第3話 初仕事初ミス
グダグダ展開に付き合っていただいてる皆様。本当にありがとうございます。
転生二日目。
今日から外に出て浄化をしていこうと思う。
おいそこ、七十億人いるけど数人浄化して意味あるの?とか言わない。
昨日箱の中から出てきたデバイスに超恥ずかしい決め台詞を音声入力した。だから今日はそれを実際に試してみることにする。ちなみに登録し直しもできるらしい。飽きたら変えられるわけだ。
昨日は特に気にしなかったがここはどこにあるアパートなんだろうか。気候も室内にいたからわからないし海が近そうな雰囲気もない。まああまり関係ないかもしれないが。
「とりあえずどこか人のあるところに行こう」
まあ人なんてどこにもいるわけだからな。適当に散歩でもしよう。
公園に人がいる。小柄な女性。でも何かがおかしい。
目がおかしいのか。目を懲らそうとするとその女性は白と黒に見えてしまう。これはあれだな。善と悪の比率なのだろう。天使になるとそういうことまで見えるのかよ。
とりあえず浄化すればいいのだろうか。俺はポケットからデバイスを取り出し彼女に近づきそしてデバイスをかざす。
『我は光、闇を浄化せんとするものなり』
そして俺はまた光に包まれた。
気がつくとさっきいた場所とはまるで違う天界に似た場所にポツンと立っていた。
手にはデバイスが光り輝いているがポケットの財布は無くなっていた。下界のものは持ってこれないということなのか。
そしてもう一つ。10mほど先に小柄な女性によく似ている禍々しい闇のオーラを放った何かがいた。
「あれが闇か、ということはここはあの女性の心の中なのか?」
返答のない質問。そしてその何かに一歩ずつ近づいていく。
距離5mほどで異変に気付いた。
女性に似た何かは手に武器を持っている。多分斧だ。しかしそのことに気づくのが少し遅かった。相手も自分に気付いてしまったらしい。こちらに向かってくる。やばい。これはやばい。とりあえず逃げよう。命の危険を感じる。
相手はそこまで速くない。解決策を考えなければならない。考えなければならないのだがここには何もない。デバイス以外。
「このデバイスに何か秘密があるのか?」
デバイスに期待を込めて例の痛い呪文を唱えてみた。しかし何も起こらない。
落ち着け。とりあえず斧を対処しなければならない。
斧はリーチが短い。槍のような長いもので戦うのが一番だろう。有効な攻撃手段は思いついた。あとは武器の調達のみ。魔法は使い方がわからないし期待のデバイスも音声入力は意味がなかった。
無我夢中に逃げていると。手の中が光り出した。デバイスの姿は跡形もなくなり代わりと言ってはなんだがそこには欲しいと念じていた槍があった。考察はあとだ。これで助かった。戦える。震える足を抑え力を込め振り返る。怪物との距離がだんだん近づいてくる。
距離20m。槍を構える。不思議なことに扱ったことのない槍だったが構えがしっくりきた。そして俺も闇に向かって走りだした。
振りかざされる斧を避ける。間合いを詰められては槍の良さが活かせない。
まず距離を取る。後ろにステップ。
相手は斧を振り回しながら再び飛びかかってくる。
今度は間合いを取っていた俺の方が有利だ。腹部を一突き。
「ガギャーーーー」
傷口からは霧状の黒いものが吹き出しているのがわかる。嫌な光景だ。血じゃないだけまだましだがこんなことは早く終わらせよう。
槍を構えなおして連続で突く。胸に二発腹にもう一発さしたところで闇は破裂しどこかへ消えていった。倒した。これでこの子も闇に支配されないのかな。
そして自分もここにきた時と同じように光に包まれた。
目の前に小柄な女性はいなかった。
でもおそらく浄化はできたのだろう。そんな気がする。人を浄化するのは大変な仕事だ。今日は疲れたから帰ることにした。
よく考えたら外に出たのは三十分ちょっとだったが家に帰ると決めた。疲れたし働きすぎは良くない。
家の扉を開けるとそこにはルーナとさっきの小柄な女性の姿があった。
「なんの冗談ですか?」
俺の問いかけにルーナは答える。
「あなたはミスを犯しました」
そういってルーナは女性の方を見た。
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