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東京都武蔵野市西久保に十条家の家がある。
歩いて行ける距離にすかいらーくホールディングスの本社がある。
最寄りの駅はJR中央線三鷹駅。
徒歩で10分といったところか。
十条家は3人家族。
平日の朝は家を出ていく順番がある。
最初に出るのは十条明日美、44歳。
職業は三鷹市役所の総務部政策法務部課長。
課長になってからのタイミングで少し早い時間に家を出るようになった。
それが毎日の習慣になっている。
次に出ていくのが十条文史、45歳。
三鷹市役所でスポーツと文化部の生涯学習課生産学習係の係長。
ゴミ出しなどを担当している。
この夫婦は職場結婚だ。
そして通勤には自転車を使っている。
この家は三鷹駅の北口で武蔵野市。
駅の南口は三鷹市になる。
駅前の三鷹通りをまっすぐ進むだけで三鷹市役所に到着。
通勤のストレスがないのは非常に助かっている。
最後に家を出て戸締まり担当が娘の十条廻琉、17歳。
東京都立の城桜高校の3年生。
城桜高校は別名でクイーン高校と呼ばれていて約75パーセントが女子。
本来は共学なのだが、どういうわけだか男子の受験者が少ない。
なかば女子校であるかのようだ。
幸運なことに学校までは徒歩。
伏見通りという大きな道路沿いを歩いて10分もかからない近さだ。
でもそれは鞄ひとつだけの時。
今は背中にベースを背負ってるのでエッチラコッチラと歩いている。
3年生になって最後の文化祭でバンドでライブをやるために毎日のように練習している。
城桜高校の文化祭は11月の2日と3日。
廻琉は進学組だから本来なら受験勉強をしなければならない。
それでも高校最後ということでバンド活動を優先している。
推薦入試ならこの9月末には決まっていてもおかしくない。
廻琉が推薦入試を受けなかったのはど〜もいまひとつ進学したい大学がはっきりしなかったからだ。
来年の1月にある大学入学共通テストを受けてからどうするかを決めるつもりでいる。
だから受験勉強をしなければならないのだが···
9月末になると3年生の授業はある程度は自由になる。
就職組はのんびりと最後の学生生活を謳歌している。
進学組は推薦とこれから受験組とでピリピリ度がまったく違う。
廻琉のクラス36名の中で進学するのは半分くらい?




