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20 20万円の冷蔵庫、15万円の洗濯機、25万円の食器棚

 2011年9月。堺市郊外の現居にやってきて3年が経った。2002年に結婚した頃の耐久消費財が次々と寿命を迎え、「買い替えラッシュ」に見舞われた。ちなみに、恭子が正職員から非常勤職員に鞍替えして後は、私が一括して家計管理をしてきた。


 まずは冷蔵庫が故障…。電気屋さんで、恭子が「これがいい!」と指差したのが、20万円の冷蔵庫…。


 「そんな高級な冷蔵庫がいるのか?」


 と問うと、どうしてもこれが欲しいと引き下がらない。理由を問うと…


 「実家でもこれを使っていて、お母さんが…」


 続いて洗濯機が故障。電気屋さんで、恭子が「これがいい!」と指差したのが、15万円の洗濯機…。


 「そんな高級な洗濯機がいるのか?」


 と問うと、またまたどうしてもこれが欲しいと引き下がらない。理由を問うと…


 「お父さんのおすすめ…」


 やはり内緒メールの遠隔操作か…。予算的にはまあ何とかなる。買うか…。


 そして2週間ほど後、今度は…


 「食器棚を買い換えたい」


 と言い始めた。


 「まだまだ使えるやんか。なんで?」


 と問うと、


 「もっと見栄えの良い…実家にあるみたいなのが欲しい」


 と言う。確かにこの食器棚は、私がほぼ独断で選んだものだ。高級志向の恭子、そして義父母からすれば、納得のいくものではなかったのだろう。


 家具屋さんに行くと、例えばタンス1つ取っても、さまざまな大きさ、素材、価格帯の商品が売られている。客は、それぞれのニーズや予算に合わせ、身の丈に合ったもの、すなわち自分にとって「良い物」を購入していく。さまざまな顧客層に対応できるよう、店側も最大限の配慮をしているのだ。


 ところが佐倉家の人々はそれが理解できない。世間的にいう「一流会社」の製品が「良い物」で、それ以外の製品はゴミ屑のように思っている。もちろん恭子もそうである。


 食器棚の買い替えに際し、私は2つの条件を出した。


・今使っている食器棚を売却し、少しでも資金を回収すること。


・我が家の家計からすれば、20万円以上のものは買えないこと。


 「20万円」という金額は、私の常識からすれば破格である。恭子の性格を考え、そこは最大限譲歩したつもりである。


 近所の家具屋に出向き、店員氏に勧められて恭子が指差したのは、25万円の食器棚だった。私は


 「20万円の線は絶対譲れない!」


 恭子と店員氏双方を見つめ、そう言い放った。長い長い膠着状態…私は負けないぞ。


 最後は、恭子が不足分を出すということで、25万円の食器棚が我が家にやってきた。そして、9年間お世話になった食器棚は…「せんべい」に化けた。話が違うやないか!


 この件に絡め、後日私は佐倉家から猛攻撃を受けた。恭子がかわいそうだと…。私は必死になって家計を守っているのがばかばかしくなり、住宅ローンと光熱水費等ライフラインを除く家計を恭子に渡した。やれるならやってみやがれ!

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