16.布団の中
久しぶりの投稿です。
夜11時頃。長谷川夫婦二人は、2つの布団を並べて寝る準備をしていた。
「さて、明日は朝に出る予定だし、もう寝ようか」
「そうね。今日はとても有意義な日だったわ。ここにいる期間が1日だけというのは、少し短い気がするわね」
「そうだね。いろいろあったけど、なんやかんやで楽しかったし。次に来るときはもうちょっと長く泊まれるようにしてみるよ」
一通り会話したあと布団を敷き終わり、電気を消したあと二人はそれをかぶって中に入る。
「じゃあおやすみ、燐花。また明日ね」
「うん、おやすみ」
二人は、程なくして眠りについた。
――――――――――
翌朝。
「んー……」
毎日早起きの習慣があった燐花から目覚める。隣にいる優作はまだ寝ているようだった。
「今何時……?」
起き上がってスマホで時間を確認すると、午前6時と表示される。
「起こすにはまだ早いかな……」
そう言って燐花は、優作の寝顔を見る。
「優しそうな寝顔ね……」
うっとりとした表情で呟く。整っていて、どちらかというと童顔に近い顔立ちをしている優作のあどけない寝顔は、燐花の心を愛おしさでいっぱいにした。
「ん……?」
と、しばらく優作の寝顔に見惚れていた燐花だったが、とある異変に気がつく。
「優作の布団、なんかおかしい?」
見ると、優作の布団が不自然に膨らんでいた。まるで優作以外の何かが中にあるように。
「……ちょっとめくってみようかしら」
ほんの少し恐怖を感じた燐花だったが、その不自然な膨らみの正体を確かめるべく、その布団に手をつけ、優作を起こさないようにそっとめくる。
すると中には、…………何故か、優作にくっつくように寝ている少女がいた。
「きゃっ! ……あれ、夢来ちゃん?」
突然の人の姿に一瞬驚いた燐花だったが、身内だったことにひとまず安心する。……が、しかし。
「夢来ちゃんが優作と一緒に寝てる!?」
今度は別の異常事態に動揺する燐花であった。
「……燐花? どうしたんだい……?」
燐花の声が大きかったからか、優作も目覚める。
「……って、え!? 夢来!?」
優作も突然、自分の布団の中に妹がいることに驚愕する。
「優作……? あなたもしかして」
「いや、これは違うんだ!! 話せば分かる!」
「……近親相姦?」
「いやそんなわけあるか!!」
シスコンだと思われたくなかっただけだった優作だが、想像を上回る燐花の発想に度肝を抜かれたのだった。




