#17 機母神と絶対神の過去
「あわわ……」
私は今、またというべきか世界を左右する戦い?に立ち合っているわ。
――偶然にも、この世の秩序を乱す魔械を見つけましてな! 絶対神として見過ごせぬと思いまして
――あらあらうふふ……それはあなたの出る幕ではないわ。マイカーさんやpystonちゃんに頼んだ仕事ですもの。
――いいえ、お祖母様。……恐れながら、彼女らでは荷が重いかと。
――あらあらうふふ……それはつまり。私のマイカーさんを侮辱するってことですがあ゛あ゛〜!?
ひ!?
い、いや立ち合っているだけじゃダメだわこれは!
――侮辱だなどと、私は決して
――なら゛! どういう意味で言って
「お、お落ち着き下さいGEAr様あ!」
――……あらあらうふふ、どうしたのかしらマイカーさん?
私は堪りかねて、声を上げた。
◆◇
――……マイカー・エンデバーか。ここは私と祖母の話し合いの場であるぞ、それに対して口を挟むなどと
「先ほどZeusExMachina様にも言いましたが……恋愛対象交換魔械については、私がその元凶であるアキノソーラー国王夫妻に思い知らせて二度と使わせないことを約束させました! 私が解決したんです、ですから……絶対神様に機母神様! ご両名が争われる必要性はありません!」
――あら……
――ふん……
私は敢えて、絶対神の言葉を遮りこう言うと。
雷雲の勢いは弱まり、また空間の震えは止まった。
「私からのお願いです、ご両名……どうか!」
――……こうマイカーさんが言ってくれているけれど、どうするのZeusExMachina様?
――ええ、お祖母様。
……私はダメ押しとばかりに、GEAr様にもZeusExMachina様にもお願いした。
やっぱりまだ、ピリピリした空気が立ち込めるけど。
――……元より、私がしたきことはこの世の理を乱す魔械の排除。お祖母様方とぶつかり合うことではございませぬ。
――ええ……始めからそういう考え方だと助かったわ。
……ほっ! ……とすべきかは、よく分からないけど。
そのGEAr様とZeusExMachina様のやり取りの直後。
雷雲と空間の揺れが、引いて行くのが分かったわ――
◆◇
「ったく、心臓に悪いぜマイカー! てめえ、母上のお気に入りだからって大胆過ぎるぞ! まったく、母上もこんな奴どこが」
「……ねえpystonちゃん、いい加減教えてよ〜! あのGEAr様とZeusExMachina様の間に何があったのかを〜!」
「むぐっ! ……や、止めろくすぐったい!」
私は帰路、騎乗しているpystonからいつものごとくネチネチと責められるけど。
さっきので尚も堪りかねていた私は、pystonを乱暴にモフモフしながら問い詰めた。
「言っ、言っただろ! あ、あれはお前が知ることじゃ」
「教えてよ教えてよ〜! 私機母神様の技師なのに、何でこんないつも蚊帳の外にされるのよ〜!」
「だ……だあ〜もう! わ、分かったから……ひ、ヒヒヒヒ! くすぐったいから止めろヒヒヒヒヒヒ!」
……え?
な、何今の気持ち悪い笑い……
pyston、変なものに目覚めた?
うわあ、引くう……
「は、はあ!? ふ、ふざけんなよ! も、もう話してやらね」
……へえ、そういうこと言っちゃうんだ?
「……ヒ! ヒイッ、ヒヒヒヒヒヒ! や、止めろ! わ、分かったから離せヒヒヒヒヒヒ!」
……うん、やっぱりマイカーちゃんドン引きだけど。
さあ、話してみてpyston?
