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店はカフェレストラン「サーカス」
吉祥寺駅南口の井の頭公園近くにある。
ステージもあるので定期的にピアノ、ヴァイオリンなどのクラシック、ボサノバ、ラテンなどのライブも行っている。
時には有名なミュージシャンが出場したり、お客さんで有名人が来店したりすることもある。
そんな店に出入りして自宅のほうにも足を運んだりすることもある。
叔父の持っているレコード、CD、DVDなんかにも触れることになる。
それらの中でまっ先に目を引いたのがキッスだった。
音ではなく視覚から入っていった。
廻琉がまだ小学生の時だった。
キッスから始まって、叔父の持っているコレクションをよく聞くようになった。
エアロスミス、ガンズ&ローゼズ、クイーンなどで70年代から90年代の洋楽ロックを好んで聞いているといったちょっと変わった子だった。
日本の小学生女子ならアイドルに熱中するとかはよくある話だが、廻琉の場合は洋楽ロックバンドを好んでいた。
廻琉が中学校に入学した時には入学祝いとしてフェンダージャパンのピンクのストラトキャスターを渡している。
これは碧色が持っているギターではなく楽器店で購入した新しいモデルだった。
先にギターだけ渡しておいて、後からミニアンプやその他の必要なものを渡している。
もらったからには弾くしかない。
でも最初はギターにストラップで弾く真似をしてるだけで大満足だった。
そしてよくわからないままに弦をチャッカチャッカと弾いていた。
それから基本的なコードの練習。
それが1年ほど。
あとは好きな曲に合わせてなんとな〜く弾いている。
他には、たまたまサーカスのライブでクラシックギターの演奏を見る機会があった。
あまりにもお上手だったのでギターを教えてもらうことになった。
ギター教室を運営していたので週に1回を1年ほど続けた。
それが高校1年生から2年生にかけてのこと。
そのおかげで基本となる音楽理論とギター奏法を学べたような気がする。
それをそっくりそのままロックギターには応用できないが、ちょっと変わったスタイルの演奏ができるまでにはなった。
3年生の夏休みに入る前に唐突にバンドに入らないかとスカウトされた。
当初はギターだと思ってたがベースでお願いと無茶振りで言われた。
それが親友の岡山田伶蕗。
バンドではドラムを叩いている。
廻琉がギターを練習してるのを知ってる。
それにベースが弾けるということも知ってる。
叔父の家には楽器が多い。
そんな中から時々ベースも弾いてたりしていた。
そのことを知ってたから伶蕗に誘われたんだと思う。
他に探すあてがなかったこともあったのだろう。
文化祭の3ヶ月前ほどで時間もなかったことも関係している。
伶蕗とは中学生で同じクラスになってからのつき合いだ。
高校も同じになったが3年間もいて一緒のクラスになったことはなかった。




