2.俺の妻が可愛すぎる
「ただいまー」
優作はガラリと玄関の扉をあけ、家に上がる。リビングに着くと、燐花がソファーに座っていた。
「おかえり。今日は遅かったわね」
「あ、うん。仕事が長引いちゃってね」
「そう。ならいいけど、連絡ぐらいしなさい」
いつもは19時に帰宅する優作だが、現在時刻は21時半。いつもより大分遅い帰宅だ。
「うん。あ、もしかして心配かけちゃった?」
「心配なんかしてないわ」
「そっか……。 とりあえず今回は連絡するの忘れちゃったから、次はちゃんと気を付けるね」
「ふん……」
会話が終わったと判断し、優作はオフにしていたスマホの電源をオンにする。
「……ん?」
すると、画面に不在着信5件、LINEメッセージ4件と表示された。
LINEの内容は、「仕事終わった?」「何時くらいに帰ってくる?」「今どこにいるの?」「早く帰ってきなさい」の4つ。
もちろん、全部燐花からだった。
「やっぱり心配してくれてたんじゃないか」
「……(プイッ)」
少し顔を赤らめながら顔をそむける燐花。優作にとって今の燐花の仕草は可愛くて仕方がなかった。
「ごめんよ燐花。……心配してくれてありがとう(なでなで)」
「べ、別に心配なんかしてないってば……。もうやめてよ……」
思わず燐花の頭を撫でる優作。燐花も言葉では否定するが、頭を撫でられている事に抵抗をせず、逆に少し嬉しそうにする。
燐花は、優作のなでなでが大好きであった。
「じゃあ、そろそろご飯食べようかな」
優作は燐花の頭から手を離し、ネクタイに手をかける。
「あ……」
その時燐花が名残惜しそうにしていたことに、優作は気づかなかった。
「ご飯できてる?」
「……できてるわよ」
「ありがと。燐花も一緒に食べる?」
「そうね」
「そっか。けど、まだ食べてなかったんだね。もしかして待っててくれてた?」
「いいえ。たまたま食欲がなかっただけよ」
燐花がそう言った時。
きゅ~~~……
と、音がなった。
「(やっぱり待っててくれたんだな……)」
と、優作は内心そう思ったが、口に出さなかった。
「早く食べようか? 一緒に」
「……そ、そうね」
恥ずかしそうにする燐花を見ながら優作は心のなかでさけんでいた。
「(俺の嫁がまじで可愛すぎるっ!!)」
と。