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最後の章:黙示録(アポカリプス)

挿絵(By みてみん)

電子ドアの向こうに「関係者以外立入禁止」と書かれている場所で、レオは体に機械を装着され、生命兆候を監視されていた。長髪で鼻にカテーテルが入っている。突然、彼は目を開け、深く息を吸い込んだ。

「これは一体何だ?」レオは体に貼り付いた吸盤や点滴などを剥がしながら言った。

「ここは何の部屋だ?悪魔はどこにいるんだ?」レオは呆然としながら言った。

彼はドアを見て、エネルギーを込めた拳でドアを壊した。腕には戦いで失ったはずの、大きな赤みを帯びた傷のような痕があった。

人々が制服を着て、廊下を駆け回る。

「アリスター?みんなはどこだ?」レオは考えながら、扉を破壊しつつ走り出した。

突然アラームが鳴り始め、レオは壁を壊して外に出ると、土の広がる野原に出た。周囲は装備の整った兵士たちに囲まれていた。

「彼らは悪魔なのか?」レオは頭の中で問いかける。

そこへ鎧のようなサイバー装甲をまとった3人の兵士が近づいてきた。

「お前たちは誰だ?これがベルゼブブの仕業か!」レオは叫んだ。

「ベルゼブブ?お前は悪魔か。俺はサイバーサイのレナートだ。こいつらはベレニス(サイバー・フクロウ)、ルシア(サイバー・サソリ)。お前を殺す。」レナートが言った。

「落ち着け、焦るな。」ベレニスが制止する。

「本当にあいつが悪魔なのか?」ルシアが興味なさそうに言う。

レオは構え、サイバーサイが突進してきたが、レオの腹に一撃を受けて止まった。そのまま倒れて意識を失う。

「たった一撃でレナートを倒したのか?」ベレニスは驚いた。

「レナートはサイバー兵士の中で4番目に強いんだぞ。」ルシアは信じられない様子。

「撃て!」ベレニスが命じ、兵士たちが一斉に発砲。レオはランスロットの盾で光のバリアを展開し、銃弾を跳ね返した。

ベレニスは射撃を止めるよう命じた。

レオはエネルギーの波を放ち、兵士たちにダメージを与えた。

「こいつは何者だ?」ルシアが問う。

レオは次の攻撃に備えたが、突然一人の男が彼の前に立った。

「レオナルド、止まれ!」ルーカスが昔馴染みの友人として立ちはだかった。

「ルーカスか?その服装とひげ…」レオは混乱しながら言った。

「友よ、落ち着け。ここはアルカンジョの組織だ。」ルーカスが説明した。

「アルカンジョ?あの若者たちや戦争はどうなった?アリスターやヴァレンティナ、アヤセ、ルナたちは?」

「落ち着け、彼らは無事だ。説明しよう。」ルーカスは落ち着いて続けた。

レオはランスロットの盾を解除した。

「みんな、もう大丈夫だ。今回の件については秘密にしておけ。」ルーカスが指示。

「しかしルーカスさん…」レナートが抗議。

「言っただろう、ルナ、ベレニス、みんなを集めて出発だ。」レナートは従った。

「お前は8年間昏睡状態だった。戦争は続いているが、やり方が変わったんだ。」ルーカスが説明。

レオは驚き、黙り込んだ。心の中で「俺は失敗したのか…」と呟いた。

「さあ、友よ。髪を切って、新しい服を着せて、食堂での会議に連れて行く。」

ルーカスはレオを抱きしめた。

「久しぶりだ。お前が戻ってきて本当に嬉しい。お前が必要だ。」

新しく大きな食堂には多くの人が集まっていた。ルーカスは重要な話を告げるために皆を招集していた。新旧のアルカンジョのメンバーたち。

ルナはアリスターの隣で厳しい表情で言った。

「ルーカス、訓練があるって何のこと?」

そこへ髪型は違えども顔は変わらぬ一人の男が入ってきた。彼は少し年を取ったが、かつてのアルカンジョのメンバーはすぐに彼だと認識した。

レオは新しい顔ぶれの多さに驚愕した。

「信じられない!」ジョヴァナが駆け寄り、レオを強く抱きしめて泣き出した。

「ジョヴァナ、友よ、会えて嬉しい。相変わらず綺麗だ。」レオ。

「ごめんね。私の力は戻せなかった。あなたの腕は回復させたけど、まだ完全ではないの。」ジョヴァナはレオの焼けたような腕を見て言った。

「ジョヴァナ、お前は最高の仲間だ。ありがとう。」レオは涙ながらに抱き返した。

「ここで何が起きているの?なぜジョヴァナが泣いているの?」レナートが訊いた。

「全然わからない。」ルシアも首をかしげる。

食堂の片隅で、ルシア、レナート、ベレニスら4人の女性が真剣な表情で話していた。

食堂の上層階の全面ガラスの前で、ヴァレンティナは驚いた表情で座って外を見つめていた。

「アルカンジョ、この男は我々の最大の戦士の一人、ランスロットの継承者レオナルドだ。」ルーカスが称賛した。

皆は衝撃を受けた。

ドクター・マイケル、マリン隊長、メイレイン、ガエル、スザン、ニコールが近づき、スザンが言った。

「レオナルド、ようこそ。」

「何が起きているんだ?」アリスターが疑問を呈す。

「突然現れて、まるで何事もなかったかのように振る舞うつもりか?」ルナは真剣に言った。

「ルナ、アリスター?」レオは驚きながら言う。

「同感だ。戦おう。」アヤセが突然笑顔で現れた。

「みんな狂ったのか?」ジョヴァナが驚く。

レオは自分の妹とルナの変わり様を見て、悲しげな気持ちと責任感を感じた。

「分かった、君たちと戦おう!」

挿絵(By みてみん)

