傷
オレが小学5年生の時の出来事だ
いつものように親父の帰りを待っていた、夕食は、家族揃って食べるという決まりで
19時頃には、必ず帰ってくるはずなのに
今日に限っては帰りが遅すぎる…
大好物のすき焼きに箸が、届きそうになるがそこをグッと我慢した。
20時に針が回ったその時だった
ドン!ドン!ドン!ドン!
入り口のドアを叩く音が聞こえると流石のお袋もしびれを切らし
「帰って来たみたいね」
そう言うと、お袋は立ち上がり親父を出迎えに行った。
「あ、貴方!!」
突然お袋がそう叫び声をあげ
すかさず俺も玄関に行った、そこで見た光景は…
風見のおじさんに介抱してもらっている
全身傷だらけで血まみれの親父と
目に包帯をしている俺ぐらいの歳の少女が親父に抱きかかえながら苦しそうにしていた…
「俺のことは後で良い!!この子を早く治療しろ!!」
いままでに無く必死の表情で言うと
「あんまり動くと傷が開くぞ…」
風見のおじさんがそう親父をたしなめた
一刻の有余も無い中
俺は、すぐさま布団を敷いたりお湯を沸かした。
間もなく町医者が駆けつけ
親父の方は「こったもん、つば付けときゃ~治るよ~(ベシン!)」
「イッテーーーー!!!!」
「ハハ、元気があってよかんばい」
町医者のロクロは、そういって親父をからかっていたが
少女の方は違っていた…
「どこから連れてきたか分からんが酷い重傷だな、魔性にはとりつかれておらんが心身が衰弱仕切っている…後、目の方も儂の医療技術では…もう治らん……」
ロクロ先生は、妖怪でろくろ首の類の妖
昔は、式神としてとある神社に使え妖怪や人間までありとあらゆる病から救い式神としての役目を終えた今は、人間と偽り町医者として働いていると言う