表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

悪魔の日々

作者: ゆーむ

君と僕は分かり合えない。


そんな言葉を投げ捨てられて、目が覚めた。


そこは、存在すら、するのか怪しい空間。


閉じ込められた醜い悪魔は、想いを寄せていた少年に吐き捨てられた言葉が、その時の映像が、脳裏に焼き付いて離れない。

どうして、どうして、どうして、どうして―――?

僕がこんな醜い姿だから?

こんなにも、君と似ていないから?


泣いて喚いて答えを求めても、存在すら怪しい空間の中で、答えは来るはずがない。


貴方はこのままだときっと、悲しく苦しい末路になるわ。


あの老婆の忠告を無視したのがいけなかったのか?

いや、――違う。


禁断の愛という感情を手に入れてしまった、悲しき悪魔はいつまでも閉じこめられる。

空腹に、嘆いても。死ぬことすら許されないその空間で。


頬を流れる、真っ黒な雫は白い床に吸い込まれた。


壁を壊せ


頭に響いた。


そうだ、壊せば逃げられる。

そしたら君に、また会える。


ガリガリガリガリガリガリ


壁を削る、嫌な音が小さい空間に鳴り響く。


ガリガリガリガリガリガリ


長い、長い黒い爪は、真っ赤に染まって剥がれ落ち。

助けを求め、喚いた喉は潰れて掠れた声しか出ない。

喉が乾き、空腹に苦悶しようと、ここには何もない。


――諦めた、その瞬間。


壁が大きな音を立てて崩れ落ちた。


やった、やったぞ!これで外の世界に戻れる!


嬉しさに舞い上がった――のも、束の間。


崩れ落ちたその壁の向こうは、ここと何も変わらない。ただただ、白い空間が広がっているだけだった。




今日も悪魔が嘆いている

世界を壊した それなのに

その世界に戻りたいと嘆いている

醜く 生々しい 傷跡だらけのその肌は

心を映したものなのか


今日も悪魔が喚いている

出して 出してと 黒い涙を流し続け

愛する人間に会いたいと



哀れな悪魔が叫んでいる


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