ルーカスはため息をつく。スザンがうなずき、みんなもこれで少しは雰囲気が良くなると同意した。

大きな体育館にて、みんな緊張している。片側にはルナ、アリスター、そして「審判役」のアヤセ。もう片側にはレオだけが立ち、ルーカスが試合の進行役を務める。

「インストラクターは準備できているか?」ルーカス。

「インストラクター?」レオは戸惑う。

「そうだ、友よ。時代は変わったんだ。」ルーカスが答える。

「準備できているわ、ルーカス。」ルナが答えた。


観客席では、

「こいつはもう終わりだな。」とレナートが言う。

「インストラクターのルナとインストラクターのアリスターはアルカンジョで最強のコンビだ。」ルシアが言う。

「この男、強そうに見えないわ。」肩までの金髪の女性アマンダが言う。

「彼の力は分からないけど、確かに強くて尊敬に値するわ。」ベレニスが慎重に評価。

「あなたに力の何が分かるの?」隣の少女ハナがアマンダに挑発的に言う。

「君たちは“サイバー兵士”の中では最強かもしれないが、八年前の大戦を戦った騎士の話をしているんだ。」ベレニスが返す。

アマンダはただ試合を見つめていた。


「試合開始!」ルーカスが宣言。

アヤセは見守り、ルナは赤いオーラを、アリスターはオレンジのオーラを放つ。

「すごい力だ!」アマンダ。


ルナは左へ、アリスターは右へ動き、レオは盾「アスカロン」を展開。

ルナは槍でランスロットの盾を突き、レオは数メートル後退。

「ファイアショット!」アリスターが指を指し、火の玉を放つ。

「アスカロンを裂け!」ルナが槍を呼び出し、強力な圧力の風をレオに向けて放つ。

爆発で砂煙が上がる。

「なんて力だ!」ルシア。

「久しぶりにこんな戦いを見る。」メイレインがマリン隊長とマイケルに話す。

「彼はこれから何をするのだろう?」ガエルがサファイア、クリス、ヤタと共に聞く。


煙が晴れ、レオは盾を頭上に掲げ、体の周囲に力場を発生させ、攻撃を無効化。

「信じられない!」アマンダは驚く。

「素晴らしい!」ルシア。


ルナとアリスターは大量のエネルギーを放ち、戦場を覆う。

突然、ヴァレンティナが車椅子で到着。レオは後ろを振り返り、ヴァレンティナの今の状態に驚く。

「君と戦うよ。」

「ヴァレンティナ、俺は…」

「言わないで!」

「君が側にいるのは光栄だ。」


ヴァレンティナはアーマーを起動し、立ち上がるのに苦労しながらも立つ。全員が信じられない表情で見る。

「ヴァレンティナ、どうやって…?」ジョヴァナは涙ぐむ。

「彼女が立ち上がるなんて信じられない。」ルーカス。

「姉さん、歩けるようになったの?」ルナが感動する。


ヴァレンティナは完全な鎧を呼び出し、堂々とした姿で体育館を圧倒。

「これがヴァレンティナ様の姿か!」アマンダ。

「美しいわ。」ハナ。

「強大な力を感じる。」ベレニス。


ヴァレンティナは腕を前に伸ばし言った。

「ライオンの咆哮!」

「なんて力だ?」フリーダ。


その瞬間、音波の波がアリスターとルナに向かい、大量の砂煙が巻き上がる。

レオは二人のガードが下がったのを見て攻撃を仕掛け、二人は後退。


「直撃だ。」ルナは腹を押さえながら言う。


二人は再びオーラを呼び出し、その力は激しい風となり戦場を吹き荒らす。皆はその力に息を呑む。

「ねえ、ちょっとやりすぎじゃない?」アヤセは心配そうに言う。


彼女たちは再び鎧を纏って前進。

「これが私たちの新技よ!」ルナ。

「ドラゴンの炎!」アリスターが強力な力を呼び出す。

アリスターは手を槍「アスカロン」に置き、それが燃え盛る。

「成長したな!」レオは全身に鎧をまとい翼を展開。

「これも俺の力だ、悪党!」アヤセが笑う。


「これは何だ?この鎧は白と黒の半々だぞ!」レナート。

「君たち、何もわかってないな。」メイレイン。

「メイレイン様、ここにおられたのですね!」ルシア。

「あの二人を見なさい。彼らはアルカンジョで最強のコンビ。あの男には騎士と僕の力が宿っている。愛と憎しみ、まるで昼と夜のようだ。」メイレイン。


レオは稲妻のごとく突進し、アリスターの腕を掴んで遠くに投げ飛ばす。ルナは攻撃するが、レオは全てかわし、アスカロンでルナの武器を奪い、盾で彼女を空高く投げる。

「くそ!」ルナは腕を組んで防御を試みる。

