悪魔の日々
君と僕は分かり合えない。
そんな言葉を投げ捨てられて、目が覚めた。
そこは、存在すら、するのか怪しい空間。
閉じ込められた醜い悪魔は、想いを寄せていた少年に吐き捨てられた言葉が、その時の映像が、脳裏に焼き付いて離れない。
どうして、どうして、どうして、どうして―――?
僕がこんな醜い姿だから?
こんなにも、君と似ていないから?
泣いて喚いて答えを求めても、存在すら怪しい空間の中で、答えは来るはずがない。
貴方はこのままだときっと、悲しく苦しい末路になるわ。
あの老婆の忠告を無視したのがいけなかったのか?
いや、――違う。
禁断の愛という感情を手に入れてしまった、悲しき悪魔はいつまでも閉じこめられる。
空腹に、嘆いても。死ぬことすら許されないその空間で。
頬を流れる、真っ黒な雫は白い床に吸い込まれた。
壁を壊せ
頭に響いた。
そうだ、壊せば逃げられる。
そしたら君に、また会える。
ガリガリガリガリガリガリ
壁を削る、嫌な音が小さい空間に鳴り響く。
ガリガリガリガリガリガリ
長い、長い黒い爪は、真っ赤に染まって剥がれ落ち。
助けを求め、喚いた喉は潰れて掠れた声しか出ない。
喉が乾き、空腹に苦悶しようと、ここには何もない。
――諦めた、その瞬間。
壁が大きな音を立てて崩れ落ちた。
やった、やったぞ!これで外の世界に戻れる!
嬉しさに舞い上がった――のも、束の間。
崩れ落ちたその壁の向こうは、ここと何も変わらない。ただただ、白い空間が広がっているだけだった。
今日も悪魔が嘆いている
世界を壊した それなのに
その世界に戻りたいと嘆いている
醜く 生々しい 傷跡だらけのその肌は
心を映したものなのか
今日も悪魔が喚いている
出して 出してと 黒い涙を流し続け
愛する人間に会いたいと
哀れな悪魔が叫んでいる