#12 絶対神と機母神
――……あらあらうふふ、どういうことかしらZeusExMachina?
ん……
この感じ、重い……
GEAr様のご尊顔は拝見できないけど、分かる。
GEAr様が、眉を顰められていることが――
「ええお祖母様……この者たちは。私の王位への挑戦の意味も、あったのですよね?」
……ええ!?
ぜ、ZeusExMachina様の王位への挑戦!?
そ、そんなことしていたんですかGEAr様ア!
いや、嘘ですよね……?
――あらあらうふふ……ええ、否定はしないわ、ZeusExMachina。
……ええ!?
え、そんなことされようと……?
「……困りますな、お祖母様。元はと言えば、私を王位につけてくださったのはお祖母様ではございませんか。」
――あらあらうふふ。ええ……あなたは可愛い孫だったからよZeusExMachina!
……マジ?
……いや、ますます意味分からなくなったんですけどお!
「……ありがとうございます。では、今後ともよろしくお願い申し上げたい。そして、このgearntたちとやらも今回の咎により奈落tartaronに幽閉いたしますことご了承ください。」
――……それは、私が了承していまいがあなたが構うことではないのでしょう? 絶対神ZeusExMachina様。
……う、うーん……
で、でもやっぱり重いわ……
これは、GEAr様がご自分の可愛い息子さんたちを幽閉されそうになっているから?
いや、なんかそれだけじゃなさそう……
「……詮索しねえ方が身の為だぜ。これは母上とあのZeusExMachinaとの問題だ。俺みたいな化け物や、お前みたいなちんちくりんな人間が首突っ込める領域じゃあねえんだよ。」
見透かしたように、pystonがそう言って来た。
……それは何となく分かっているわよ。
「ええ、ありがとうございますお祖母様……では。」
バリバリ!
くっ!
「ひいっ!」
ZeusExMachina様が手を打つと、またさっきと同じく雷鳴が轟き。
次の瞬間にはZeusExMachina様は勿論のこと、gearntたちもいなくなっていた――
◆◇
「お姉ちゃ〜ん!」
「スマラちゃん! よかった無事で。」
その少し後。
私はGEAr様の御許たる空間で、スマラちゃん親子や。
「マイカーさん、大丈夫かい? 怪我していないかい?」
「グラシャスさん! はい、大丈夫です!」
グラシャスさんたちと再会した。
「さて……ちょいちょい会うなあてめえら。てめえらや偽機母神教には母上は大層お怒りだぜえ?」
「ひ、ひいい!」
あ、あとブラック勇者パーリー(発音おかしいけどまあいっか)もいたっけ。
さておき。
「……さあ母上。ご所望の者たちはこちらに。」
「……GEAr様。」
私は、GEAr様のご尊顔に向き直った。
「お、おいそんな表情すんなよ! お前、母上の前で」
「あらあらうふふ……いいのよpystonちゃん。さて、マイカーさん。……私にお話したいことがあるのよね?」
「……はい。」
……はーあ。
自分でも嫌よ、こんなストレートに憮然とした思いが顔に出てしまうなんて。
……だけど。
「……改めて問わせていただきます、GEAr様。私があの偽機母神教を一人で何とかしますと言ったこと信じてくださらなかったんですか?」
「あらあらうふふ、言ったでしょうマイカーさん? 私は、とうにこの人類には見切りをつけていたと。」
「……む!?」
私がこう言わずにはいられず、問い直すと。
GEAr様のご意志か、風が吹きつけて来た!
「ひ、ひいい!!!」
「お、お母さーん!」
「だ、大丈夫よスマラ!」
「お、おいマイカー!」
「マイカーさん!」
ブラック勇者パーリーはどうでもいいけど、スマラちゃん親子やグラシャスさんまでも怯えている!