「ルナ先生が負けるなんて、信じられない!」ハナは憤慨。


レオは盾で強打しようと構える。ルナは腕を前に出し、

「やられる!」と考える。


しかしレオは盾を放し、ルナを抱きかかえて優しく地面に降ろした。ルナはヘルメットを外し、レオも外す。

「やあルナ、やっと目を見てくれたね。」

ルナは我慢できず泣き出し、抱きついて言う。

「なぜこんなに遅れたの?」

「ごめん、今ここにいるよ。」


アリスターも駆け寄り泣きながら言う。

「おいでよ、姉さん。抱きしめて。」


アルカンジョで最も強い女性たちが子どものように泣いている。


「アヤセ、新しい髪型いいね!」レオが褒める。

「抱きつかないで、感傷的なのはなしよ。」アヤセは手を差し出す。

レオは笑顔で応じた。


「兄さん、彼女に話しかけないの?」アリスターがヴァレンティナを見送りながら言う。

レオは飛び降り、ヴァレンティナの前に跪き、言った。

「ヴァレンティナ、こんなことにしてしまってごめん。」


ヴァレンティナはレオの顔を平手打ちした。皆はまたもや予想外の行動に驚いた。

「これが全部お前のせいだと思ってるの?自分勝手だな、レオナルド。俺たちみんな戦ってきたんだ。全部ひとりで背負おうとするな。俺たちは騎士だ。それが代償だ」そう言うと、ヴァレンティナはレオを抱きしめた。

「ヴァレンティナ!」

「遅すぎるんだ、バカ。お前がいなくて寂しかった」ヴァレンティナは涙声で言った。


体育館の天井に穴が開く。

「な、なんだ?」ルーカスは空気を操る力でみんなを瓦礫から守った。

「なにこれ、パーティーか?」ベルゼブブが現れた。

「ベルゼブブ!?どうやって?」ルーカス。

「地獄の王か?」ハナは怯えた声で言う。

「彼は王ではない!」メイレイン。

「どうする?!」ルシア。

「みんな集めて避難させろ!」メイレイン。


突然、数多くの悪魔たちが襲来する。

「どうして俺たちの場所が知られたんだ?」スザンは考える。

「ベルゼブブだ!」レオは叫んだ。

「お前がランスロットの後継者か?」ベルゼブブは嬉しそうに言った。

「全員止まれ!」ベルゼブブが命じると悪魔たちは動きを止めた。

「レオ、ここから避難しなければ!」ルーカス。

「俺が何とかする、ルーカス!」レオは決意した。

「いつもお前がなんとかしてくれる。お前には敵わないな。会えて嬉しいぜ、ガキの頃から。お前がいなくてつまらなかったんだ」ベルゼブブは皮肉っぽく言った。

「くそったれ」レオ。

「レオナルド、この戦いはまた今度だ。ここには多くの人間がいる」ヴァレンティナは冷静に言う。

レオは落ち着きを取り戻した。

「この女はいつも俺の邪魔をする」ベルゼブブ。

「戦士よ、逃げるつもりか?前回お前が何もしなかったせいであの女は動けなくなったんだぞ。使い物にならない奴を美しいと見る男なんていない。まったく嫌な人間だ」ベルゼブブは嫌悪の表情を浮かべた。


突然、レオはベルゼブブの顔に拳を叩き込む。その姿は8年前のように鎧と翼が完全に黒くなっていた。

「ベルゼブブに触れたぞ、どういうことだ?」レナート。


そこへ四人の将軍が現れた。ダラハン、リリス、カーマン、ダンバラ。

ルナ、ルーカス、アヤセ、アリスターは他の悪魔たちと戦い、ダラハンが現れて吠える猛獣を呼び出す。

「この獣は?」ルナ。

「気をつけて!」アヤセ。

「友は元気か?」ダラハン。


ルーカスは騎士に変身し怒りのままダラハンに攻撃、アヤセ、アリスター、ルナは猛獣と戦う。

将軍たちは戦場を分担した。

「今回は何匹殺す?」カーマン。

「ゼロだ」スザン。

「止められるのか?」カーマン。

「俺たちは四年前とは違う」スザン。


ダンバラはガエル、クリス、サフィラに包囲される。

「どこへ行く?」リリスは“サイバー兵士”たちを囲む。

マリン隊長とマイケル博士が現れ、リリスを壁に突き刺す。

「行け!」マイケル博士。


“サイバーアーマー”の部屋で信号が鳴り、装甲がサイバー兵士たちのもとへ向かう。

「信号を出した」レナート。

装甲たちは動物的特徴を持つ戦争マシンのように戦場へ。

レナート、ハナ、ルシア、ベレニス、フリーダ、アマンダがそれぞれのアーマー、サイバー・サイ(サイの機械)、サイバー・リンス(砂漠のオオヤマネコ)、サイバー・フクロウ、サイバー・サソリ、サイバー・バイソン、サイバー・オオカミに乗る。

