置いて行かれた人 ※短め
今回はセシル君の事が気になっている方がいらっしゃいましたので書かせていただきました!
俺はあの時の事ほど自分に絶望した日はなかった。
あの儀式で幼馴染達がそへぞれ凄い役職につく中で俺がついた役職は⁇⁇。訳がわからなかった。俺はみんなの同情の目線が嫌でその場をすぐに後にした。
その時みんなが俺を慰めてくれたが、ただ自分が情けなくなるだけだった。
その日はそのまま家に帰った。妹のアーリアが帰ってきて、みんなが魔王討伐をする為に王都に向かうと聞いた。それを聞いた時の俺には絶望しかなかった。
キアラが遠くに行ってしまう気がしてならなかった。
頭の中にキアラとの小さな時の約束が頭をよぎった。
「じゃあ、将来私と結婚してくれる?」
「うん、結婚しよう!」
とても切ない気持ちだ。
まだ理解出来ていない中で、キアラ達が王都に旅立ってしまった。なんとか見送りは出来たけど気持ちは沈んだままだ。
その気持ちのまま部屋にこもっていると部屋がノックされた。
「セシル?キアラのお母さんがいらっしゃったんだけど。大丈夫?」
ノックをしたのはお母さんだった。どうやら、おばそん(キアラのお母さん)が来たようだ
「大丈夫だよ」
「失礼するわね」
困惑気味に了承するとおばさんが笑顔で入ってきた
「...どうしたんですか?」
「やっぱり沈んでるわね。キアラのこと?」
「なんでわかったんですか?」
「ふふ、セシル君ずっとキアラの事好きなんでしょう?見てたらわかるわよ」
「はは、バレてましたか。でも...」
「セシル君、このままでいいの?」
「言い訳ないじゃないですか!」
俺はつい感情的になっておばさんに大声を出してしまった
「あ、すいません、つい」
「いいのよ、じゃあ、追いかけないと」
「追いかける?」
「そう、キアラ王都に行く前とても不安そうにしていたわ。貴方にそんなキアラの事を支えてあげてほしいの」
おばさんはとても真剣な表情で俺に頼み込んできた。
「でも、俺は...」
「キアラね、小さい頃貴方の話ばっかりしてたのよ」
「え?」
「ある時期から恥ずかしくなったのか言わなくなったけど、今も気持ちは変わっていないはずよ」
「だから、お願い」
「...分かりました、おばさん俺やりますよ!」
俺はすぐに準備を始めようと思った。
「そう言うと思って、お父さんにしっかり指導してもらえるよう言っといたわよ」
「母さん!?」
横からお母さんが来てそう言ってきた。俺の父さんは元は騎士で今は現役を退いてこの村で門番みたいな事をしている
「あんなにキアラちゃんラブなアンタがそこまで沈んでんの見てられないの。さぁ、しっかり稽古つけてもらいな!」
「ありがとう!」
俺はいてもたってもいられなくなり外に飛び出した
キアラ待っていてくれよ!俺がすぐ助けに行ってやるからな!
ジェーンside
私はセシル君に喝を入れるとそのまま家に帰ってきた。
「やっぱり、母親として娘の恋路は助けてあげないとね。あの子のあの不安は多分セシル君と別れるのが嫌だったからでしょうね」
どうか、キアラが幸せになりますように
他の幼馴染達が忘れられてますね...