4歳 デコピン
短いです。ぺこり。
◆木曜日…今日もすごろく
今日は、紙相撲・指相撲・腕相撲・手押し相撲・尻相撲・相撲の相撲づくしを提案しようと思ってたんやけど…養老院・障がい者施設と病院の長期入院の方々も来ていたので、予定を変更することに。
孤児院の子供達が双六のボードを設置している間に、他の施設の方々は、ご自分のお面作り。
長期入院されてる方々の中の1人(男性・足、骨折中)が、物凄く絵が上手いこと発覚。孤児院の事務員さんと仲良くならはった。…カップル誕生の予感!
すごろく開始! したけど…う~ん、尻文字とか変顔は目の不自由な人には楽しんでもらえへん…ちょっと、寂しそうにしはった。逆に歌とかは手拍子したりして楽しそうやたったけど…今度は耳の不自由な人が寂しそうになった。…難しいもんや。
お爺ちゃん・お婆ちゃんは子供達に手を引かれて楽しそう。尻文字も足の不自由な人同様、杖付きながら頑張らはった。
「儂は嫌じゃ! 何でこの年で爺ぃにキスせにゃならんのじゃ! ツルさんに頼べば良かろう!」
兄様の指示ネタが、ウラシーマさんとカメさんを揉めさせた。
身体が丈夫じゃない人もいるから、のんびり進めた。元気な子供達はちょっと、物足りないようで…火曜日に作った新聞剣でチャンバラを始めたりした。
ランチは施設内にある大きな公園に皆で行って、お天道さんの下で!
やっぱ、外は気持ちいい~! みんな思い思いに座ってる。
静かにニコニコ笑ってるお婆ちゃんの横で孤児の女の子がいっぱい話しかけながら2人で楽しそうに食べたはったり…2人共、それぞれの施設では大人しい感じやった。年の差親友って感じかな。
やんちゃな子供達、サンドウィッチを早々に平らげて、また、チャンバラごっこを始めた。
「甘い!」
腕で剣を受け、少し屈んでから、ジャンプして平手チョップを繰り出す。
「やっぱりメアリーは男だ!」
「えっ? 誰が男だって? ちょっと君、向こうで話そうか」
私に襲い掛かってきたジュリアン君を兄様が連れていった。
「私は自分より強い人としか結婚しないの。受けてみよ! デコピ…「ダメーーー! エリー、私達の指は小石おはじきにより、普通の人より鍛えられてるの! 武器なの! 遊びじゃないの! だから、デコピンは悪い奴にしかやっちゃダメ!」
エリーが愛の告白をしてきたマルチノ君に襲い掛かろうとしたので止めた。
…ふぅ、危なかった~。病院すぐそこにあるけど…出禁になるとこやで。
「もぉ、お母様へ提出するノートにはかけっこで勝負する。って付け足すからね」
ダメ押しで言うた。
昨日の夜、3人で話して…エリーがプロポーズされた時の対応措置…は、私を巻き込まない方向でカタをつけるよ~シフトしてん。
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「小石でおはじき…」
近くにいた高校生がハンカチで涙を拭った。
幼児達がお昼寝から目覚めて広間へ行くと、じゃんけん一騎打ちを…
おじいちゃん・おばあちゃんがやってた。
「ハッ! この剣に宿るこの魔力…間違いない! 目覚めるのじゃ! エクスカリバー~~~!」
「おめぇさん、剣を取る度にそれをやっとったら、いつまでたっても私に勝たりゃ~せんよ」
その奥では、タオルで目隠しをしてやってる!?
「目の不自由な人に合わせて、やることにしたんですよ。耳が不自由な人だけ目隠しを外しています。両方に対応するため、ジャンケンは口と手でします。審判係もその方が判りやすいですし」
コージン院長がやって来て説明してくれた。
「あの速い子や向こうの速い人、あの人達が目の不自由な方達です。物の位置の把握力や耳が良いので強いんですよ」
ヨーシャネ先生もやってきて教えてくれた。で、
「てぇことで、坊ちゃま達も今日は目隠しをしてやりましょう。私の頭を狙うのは大変だと思うので、膝を立てますから、私の膝を狙ってください。では、あちらの隅にいきましょう」
とか言いながら、当たり前のように歩き出さはった。どうやら決定事項らしい。
「「「 …はい 」」」
とぼとぼと3人でついて行った。
「へぇ~、思いの外やるじゃないですか!」
ヨーシャネ先生からお褒めの言葉を頂戴した。
タラちゃんとの夜デートのおかげやな。真っ暗な森の中を移動するから、視界が暗くなると周りの気配に敏感になり、耳も研ぎ澄まされるようになった。…その分、他の子供達のジャンケンの声がうるさく聞こえるけど…。