「悪魔どもを壊滅させる!」レナートたちは進軍を始めた。


ベルゼブブは全力で復活し翼を広げて力を放つ。レオは応戦し、激しい戦いが繰り広げられ、レオは地面に倒される。

「みんな、再会のために何年も訓練してきたんだ!」ルーカスはダラハンを攻撃しながら言う。

「アリスター、ルナ、準備しろ。マサムネ、悪魔斬り!」アヤセは猛獣の足の一つを斬る。

「獣を傷つけた?」ダラハンは信じられない様子。


アリスターはルナのアスカロンに手をかざし炎で強化する。

「アスカロン・ラスク。」

ルナは燃え盛る槍を投げ、獣の額を貫いて倒し、殺す。

「どうしてこんなに強くなったんだ?」ダラハンの心の声。


ガエル、クリス、サフィラは罪の僕の力を呼び出しダンバラと戦う。

ガエルは槍で攻撃、ダンバラは片手でそれを掴む。

ガエルが距離を取ると、サフィラは大砲からエネルギーを放つ。

ダンバラはそれを飲み込む。

蛇の鳴き声がダンバラの耳に響く。

気づくとクリスが蛇の姿でダンバラを巻きつけていた。

「くそったれ!」ダンバラ。


カーマンは地面からゾンビを召喚する。

「腐敗した冥界の魂よ、我が呼び声に応えよ。」


スザンは聖剣クラレンテとエクスカリバーを召喚し、荘厳な鎧を装着。

メイレインはサイバー・サメのアーマーで登場。

「手伝おうか、スザン?」

「いつでも歓迎よ。」スザン。

二人はカーマンのゾンビを次々に倒していく。


その間にレオは怒りに満ちて立ち上がり、周囲の地面を破壊した。

「ヴァレンティナ、彼は憎悪の僕の力に支配されている!」アヤセは叫ぶ。

ジョヴァナはヴァレンティナに近づき言う。

「ここから離れよう。」

「彼を助けなきゃ。」ヴァレンティナ。

「今は無理よ。」ジョヴァナ。


突然、レオの上に立方体の力場が現れ、大きな青と金のドラゴンが空から降りて穴を通り抜ける。

その魔法で悪魔たち、ベルゼブブも含め全員が元の世界へ追い返された。

「なにだこれは?」ベルゼブブ。

「また会おう。」ダラハンは次元の裂け目に消える。

「必ずだ。」ルーカス。


レオは閉じ込められた立方体の中で壁を殴り叫び続けた。

光が現れ、黒髪の美しい女性が現れる。彼女はシズカ、太陽の女神でアマテラスの生まれ変わりだった。

「神様、なんて美しいんだ!」レナートは感嘆する。

シズカは封印の札を多数取り出し、レオにかけて彼の力を奪い、黒と白の宝石に封じる。

それは憎悪と愛を表していた。レオは元の姿に戻り、彼を囲んでいた力場は消えた。


ドラゴンは人の姿に変わり、みんなが知るカルロス、元騎士であることがわかった。

「信じられない!」ルーカス。

「やあみんな。」カルロスはいつものように親しげに言った。


病床でレオはジョヴァナの看護を受けて目を覚ました。

「よく寝てたな。」カルロスは冗談を言う。

ルナ、アリスター、シズカ、アヤセが部屋にいた。

「起きてよかった。」ルナは抱きしめた。

「シズカもいるとは。」レオ。

「元気かい、親友のレオ?」シズカは優しく。

「あまり良くないみたいだな。これは何だ?」レオはシズカの手にある二つの石を見つめる。

「お前の力だよ。憎悪と愛。ごめんね、これしか方法がなかった。でもお前からあれほど簡単に力を奪えるとは思わなかった。まるで何かがそれらを追い出しているみたいだ。」シズカ。

「仕方ないよ。あの姿じゃあ役に立たなかったし。」

「お前が持ってなさい。」シズカは石を差し出した。

「そうだな、一番信頼できるのはアヤセだと思う。」

「え、私が?」アヤセは戸惑う。

「持っていって、アヤセ。みんなお前を信じてる。」

「また仕事が増えたなあ。」アヤセは冗談っぽく言った。

— ヴァレンティナはどこにいる? — レオが尋ねる。

— 「ニュー・スカイ」というところです。新しいスカイキャップです — ジョヴァナが答えた。


レオとカルロスは並んで歩き、「ニュー・スカイ」へ向かう。

— 「久しぶりだな、友よ。」

— 「本当に。ドラゴンの守護者、カルロスとはな。」

— 「お前は二つのオーラを操っていたな。」

— 「今はもうどちらも操れない。」

— 「ここで何があった?新しい人たちがいるのは見たが、昔の仲間たちがいなくて寂しい。」

— 「俺もお前と同じだ。俺は8年間昏睡状態だった。」

— 「冗談だろ、レオ。」


彼らが扉をくぐると、広大な庭園が広がっていた。さらに前を見ると、浮かぶ島のような土地の断片が5つあった。すべて社会「アルカンジョ」とつながっている。

— 「あれがヴァレンティナだ」 — カルロスが庭園の一つを見て言う。

— 「そうだ」 — レオが確認する。


近づくと、ヴァレンティナは古代騎士たちの像が立つ墓地にいた。そこにはロジャー教官、ヤタ、ニコル、チャン、ヴィニシウス、ダビッド、ペドロ、イヌン、サルン、トリンなどの墓碑があった。

— 「彼らは全員亡くなったのか?」 — カルロスは信じられない様子だった。

— 「俺はみんなが死んだなんて知らなかった」 — レオはとても悲しそうだ。


— 「これはベルゼブブの三度目の侵攻だ。お前たちがいなくなってからのことだ。最初は7年前、ヤタが死んだ時だ。彼は逃げるチャンスを作るために自らを犠牲にした。ニコル、チャン、ダビッド、そして技術チームのペドロ、イヌン、サルン、トリンは4年前の二度目の侵攻で亡くなった。ヴィニシウスはずっと前に死んでいる。レオがお前が昏睡状態に入った数日後だ。ダラハンとの戦いの傷が原因で助からなかった」 — ヴァレンティナが説明する。


