7.夫婦同士の交流(中編)
赤城宅に到着した長谷川夫婦二人。優作はインターホンを押した。
ピンポーン、ピンポーン……。ザザッ
マイクがつく音。
「……はい」
そこから出た声は、何故か神妙な声色の拓也だった。
「優作だよ。玄関を開けてくれないか?」
「開けてほしいか?」
「? うん。じゃないと入れないし」
「ならば合言葉を言え」
「「はい?」」
拓也の突拍子のない言葉に思わず目を丸くする二人。
「君は何を言ってるんだ?」
「合言葉を言うんだ!」
「……どこかの怪しい組織のアジトと間違えたかな」
ツッコみつつも内心、あまりの面倒くささに優作は辟易した。どうしようもなく下らない。
「はっはっは! 合言葉が言えないならうちに入ることはできんぞ!」
「漫画の影響を受けたのかい?」
「何故分かった!?」
「…………はぁ~~」
呆れすぎて思わずため息が出る優作。
「……変わった友人ね」
「うん。言い方は悪いかもしれないけど、昔からずっと子供心を忘れない、変わり者なんだよ。驚いたでしょ?」
「別に? だって貴方の友人だもの」
「できれば驚いて欲しかったかなぁ」
何故、変人といるのが当然のように思われているのかと、疑問に思う優作であった。
「どうした! 言えないなら扉を開けることはできないぞ!」
「だって燐花。帰ろうか」
「そうね。仕方がないわ」
「ちょっ! ごめん待って!?」
こうして、ようやく玄関の扉は開けられ、二人は赤城宅に入ることができたのであった。
―――――――――――――――
拓也宅にて。
「全く、お前はいつまでも下らないことして……」
「へへっ、すまん!」
三人は居間にむかっていた。すると、綺麗な女性が三人のもとへ迎えに来た。
「いらっしゃい。今日はゆっくりしていって下さいね~」
その女性は暖かく微笑みながらそう言った。二人とも初対面だが、そのほんわかとした雰囲気のおかげか、あまり緊張しなかった。
「あ、わざわざありがとうございます。お邪魔します」
「お、お邪魔するわ」
「俺もお邪魔しま~す!」
「もう、たっくんはいいでしょ~?」
その女性は拓也にもほんわかツッコむのであった。
そして居間に着く。
「さて、まずはお互いの自己紹介からいくかー!」
「わかった。じゃあ俺達からやるよ。……長谷川優作です。拓也の友人であり、燐花の夫です。宜しくお願いしますね」
「長谷川燐花です。優作の、妻です……」
後半、若干恥ずかしそうに言う燐花。
「はい! お二人とも、宜しくお願いしますね~」
「宜しく~!」
パチパチパチ、と小さく拍手が起こる。
「次は俺達だな! 俺は赤城拓也! 優作の大親友で、世界一のラブリーマイスウィートハニー雫の夫です!」
「もう、たっくんったら……/// 私は赤城雫といいます。世界一カッコいいマイダーリンたっくんの妻ですっ!」
「「………」」
テンションがMAXの赤城夫婦。
優作と燐花は、この二人が結婚できた理由を一瞬にして理解した。
後編を書くつもりが長くなってしまったので、分けました。次回が後編です。
感想、アドバイス等是非宜しくお願いします。