「……申し訳ありませんGEAr様、お気を害されたなら謝ります! でも……私はGEAr様の、何なのですか?」
「!? ……」
「!? や、止んだ……?」
私はでも、そう尚もGEAr様に呼びかけると。
GEAr様は、風を止ませてくださったわ。
「ぎ、GEAr様……」
「……あらあらうふふ、ごめんなさい私としたことが。マイカーさん、こともあろうにあなたに八つ当たりしてしまうなんてね。……でも本当にごめんなさい。可愛い息子たちを封じられて、私……」
「GEAr様……」
ああ、そんな……
そんなお顔見たくなかったけど、GEAr様は目をお伏せになっている。
GEAr様……
と、その時だったわ。
「やあGEArちゃん、今日も可愛いねえ♡」
「!? な!?」
私のみならず、この場の皆驚いたことに。
今私たちがいる空間が一気に暗くなった。
それはかつての何か蠢く巨人みたいな者たち――GEAr様の可愛い可(以下ry)巨人族gearntちゃんたちの出現を彷彿とさせるけど、ご存じの通り彼らは今奈落の底よ。
じゃあこれは……?
「あらあらうふふ(棒読み)、暗黒械神tartaron殿。これはこれは。」
「……え!?」
次の瞬間現れたのは。
何やら中性的で面長な男性の顔だったわ。
◆◇
「ああ、暗黒械神tartaron。……母上のストーカーだ。」
「た、タルタロン……あ!?」
聞き覚えがあった私は、今のpystonの言葉で完全に思い出した!
――このgearntたちとやらも今回の咎により奈落tartaronに幽閉いたしますことご了承ください。
そう、絶対神ZeusExMachina様がおっしゃっていたあのお言葉。
GEAr様が、この世界そのものだとするなら。
このtartaron(呼び捨て御免)は、奈落そのものでもある神って所かしら。
さておき。
「ああ、僕の中にまた新たな者たちが入って来たよ……」
「シャー! こら、母上から離れろ! 大体てめえ、今軽く母上の傷抉ってるかんな!」
あらあら、pystonが。
GEAr様に言い寄るtartaronを威嚇している。
「あらあらうふふ、pystonちゃん。大丈夫よ、私はまだ再婚する気はないから!」
「あ……は、はい母上!」
GEAr様はそんなpystonに、笑顔を向ける。
「おやおや、GEArちゃん……でも、まだってことはいつかは結婚してくれるかな?」
「あらあらうふふ……そうねえtartaron殿。まあ、百万年後かしらね?」
「おやおや……まあ、そんなに先ではないな。」
いや、そんなに先じゃないんかーい!
……まあ、神様は不老不死だから大した時間じゃないんでしょうけど。
さておき。
「ええ……だから、精々その日をお楽しみに。」
「ああ……じゃあね、GEArちゃん♡」
……GEAr様にあしらわれていると知ってか知らずか、tartaronは上機嫌で去っていった。
……何だったのかしら、あれ?
◆◇
「ひいい……」
……もう。
すっかり、皆怯えちゃってる!
「……あらあらうふふ、ごめんなさい皆さん。」
「いえ、いいんです……しかし、GEAr様。僭越ながら、今はお休みいただき。その間に、あの偽機母神教の処遇を私にお任せいただけないでしょうか?」
「! マイカーさん……」
私はだけど、すかさずGEAr様に提案した。
そうよ、もうgearntちゃんたちは出て来ないでしょうけど。
ここは、先手を打たせてもらうわ!
……え、GEAr様への不信感?
いや、不信感なんてほどのものは元からないわ!
でも……まあそうね、多少のわだかまりはあるかもしれないけど。
―― ……でも本当にごめんなさい。可愛い息子たちを封じられて、私……
さっきのGEAr様のあの涙で、ひとまずはチャラとするわ!
「あらあらうふふ……ええ、いいわ。お任せするわね、マイカーさん!」
「はい!」
……ふう、よかった〜……
かくして。
GEAr様のバグ:偽機母神魔械によるグーゾスハイ国民からの不当な搾取、並びに巨人族gearntたちによる世界の蹂躙これにて修正完了!
……お、お疲れっした〜……