— 「なんてこった、俺は何もできなかった。」

— 「お前だけじゃない、俺も止められなかった」 — カルロス。

— 「彼らは名誉ある死を遂げた。いつまでも嘆いている場合じゃない。仲間の記憶を尊重しろ」 — ヴァレンティナは真剣な表情で言う。


場の空気はとても悲しいものになった。

— 「ヴァレンティナ、あの巨大な浮かぶ土地は何?どうやって浮いているんだ?」

— 「これらはかつて天使の社会と呼ばれていた。第一がスローンズ、次がケルビム、第三がセラフィム、第四がシエルズ、そして最後が我々の古いアルカンジョだった。回収した賢者の石の力のおかげで反重力エネルギーを生み出している」 — ヴァレンティナは巨大な島々を見つめながら説明する。


— 「あの辺りには誰がいるんだ?」 — カルロス。

— 「もう誰もいない」 — ヴァレンティナ。

— 「どういうことだ?」 — レオ。

— 「司祭シロ、ロムロ、ジュピター、ダイアナのエクソシストたちを覚えているか?」 — ヴァレンティナ。

— 「覚えているよ」 — レオ。

— 「彼らはケルビムとセラフィムを守っていた。最後の教皇ミゲルの秘密の部下ダニエルとアナイラはスローンズとシエルズを管理していた」 — ヴァレンティナ。

— 「何があったんだ?」 — カルロス。

— 「彼らはベルゼブブを倒すために団結し、そこに住むすべての人を募ったが、悪魔たちの力を見誤った。みんな殺された。今は誰もそこに住んでいない。以来、我々は隠れている」 — ヴァレンティナ。


— 「信じられない!」 — レオ。

— 「ヴァレンティナ、俺たちがここで隠れているなら、地上の人たちはどこにいる?」 — カルロス。

— 「まだ理解していないのか?カルロス。俺たちがいるのはアルカンジョ社会だ。そして日本のレジスタンスの砦が地上に残された唯一の場所だ。ベルゼブブは世界規模の虐殺を引き起こした」 — ヴァレンティナ。


— 怒りながらレオは言う — 「あのクソ野郎は全ての責任を払わなければならない」

— 「ベルゼブブと他の悪魔は我々を一人ずつ倒した。彼らはとてつもなく強い」

— 「何を言っているんだ、お前は勇気の騎士、獅子の後継者ヴァレンティナ・レオノールだ。俺たちが彼を倒すんだ」


長い年月を経て、ヴァレンティナの瞳に再び輝きが戻った。

— 「ジョヴァナを呼んでくれ」 — ヴァレンティナ。

— 「そうこなくちゃ!」 — カルロス。


病床のヴァレンティナ。彼女はこの手術が危険すぎること、脊髄が回復しない可能性があることを確信している。

— 「もう何年も診ている。お前は優秀な医者だ。命を預けるよ、親友」

— 「彼は確かに我々に影響を与えている。戻ってきた途端、雰囲気が変わった」ジョヴァナは安堵の笑みを浮かべる。

— 「何も知らずに来たあのガキが、今や希望の柱だ」

— 「さあ、始めよう」 — ジョヴァナ。


レオは社会の部屋でメイレインと会う。

— 「で、何をするつもりだ?」 — メイレイン。

— 「あのサイバー戦闘スーツの一つが欲しい」 — レオ。

— 「そんな簡単にはいかないが、もっといいものがある。エル・シッドの剣と盾だ」 — メイレインは大切そうに武器を見つめる。

— 「それはロジャー教官のものだ」

— 「そう。彼はお前のことが好きだった。貸してあげたいと思っている」 — メイレインはガラスで保護された壁の中の武器を見せる。


最も古いメンバーたちと太陽の女神シズカがいる部屋で会議が行われている。

— 「スザン、どうする?このままじゃ生きていけない。次の攻撃で絶滅するかもしれない」 — ルーカス。

— 「我々が助け、受け入れた人たちを見捨てるわけにはいかない。俺たちはアルカンジョ。みんなを守らなければ!」 — ルナ。

— 「ルナ、そんなに簡単じゃない」 — スザン。

— 「簡単なことなんてない。亡くなった仲間たちのために戦おう。俺たちのために、そしてここにいる人類の未来のために」 — レオが剣とロジャーの盾を身につけて会議室に入る。

— 「兄さん!」 — アリスターは誇らしげに同意し、アヤセは微笑む。

— 「レオナルドはいつも希望の火花だ」 — シズカの心の声。

— 「俺はレオナルドに賛成だ」 — ヴァレンティナがジョヴァナと共に会議室の扉から入る。

— 「ヴァレンティナ、お前は…」 — ルナはその威厳を再び感じる。

— 「ヴァレンティナは前と変わらない」 — レオは大きく笑った。

— 「そう、戦う準備はできている」 — 彼女は真剣に言った。

— 「でもお前は戦えないだろ!」 — レオは心配した。

— 「それを決めるのはお前じゃない」 — ヴァレンティナ。

— でも、姉さん、回復したばかりじゃないか — ルナが言う。

— ルナ、私は何もしないわけにはいかない — ヴァレンティナ。

— わかってない、もう二度と君を失いたくないんだ! — レオは声を震わせて言う。


皆はそのやり取りに感動し、ヴァレンティナも驚いて言葉を失っていた。

— みんな!もう誰も失いたくない — レオは頭を下げ、悔しそうに言った。

アリスターはレオの肩を掴み — レオナルド、君は誰も失わない。僕たちは家族のように一緒に戦い、勝つんだ!


