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10.遊園地デート(中編)

遅刻したぁぁぁぁぁぁ!

 少し休憩をしてから、二人はまた歩き出す。


「よし。じゃあ次はどこに行こうか?」


「そうね。それじゃあ……」


 すると燐花は、高速で縦横無尽に動き回っている乗り物を指差す。つまり、ジェットコースターである。


「あれに乗りましょう」


「……正気かい?」


「当たり前でしょ?」


「……そ、そっか」


 珍しく優作が困った表情をする。何を隠そう、優作はジェットコースターが苦手なのだ。


 前に一度乗ったことがあるが、あの落ちていく感覚や、横になる感覚がどうしてもダメだった。


 反対に、燐花はジェットコースターが好きであった。


「早く行くわよ」


「待って! り、燐花ちゃん。実は俺、ジェットコースターは苦手なんだよ」


「え、そうなの? じゃあ……」


「……!」


 別のアトラクションにしてくれるのだろうかと少し期待する優作。


「頑張って」


「……燐花ちゃんが、どれだけジェットコースターが好きなのかが分かったよ」


 スタスタとジェットコースターの方へ歩いていく無慈悲な妻をみて、優作は涙をぐっと堪える。


「ま、まあ、燐花ちゃんも乗りたそうだし、今日くらいは付き合うか……」


 燐花もお化け屋敷に付き合ってくれたのだ。自分も付き合わないとな。と、そう決意し、ため息をついてから、燐花の後を追う優作であった。



―――――――――――――



 行列に並び、しばらくしてついに二人の乗る番となった。二人は一番前に乗る。


「よ、よりにもよって、一番前に乗ることになるとは……」


「いいじゃない。その方が楽しいわ」


「俺はその方が恐ろしいんだ」


 何故、こんなものに並ぶ人達が沢山いるのか不思議でならない、と思う優作。すると、ガッ……と乗り物が動き出す。


「始まったわね……!」


「あぁ。……始まってしまったね(・・・・・・・・)


 興奮する燐花と、身構える優作。乗り物はゆっくりと進んでいく。そして、放物線状のレールを昇っていき、ついに一番高いところまで進む。


「さあ、落ちるわよ……!」


「ああ……。死にたくなってきたよ……。(ガタガタ)」


 そして、次の瞬間。


 ゴォーーーーーー!!!!


 激しい音をたてながら急速に落下していく。観客から、悲鳴が高々と上がる。そして二人も……。


「きゃーー♪」


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!?」


 それぞれ、悲鳴を上げていた。落ちていく瞬間、体がおいていかれる感覚になる優作。これが一番苦手な感覚だった。


「きゃあぁぁ!♪ あはは!♪」


「ぎゃあぁぁ……! あははっ……(ガクガク)」


 はしゃぐ燐花と、ついに何かを悟り始める優作。


 こうして二人のテンションは真逆のまま、ジェットコースターは自由に駆け回り、そしてついに、優作にとってはやっと停車した。



―――――――――――――



 二人がジェットコースターから降りた後。


「優作、大丈夫?」


「……あまり大丈夫じゃないかな」


 二人はベンチに座って休憩をとっていた。優作は顔を真っ青にして力なく腰をかけている。


「ごめん、無茶ぶりしすぎたかも……。ホントにごめんね?」


 今度は本当に優作を心配し、少し涙目で謝る燐花。


「……燐花ちゃん。ジェットコースターは楽しかった?」


「え? あ、うん……。私はね……」


「うん。ならよかった」


「え……?」


 優作は顔を上げ、弱々しく微笑みながら言う。


「燐花ちゃんが楽しんでくれたなら、このジェットコースターに乗ってよかったよ。俺はそれだけで嬉しいんだ。だから、そんなに謝らないで」


「優作……」


 燐花は、心がジーンと暖まっていくのを感じた。それまで感じていた罪悪感が薄れ、幸福感が一気に込み上げてくる。


「………」


「……? どうしたの、燐花ちゃん?」


 燐花は、優作にぴとっとくっついていた。


「ぐ、具合が直るまでは、こうしておいてあげるわ……」


「……! うん。ありがとう」


 こうしてしばらくの間二人は、お互いに身を寄せあっていた。周りから羨望の目で見られていたことは言うまでもない。


すみません。予約投稿するの忘れてました。

今後気を付けます。

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