、悪い」
どんな様子だったなんて話を聞かれて、あの状況だ。最悪以外に何を言えと。ほんと、俺は性格が悪い。
「いや、そうじゃない。僕はそんなこと、気にしてはいない。ただ、他に聞きたいことがあるんじゃないのか?」
「··········」
他に聞きたいこと、か。俺には確かに聞きたいことがあった。それは、俺にとって大きな疑問点で早期解決したいことだ。けど、
「君はいつだってそうだ。そうやって逃げて········。日下部さんのことを君はどう思ってるんだ?」
「···········」
「大事な、大切な存在だってそう思ってるんだろ?だったら、なんで逃げるんだ?逃げたって何にもならないだろ」
「そんなこと、分かってる」
「分かってない。分かってないから言ってんだ!」
小田切は俺を睨みつけるように見てきた。俺はただ黙り込むことしかできない。
「日下部さんとどれだけともに過ごしてきたのかは僕は知らない。けど、過去に出会ってあれほど会いたいと、そう言ってたじゃないか。どうして―――――――――――」
「おい、君たち。早く部屋に入りなさい」
小田切が言い切る前に見回りに来た先生にそう言われ、俺と小田切は部屋に戻った。徳川はすでに寝ている様子だ。
「切井、明日も早いんだ。早く寝よう」
「·············ああ」
こうして二日目が終わり、三日目を迎えた。俺たちの班は別行動を取ることになっているため、女子どもと合流をする必要がない。
俺と小田切、徳川は服を着替えるとロビーへと歩き、
「今日は時間までどうする?」
「適当にブラブラ歩くのもいいんじゃないか?」
徳川が俺と小田切に聞いてきたことに対して小田切がそう返した。徳川も『たまにはいいかもな』と笑いながら言った。俺もそれに同意する。
俺はロビーを出る前に後ろを振り返った。後ろにはいつもいた彼女の存在はなかった。俺は目を閉じて荒くなった息を整えるとホテルから出発した。
天気は少し悪い。雲が街全体を覆っており、雨が降りそうだ。
(ほんとに俺の今の状況を表しているかのようだな。皮肉なものだ)
俺はそう思うと徳川と小田切とともに町並みを歩き出した。
新作を書きました。俺と雪女という作品です。もしよろしければ、読んでみてください。
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