— みんながそう言うなら、そうしよう — スザンは自信に満ちて皆を見渡す。

— みんなを助けたいし、親友のレオも助けたいけど、フジモトたちが日本で待っている。悪魔たちは世界中に広がり、我々の抵抗は毎日攻撃を受けている。僕が来たのは、以前レオに灯した光の炎が弱っていたからだ。僕が着いた時には、憎しみの力で消されていた — シズカ。


— シズカ、ありがとう! — レオ。

シズカはレオの手を取り、唇で優しく触れた。手が輝き始める。

— これは何? — レオ。

— 心の声を聞き、正しい時に何をすべきかわかるだろう — シズカは神秘的に言った。


— 新しい総会を招集し、準備を始めよう — ルーカス。


「ニュー・スカイ」の庭園で、シズカとヴァレンティナが美しい夕日を眺めている。

— それで、話したいことは何? — ヴァレンティナ。

— ヴァレンティナ、僕たちはあまり話さなかったけど、伝えたいことがある — シズカ。

— 何? — ヴァレンティナ。

— 時間を無駄にしないで、手遅れになる前に気持ちを解き放ちなさい。

— 何の話?

— レオナルドは素晴らしい人よ。チャンスを逃さないで。あなたはそれが得意だった。だから決断しなさい。

— 私と彼に何かあると思う?ない、ないよ… — ヴァレンティナは否定し、照れている。

— 誇りで隠せないわ。あなたの心を通して見える。あの男は少しずつあなたを魅了している — シズカ。


ヴァレンティナは空を見上げ、ため息をつく。

— 無理だよ。私たちは違うし、時間もない。今は戦争中だ。

— 私たちは皆違うものを持っているし、愛のような良いものにはいつだって時間があるわ — シズカは笑顔で言う。


— 私はこういう人間で、彼は君のような美しい女神に惹かれている。君は優しく調和的だ。私とは違って粗暴じゃない。

— 私が? — シズカは控えめに笑う。

— 日本であの時、彼に興味を持たなかったの? — ヴァレンティナが問いかける。

— ええ! — シズカ。

ヴァレンティナは空を見上げ、照れ笑いを浮かべる。

— でも彼が君を見ているのを見て、チャンスはないと思ったわ — 太陽の女神は認める。

— でもアヤセもいる。

— 私?ヴァレンティナ、バカじゃないの。あの馬鹿は君に惹かれているのを隠せていなかったわ。最初は好きじゃなかったけど、彼が周りの人のためだけに行動しているのがわかった。時々うざいけど、心は純粋な人よ — アヤセが会話に割り込む。

— あなたも! — ヴァレンティナは二人を見て言う。

— 騎士が動かなければ、他の誰かが行く — アヤセはからかうように言う。


ヴァレンティナは何と言っていいかわからず、どもる。

— 大丈夫? — シズカ。

— はい、彼に話して決着をつけます — ヴァレンティナは深呼吸した。

— それは良かった! — シズカは嬉しそう。

— 決着?これは戦いじゃないわよ、でもまあ、明日のアルカンジョ総会の知らせに来たの。

シズカとヴァレンティナは気を引き締めて互いを見る。


ジョヴァナの診療室にいるレオ。

— それで、何がしたい?病気か?

— ばかじゃないよ! — ジョヴァナ。

— じゃあ何で連れてきた?

— いつまでヴァレンティナへの気持ちをごまかすつもり?

レオはどもり、赤面する。

— な、なに?

— 私は友達だから言うけど、一度失ったと思ったなら、今あるチャンスを逃さないで!運命が二人にチャンスを与えたのよ。

レオはため息をつく。

— わかった、任せてくれ!

— 早かったわね、そんなにバカじゃなかったのね!

レオがドアを出ると、ジョヴァナは幸運を祈る。彼は笑顔で答えた。

— うまくいくといいな!


廊下でレオはシズカ、アヤセ、ヴァレンティナに会う。

— やあ、みんな。ヴァレンティナ、話がある!

— シズカ、行こう。レオ、バカなことしないで — アヤセ。

— いきなりそれ? — レオ。

— 待って — ヴァレンティナ。

— またね — シズカは別れを告げる。

— 話せる? — レオは汗をかきながら。

— うん、話して。

— もう少し人目のない場所へ。

ヴァレンティナは頷く。


部屋に入るレオとヴァレンティナ。廊下の角でアリスターとルナが彼らの部屋入りを見ている。

— 一緒に?あれはヴァレンティナとレオか? — ルナ。

— そうみたいだな — アリスター。二人は驚いた顔で見合う。


— さて、話したいことは? — ヴァレンティナ。

— 大きな部屋だな、以前のところとは違う。ここは全部違うようだ。 — 緊張しながらも彼は目を合わせない。

— ベルゼブブと戦ってから8年、全てが変わった。多くの友を失い、この場所を築いたが、すべて無駄だった気がする — ヴァレンティナは悲しげに言う。

— ヴァレンティナ、俺は世界を取り戻すために全力を尽くす。

ヴァレンティナはレオの手を握り、言った。

— 話したいことがあるの。

— その前に、ずっと言えなかったことを話さなきゃ。

ヴァレンティナは不安そうにしている。

――ヴァレンティナ、愛してる。君がロマンチックなタイプじゃないのはわかってる。でも、承認なんて求めてない。ただ、君に僕の気持ちを知ってほしかったんだ。

――レオは言葉を飲み込みながらも、誠実に告げた。


――あなたは本当におバカね。いつもリスクを取って、自分勝手にみんなを守ろうとする。

――ヴァレンティナは拳を握りしめた。


レオは目を伏せて静かに答える。

――「わかってる。」


――でも、君はこの場に来て以来、僕たちのためにずっと尽くしてきた人だ。正直言って、僕が君の何を見たのか自分でもわからないけど…


――「全部だよ。君は美しいし、強くて守り手だ。君のそばにいる人は誰でも安心する。君はどんなことにも強く、クールな面もあるけど、その全てが好きなんだ。」


レオはベッドへ坐り、ヴァレンティナも隣に坐る。彼はそっと彼女の手を取り、二人は見つめ合い、強く抱き合って一つの熱いキスを交わした。しばらくして、二人は並んで横たわっていた。