◆◇
「ティ、ティタノマキアマキナ?」
「ちげーよ! titanomachinaマキアだ!」
……うん、似たような発音重なっててややこしいけど。
pystonが言うには、ZeusExMachina様のお父上にして先代絶対神Kronosystem様。
そのKronosystem様とご兄弟を含めた神族がtitanomachina神族で。
ZeusExMachina様が率いるそのご兄弟と覇権争いをして、titanomachina側が負けた大戦争。
それがティタノマキアマキア……間違えた、titanomachinaマキアらしいわ。
その時GEAr様は、何と。
ZeusExMachina様側に味方して、同勢力を勝利に導いたらしいわ!
「え、GEAr様がそんなことを!? じ、じゃあZeusExMachina様とはその時は仲良しだったってこと? ……え、じゃあ何で今はあんな」
「母上が気に入らなかったのはその後だ! …… ZeusExMachinaは、敗れたtitanomachinaを閉じ込めちまったんだよ、暗黒械tartaronにな!」
え、tartaronて……
――やあGEArちゃん、今日も可愛いねえ♡
あ、あのGEAr様のストーカーか……
あそこに閉じ込めちゃったの?
「母上にとっちゃ、titanomachinaたちも可愛い可愛い子供たちだったからなあ……まあ、そんなとこで。だから母上とZeusExMachinaは、今あんななんだよ。」
あー、なるほど……
うん、すごく納得したわ。
「ああ分かったかよマイカー! だから言ってんだよお前みてえな人間ごときが首を突っ込むことじゃねえって大体さっきといいてめえは調子に乗りすぎて」
「……魔械カバー、オープン! 改造、ロケット魔械……」
「む!? な、お、おいマイカー!」
うん、ありがとう。
だけど、相変わらずの疲れた心にネチネチ攻撃に愛想が尽きたから。
あなたを今、ロケット型に改造して。
二重の意味で、お礼してあげる☆
「お、おい何をすんだ!」
「さっきのこと教えてくれてありがとう……お礼に、GEAr様の許まで一っ飛びさせてあげる☆」
「な……お、おいこらあ! ふ、ふざけ」
「コール、ロケット魔械! 発射!」
「ぐ……ぐああ!」
……はい。
pystonは、お星様になりました☆
……え、足だったpystonそんなんにして、帰りをどうするかって?
ああ、ご心配なく。
それは。
「コール! どこでも魔械!」
そう、某たぬき型ロボットのど○でもドアを真似た魔械があるからね!
◆◇
「お姉ちゃんお帰り……わっぷ!」
「スマラちゃんただいま〜!」
そうして、ど○でもドアを通り。
私は出迎えてくれたスマラちゃんを、抱きしめる!
ああ、いいわこの髪の触り心地……
「お姉ちゃん大丈夫、疲れてる?」
ああ、中身まで天使……
そうよ、同じ触り心地いい繋がりでも。
中身ネチネチのpystonとは、雲泥の差だわ!
「どうしたんだい、マイカーさん?」
「あらスマラ! お姉ちゃんどうしたの?」
「ママ、お姉ちゃん疲れてるみたい」
……ぐすん。
うん、スマラちゃんとお母さん、そしてグラシャスさんも!
やっぱり帰って来て人がいるっていいわ!
◆◇
「たく、マイカーの野郎! 今度会ったらただじゃ」
「あらあらうふふ……誰の野郎が今度会ったらただじゃおかないですってpystonちゃん?」
「ひいい! は、母上え!」
その頃。
後で知ったことだけどやっぱり私の素晴らしい魔械のおかげで、pystonはGEAr様の御許に一っ飛びできていた!
だけど、GEAr様の前で私の悪口言っちゃあ駄目でしょ?
「やあGEArちゃん、今日も可愛いねえ♡」
「な……て、てめえ!」
と、そこへ。
突如として、tartaronが顔を出した!
「ま、また母上のストーカーを! は、母上え!」
「あらあらうふふ……ええ、あなた!」
「……え゛!?」
だけど、何と。
GEAr様は、驚くべき言葉を放たれた!
「あらあらうふふ、pystonちゃん、駄目よ……ちゃんとお義父さんて呼びなさい!」
「な……は、母上え!?」
……そう、何と。
GEAr様とtartaronは、結婚していた!