実戦
翌日キアラは森へゴブリン討伐するための準備を整えていました
「キアラさん、大丈夫なの?」
ハナが準備をするキアラに心配そうな顔で問いかけてきます
キアラは安心させるように笑顔で
「大丈夫ですよ。しっかりと討伐してきます!」
そう言いました
コンコン ガチャ
「キアラ様、向かいましょう」
騎士の一人が扉を開けて討伐に向かう事を伝えます。
「はい、分かりました。では行ってきますね」
「うん、気をつけてね」
ハナは未だに不安がる顔をしながらもキアラに手を振りました。
キアラはそれに答えるように笑顔で手を振ります
森へはキアラを囲むような陣形で入っていきます
「大丈夫ですよキアラ様。ゴブリンごときにおくれをとる我々ではありません。
ハナに笑顔で別れを告げてきた時とは違って、緊張した顔をしたキアラをみて騎士が気を使いそう言います
キアラは自分が強張った表情に気づき急いで表情を戻してから
「はい、とても頼もしいですね。ありがとうございます」
笑顔でそう言います。それを見た騎士達は揃って顔を赤くしました。
「皆、ここから先でゴブリンの目撃証言が多発している。気を引き締めろ」
隊長の騎士がそう言うと全員さっきまでとは一変して緊張感のある表情になります。
それにつられてキアラも気を引き締めます。
キアラ達は森の中を進んで行きますが一向にゴブリンは現れません。
「ここまできて何もいないのは妙だな」
その事を不審がった騎士の一人がそう言います。
その時です
ぎゃぁ ぎぎゃ ぎゃぎゃ!
キアラ達を囲むようにゴブリンが現れ出します
「全員!戦闘態勢!陣形を維持しつつゴブリンを討伐せよ!」
「「は!」」
騎士達が抜刀し構えますがゴブリン達はキアラ達を囲みはしますが攻めてきません
騎士達とゴブリンの間に沈黙が訪れます
ヒュー!
「なっ!?」
その沈黙は急に破られました。ゴブリン達の後ろから突然矢がとんてきたのです。
グサ
「あぁっ!」
その矢が騎士の一人にささります。
ぎゃぎゃぎゃあ!!
それを待っていたと言わんばかりに囲んでいたゴブリン達が全員突撃してきます
「迎え撃て!」
「「は!」」
「キアラ様は治療を頼みます」
「わ、分かりました」
キアラは先程矢で射られた騎士に治療を施そうとします。
「痛いですが我慢してくださいね」
「イッ!」
「ヒール」
矢を抜き回復呪文をかけます。
おおぉ!!!!
するといきなり大きな咆哮が聞こえてきます
どすん、どすん
「何?」
「オークだぁぁ!」
なんと森の木と同じ程の大きさのオークが現れたのです。
「何故こんなところにオークが!?どこに隠れていた」
「ヤベェよ」
「こんなの勝てねぇだろ」
今回ゴブリン討伐という簡単な任務なだけあって、新米の騎士達の実施訓練も兼ねていたので殆どが新人です。
実戦経験がない彼らは初めてのオークに恐怖を抱いていました。
パニックになり一気に陣形が乱れます
乱れた陣形の中での乱戦、隊長を務めている騎士もオークの相手に手一杯になり他に手が回らなくなります。
キアラの周りで新米の騎士達がゴブリンに倒され、負傷されていきます
キアラはこの状況をどうにかしようと思案します
(一人一人を治していては間に合わない。それにあのオークもどうにかしないと)
そんな時にキアラの中に一つの方法がうかびました。
それを実行しようと思いました。
しかし
「いい?キアラ。この技は使いこなせれば強力だけど使いこなせないと無差別に回復をしてしまうのよ」
ジャンヌに言われた事を思い出します
「そんなこと言ってる場合じゃない!!やらなきゃ!」
キアラはそんな事を考えている場合ではいと自分に喝を入れます。
自分の持っている杖を地面につき仁王立ちをします。
「術式展開!」
キアラを中心に騎士達とゴブリンを囲むほどの範囲まで星形の魔法陣が広がります。
「傷つきしもの達にめぐみあれ!」
キアラがそう唱えると騎士達の傷がたちまち回復していきます。
「皆さん、臆することはありません。さぁ、立ち上がって!」
皆を安心させるよう優しげに、それでいて気迫溢れる声でそう言います。自然と騎士達の士気が高まっていきます。
「敵を、打て!」
「「おぉぉぉ!」」
いつの間にやらキアラはこの場の皆を率いていました。
「戦士達に神の加護を!」
キアラは騎士達がゴブリンとオークに立ち向かうと同時キアラはもう一つの呪文を唱えました
「おぉ、いつもより力がはいる」
「おぉ、これはありがたい。せぇやぁぁ!」
キアラによって身体強化がされた騎士達は瞬く間に魔物達を討伐していきました。
「我々の勝利だ!」
「「おぉぉ!」」
「はぁ、はぁ、終わった」
騎士達は腕を掲げ勝利の声を上げました。
しかし、キアラは腰が抜けその場に座り込んでしまいました。
「キアラ様大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。ただ、腰が抜けてしまって...」
「無理もありません。失礼します」
「キャ!」
「私が村までお運びします」
騎士はキアラをお姫様抱っこして歩き出しました
「あ、あの自分で歩けるので、大丈夫なので!」
「いえ、腰が震えてらっしゃるじゃないですか」
「うぅ〜」
キアラは必死の抵抗を示しますが騎士はもろともしません。観念したのかキアラは赤面しながら下を向いてしまいました。
キアラはその状態のまま村長の家まで運ばれました。
その際
「キアラさん、お姫様みたい!」
と、ハナにいわれさらに赤面したとか
そして、騎士達の間では
「キアラさん、俺はあの人に忠義を捧げる!」
「あの人のためなら死ねる」
などと言うキアラ信者が現れたそうです。
さらにそれとは別で、
「キアラさん、隊長に惚の字かな?」
「隊長に抱き上げられた時顔真っ赤だったもんな〜」
キアラがあの隊長に惚れたのではという噂が出たんだとか
戦闘描写無理...