――「もう19時46分だ。そろそろ行かないと。」


――レオナルド、今日は…君と夜を過ごしたい。ずっとこうしたかった。

――ヴァレンティナは今までにないほど優しい口調で言った。


レオはそっと彼女の顔に手を置き、緑の瞳を見つめながら言った。

――「君はこの世界で一番美しい存在だよ。」


翌日の会議


レオはエル・シッドの剣と盾をまとい、食堂の平台に立って演説した。周囲には社会の全メンバーが集まっていた。


――「みなさん、ほとんどの方が私を知らないでしょう。私はかつて“愛の騎士”、ランスロットの後継者として知られていたレオナルドです。最近ベルゼブブとの戦いで騎士としての役割を失いましたが、それでも戦うことを諦めません。私は今、過去の仲間たちに向けて訴えます。人類を苦しめるこの現状を誰かが止めなくては。私たちは友を失い、多くの罪なき人々が犠牲になりました。しかし、共に戦えば、必ず勝つことができます。」


――「具体的にはどうするんだ、レオ?」――レナート。


――「友人のカルロスが新たな力で回収してくれた神器を披露したい」とレオは黒い布がかけられたテーブルを指さした。


――「それは何だ?」――ルナ。


――「カルロス、見せてくれ」――レオ。


布が払われると、人々は驚きと戸惑いの表情を浮かべた。


――「スザン、今の司令官としても、私が分配してもいいですか?」――レオ。


――「頼むよ。お前が回収したものだから。」――スザン。


――「ロンギヌスの槍、銀貨、茨の冠、そして聖杯です。ガエル、お願いだ。君と他の僕たちに、地獄の門を再び開いてほしい。」――レオ。


――「今度は最善を尽くすよ。」――ガエル。


――「分かってるよ」――スザン。


――「門を開くのはその後の話だな?」――スザン。


――「それは君の役目だ。君が聖杯を使って門を封じ、すべての悪魔を閉じ込める。」――レオ。


――「どうすれば見つからずにそれを成し遂げられるのか?」――スザン。


――「最後まで戦うしかない。」――レオ。


――(スザンが笑う)「成功の可能性は低そうね。」


――「騎士と僕たち全員、僕の側で全力で戦おう。」――レオ。


そしてルーカス、スザン、ルナ、アリスター、ヴァレンティナ、カルロス、ジョヴァナ、ガエル、アヤセ、クリス、サフィラが前に進み出た。


――「ちょっと待って!」――「私たちもアルカンジョの一員です。戦います!」――アマンダが言った。


全員が彼女を見た。レナートも驚いた表情をした。


――「もちろんだ。君たちは今の希望だ。守れる人々を守るためにここにいてくれ。」――スザン。


――「隊長、私たちが彼らを守ります。」――マリン隊長、マイケル博士、メイレイン。


――「そうだ!」――スザン。


アマンダは涙を流した。


戦士たちは2機の機体に分乗した。

第一機にはスザン、ガエル、クリス、サフィラが、

第二機にはレオ、ヴァレンティナ、アリスター、ルナ、ジョヴァナ、カルロス、ルーカスが乗り込んだ。

残された人々は緊張し、仲間を思って涙する者もいた。


――「スザン、黒い塔が見える」――レオは副操縦席から言った。

――「あれがベルゼブブが築いた恐怖の帝国よ。」――スザン操縦。

――「スザン、塔の頂上で門を開いている間に突入しよう。」――レオ。

――「了解!」――スザン。


すると第二機の前方へベルペゴールが現れた。


――「人間って予測がつくな!」

――「今だ!」――レオは命じた。


機体から煙幕が放たれ、ベルペゴールの視界を奪った。ヴァレンティナ、アヤセ、アリスターは装甲と武器で前に出る。煙の中で姿を隠され、煙が晴れたときにはベルペゴールは動きを封じられていた。


