キアラが女装した理由
まさか、一話めで感想をいただけるとは思いませんでした...
ブックマークもありがとうございます!
何故、キアラが女装をしているのかというとそれは彼女、いえ彼の家庭環境がそうさせていました。
「あら、キアラ?もう帰ってきたの?」
「うん。ただいま」
「それで、どんな役職をもらってきたの?」
「うん、実は聖女になっちゃった。」
「え!聖女になったの!やったじゃない。貴方にとてもお似合いの職業よ!」
このとても元気な人がキアラの母であるジェーン・キャンベル。キアラと同じ銀髪の髪をした女性です。
「はぁ〜、でもよかった。女の子なんだから騎士とかになったらどうしようかとおもっちゃった。」
「うん...」
キアラが趣味で女装をしていたなら母であるジェーンがキアラに女の子なんだからと言うのはおかしいはずなのですが、キアラはそれにうなずきます
こうなった理由はとても残酷なものでした
実は、キアラには双子の姉がいました。
その姉の名前はキアラ・キャンベル。
そして、弟の名前がアデル・キャンベル
では、なぜ弟であるこの子がキアラ・キャンベルと名乗っているかって?
それは
姉であるキアラ・キャンベルが殺され、それを聞いた母が自殺しようとしたからです
キアラとジェーンが5歳をむかえた頃です
その日、家族でピクニックに行こうと普段は行かないような野原へ行きました。
「お母さん、お花摘み行こ!」
「あら、いいわね〜、」
「アデルも行きましょう!」
「いいよ、僕ここで本読んでる」
「もう、何言ってるの、せっかく外に出たのにそんなんでどうするの!」
なかなか来れない場所に来たと言うことでキアラが母とアデルを誘ってお花摘みに行こうとしていました。
しかし、弟であるアデルは行きたがりません
「アデルは俺が見てるから二人で行っておいで」
一向に立ち上がろうとしないアデルをみて父親であるジョニー・キャンベルがそう言いました
「じゃあ、あなた任せたわよ。行きましょう、キアラ」
「もう!じゃあ、アデルに花飾り作ってきてあげるね」
そういいキアラは走りだしました。
後を追うようにジェーンも追いかけていきます。
「さて、寝るか」
ジョニーはその場で横になりすやすやと寝息をだしだしました
アデルら相変わらず本を読んでいます
そんな中で事故は起こりました
「キアラ!キアラ!」
キアラと一緒に花摘みに向かったはずのジェーンがキアラを一心不乱に探していました。
なぜかと言うとジェーンが一瞬目を離した時に何処かへと消えてしまったのです。
ジェーン急ぎジョニー達の元へと戻りキアラがいなくなった事を伝えます。そして、全員で探しますが、見つかりません。
その日、アデルの姉であるキアラが消えてしまったのです。
それからの家の空気は変わりました。
父は商人の仕事をそつなくこなしていましたが、それでも悲しみが顔に溢れ出ていました
母はもっとひどく、家で寝込んでいました。そして、常に「キアラ、キアラ」と呟いていました。
その間家事などは全てアデルが行っていました。アデルはまだ5歳になったばかりなのですが、何かを感じたのか自分から家事を行いだしました
そして、失踪して一週間後、ある知らせが届きました。キアラ達が行ったあの野原で謎の猛獣が一体討伐されたと。解剖された中には何やら少女の遺体が入っていたと
そう、キアラは猛獣に襲われ命をおとしたのです。
そして、その知らせは父であるジョニーとアデルだけが聞きました
母であるジェーンは聞いていません
しかし、娘がいなくなったと聞いただけであの有様です。死んだと聞かされればどうなるか分かったものではありません。
「お父さん、提案があるんだけど」
アデルはジョニーにそんな事を言いました
「提案?」
それは、アデルがキアラになると言うものでした。
「いや、しかし」
ジョニーは難色を示しました。
当然です。これでは、アデルが一人二役をこなさなければいけないからです。
しかし、その場しのぎでもこれ以上愛する妻のあの姿を見ていられなかったジョニーはそれを承認しました
そして、アデルはキアラが着ていた服を着てジェーンのところへ行きました
「お、お母さん」
「キアラ?キアラ!」
アデルと知らないジェーンはアデルを抱きしめます
「キアラ、キアラ」
涙を流しながらもずっと抱きしめていました
「もう、心配させて、ダメな娘ね」
「ごめんなさい」
「まぁ、良いじゃないか。キアラが帰ってきたんだから」
「そうね、じゃあ久しぶりに家族全員でご飯を食べましょう!」
ジェーンがそう言った時ジョニーはまずいと言う顔をしました。当然です。ここには、キアラはいてもアデルはいないことになっているからです
「その前に一つお前に言っておかないといけないことがあってだな」
「なに?」
ジョニーは少し気まずそうなぁ話をきりだします
「アデルなんだが...」
「アデル?誰その子?」
「⁉︎」
ジェーンの一言に全員が驚愕しました
ジェーンはキアラがいなくなったショックの余りアデルという存在を忘れてしまっていました
ジョニーはこれ幸いとこう言います
「ああ、何でもない。みんなでご飯食べようか」
「変なジョニー、さぁ!久しぶりにはりきっちゃうわよ」
ジェーンは笑顔になりましたが、アデルとジョニーは困惑していました
しかし、アデルが、一人二役をこなさなければならないという課題は皮肉にもなくなりました。
それからのアデルはキアラと名乗り続けました。
キアラは活発な子でよく外で遊んでおり友達もいました。その友達があの幼馴染です。
顔が瓜二つなのとアデルの完璧な演技に騙され、誰もアデルがキアラにすり替わっているなど気付かず日常をおくりました。
アデルはいつしか自分の素を出すことはなくなりました。
キアラになりきらなければならないと常に自分を言い聞かせたのです。
そうしなければ、母がどうなるかわからなからです
そして、その後は口調を丁寧にし、おしとやかにしなさいと母に言われたその通りにしていきました。またいつ母が壊れるか分からないからです
そんな時です。壊れかけのジェーンに拍車を掛けることが起きました
父のジョニーが亡くなったと言う知らせです
父は商品を運ぶ途中に荷を狙った盗賊に襲われ殺されました
その事を聞いたアデルは当然悲しみましたがそれよりも酷かったのがジェーンでした
「あ、あなたは死なないわよね?」
ジェーンはジョニーを失い、キアラは消えてほしくないとアデルにすがりつきます。
「大丈夫だよ、お母さん。私は大丈夫」
だから、アデルはキアラになりきり母をはげまします
「キアラァァ!」
ジェーンは涙を流しながらアデルの胸の中に顔を埋めます
アデルは、これからは自分がもっと頑張らなければと思いました
その時のアデルの表情は悲しげでした。
なんか、すいません