ねえ!
ねえ!
ねえ、ねえったらぁ!!
あたしは、精一杯あなたの背中に呼びかける
「何だよ」
あなたは面倒くさそうに振り向く
「もう、歩くの 速いよ。歩幅違うんだからさあ」
「あ、そか」
あなたはやっぱり面倒くさそうに答える
あたしはあなたを睨んでみるけど
眼鏡の奥の目があたしの姿を捉えたのを確認すると
ちょっとだけ安心したりして・・・
だって
ふだん、あなたの目にあたしは映っているのかな、って
いつも不安だから
あなたは少し、歩幅を縮める
だけど
それでもやっぱり、歩く速度には差があって
追いつけなくて 少し疲れて あたしは思わず立ち止まる
待って、って言いたいけど
息が切れていえない
待って・・・
心で必死に呼びかける
と・・・
突然あなたが振り向いた
「どうした、疲れたのか」
「うん・・・」
答えると
すっと手が伸びてきた
自然に その手を取る
あたしたちは 手をつないだまま歩きだした
つないだ手と手のぬくもりに
なんだか泣きそうになる
「あのさ」
「なに?」
「あ、いや。さっきからどうやって手をつなごうかって考えて早足になってた。俺って馬鹿だよな」
思わず笑ってしまった
まだ お互いいろいろわからないことばかりだけど
きっと きっと
わかりあえるよね
きっと
ううん
絶対・・・
だって
だって
だいすき、だから・・・