15 お引っ越し
2008年10月。森山家は堺市の下町から、郊外の新興住宅地へ引っ越した。新居は想像以上に快適で、同じ年頃の家族も複数。恭子の生活環境への不安もほぼなくなったようである。
ただ、年度途中ゆえに2人の子どもの保育園の転園ができず、旧居時代に通っていた保育園に通わさざるを得なくなってしまった。ほぼ時を同じくして親父が定年を迎え、一旦無職となったため、保育園への送迎は親父が担ってくれることになった。親父にとっては孫と触れ合う時間が増え、願ったり叶ったりである。
私の通勤時間は片道2時間を越えるようになってしまったが、おそらく次の3月には異動になる。半年ほど我慢すれば住むことである。
良かった点…佐倉の義父母がやってくる回数が減ったことである。生活環境の安定とともに、恭子が内緒メールで愚痴を言うことが少なくなったのだろう。佐倉家の意向に邪魔されることなく、森山家としてのスタンスが出来上がりつつあった。
また、近隣は緑が豊富で、休日の遊び場にも事欠かない。世間的には「陸の孤島」等揶揄される地域ではあるが、私的には住むには最高の土地と思える。
落ち着いた生活環境~恭子の精神的安定…ようやく家族らしくなってきた。
今思えば、引っ越しから、次女が誕生する直前…2010年春頃までが、森山家の安定期だったように思える。