――「ライオンの咆哮!」――ヴァレンティナのソニック攻撃。

アリスターはルナの背に手を添え、炎をアスカロンの刃に乗せて叫んだ――「ドラゴン喰らいの炎!」

ベルペゴールは地面に叩きつけられ、傷ついたが依然として立っていた。


スザンはガエル、クリス、サフィラと共に塔頂へ向かった。ベルペゴールは航空機を見つめながら尋ねた――「一体何をするつもりだ?」

レオ機が着陸し、カルロスがルナとアリスターを魔法で遠ざけた。

――「何をしてるの?」――ルナが叫ぶ。

――「そこにいて」――ヴァレンティナは振り返り言う。


アリスターとルナが近づこうとすると、その場に留まるように命じられた。

――「君たちには危険すぎる。ジョヴァナの手伝いをして。彼女は君たちを必要としている。」――ヴァレンティナ。

――「私たちは、あなたたちが好きなんだ!」――レオが叫ぶ。

――「レオ、それは不公平よ…」――アリスターは兄に泣き言を言う。

――「気をつけろ、アリスター。君はずっと強くあるべきだ。」――アヤセは微笑む。

――「ルナ、アリスター、君たちは美しく強い女性になった。誇りに思っている。」――レオ。

――「そうね。誇り…それが私たちの気持ちを表しているわ。」――ヴァレンティナ。

アリスターとルナは涙する。ベルペゴールが近づくが、レオはエル・シッドの盾で盾となる。


――「カルロス、始めてくれ!」――レオがベルペゴールとの力比べの起点に立つ。


カルロスは空高く跳ね雲間へ飛び、青と黄のドラゴンが塔を囲むような力場を広げた。

――「始まった!」――ガエルがロンギヌスの槍を握り締める。

三神具を整えたガエル、クリス、サフィラ。しかし何も起きない。


――「一体何が起こっている?」――アスモデウスが低く言った。

アスモデウスとベルゼブブが次元の裂け目と共に現れた。ダラハン、カルマン、ダンバラ、リリスも四将軍と共に。

――「ランスロットの騎士よ、そこにいるのか?」――ベルゼブブ。

ベルペゴールは背後に下がり、他の悪魔も距離を取った。

――「論点に集中しろ、ベルゼブブ。」――ベルペゴール。

――「ベルペゴール、お前の言い方は気に入らない」――ベルゼブブは苛立つ。

――「昨日の衝動行動が今回の奇襲につながったのか?」――ベルペゴール。

――「もしそうなら?何も変わらん。奴らを皆殺しにするだけだ。」――ベルゼブブ。


アスモデウスは塔頂へ飛びつつ三神器を見つけたが、スザンに一撃され地面へ吹き飛ばされた。

――「奴らは門を開けようとしている」――ベルゼブブ。

――「深刻だ。アスモデウス、阻止しろ!」――ベルペゴール。

――「どうやって門を開く?」――スザン。

――「我々は死神や生命主のように魂の糸を操れないが…神の子」――ガエルが詠唱する。

――「どういう意味?」――スザン。

――「これは犠牲を通じて門を開くという意味だ」――クリス。

――「クソ…俺たちはそれのために生まれたのか」――サフィラ。

― 死が私たちに託した役目を果たそう。新しい世代が私たちよりも良い人生を送れるように ― ガエル

― あなたたちはいつまでもこの協会の一員よ! ― スザン


ガエル、クリス、サフィラは聖遺物を手にし、魂を犠牲に捧げる。彼らの体から光が放たれ、魂が肉体から離れていくのが見える。


― 邪魔はさせん! ― アスモデウスが再び現れる。


― クラレント、そしてエクスカリバー! ― スザンが武器と鎧を召喚し、アスモデウスの攻撃を止める。


― 邪魔はさせない ― スザンは全力を出し、その力が光となってあふれ出す。


アスモデウスとスザンは塔の上から一緒に落下する。


― ルナ、アリスター、援護して! ― ジョヴァナが最も美しいとされる騎士の鎧をまとい、祈りの形で両手を組み、トランス状態に入る。


他の悪魔たちがジョヴァナ、アリスター、ルナの周囲に集まる。


― 彼女を守らないと! ― ルナ

― 最後まで一緒だよ、友達 ― アリスターが微笑む。


ジョヴァナは精神でバレンティナと繋がる ― バレンティナ、私よ、ジョヴァナ。

― それがあなたの最終能力なのね ― バレンティナも心で答える。


― あなたの防御は私が守る、だから全力で攻撃して、私が癒すわ。

― 任せて ― バレンティナが力を解放する準備をする。


突然、バレンティナから赤いオーラが放たれ、目は獣のように鋭くなり、爪が伸び、鎧はより体にフィットし、軽やかな姿に変わる。


― これは最終形態…ライオンが慎重さと失敗への恐れを捨て、本能だけになる時 ― バレンティナは獣のような集中状態にある。


― 信じられない… ― レオが震える。


ポータルが開き始める。ベルフェゴールはそれを阻止しようとするが、バレンティナが容赦なく攻撃を加える。ベルフェゴールが彼女の胸を殴り、骨が砕けるが、ジョヴァナの力で即座に再生する。


― 何だと…? ― ベルフェゴール


バレンティナは再び突進し、ベルフェゴールの顔を引っかいて後退させる。しかし彼もまた再生する。


― 騎士よ、お前は仲間が死ぬのを見たいのか?ならば、私が奴らを奴隷にしてやろう ― ベルゼブブ

― ベルゼブブ、お前の侮辱など、もはや私には効かない ― レオ

― つまらないな、前の方が面白かったのに。もう力がないのだろう?なら殺してやる ― ベルゼブブは黒いエネルギーの球を召喚し、レオに投げつけるが、彼は炎に包まれたエル・シッドの盾でそれを防ぐ。


― 私の攻撃を耐えただと…? ― ベルゼブブは困惑しながらも冷静。

― この炎は…? ― レオは静香から手に受けたキスを思い出す。


ダラハン、カルマン、ダンバラ、リリスが攻撃を仕掛ける。

― 私たちを忘れないでよ ― ルーカスとアヤセが登場する。

― この忌まわしい人間どもめ! ― リリス


― 受け取ってアヤセ! ― ルーカスが剣を投げる。

― 村正!? ― アヤセは驚く。


ダラハンが黒い剣で攻撃してくる。ルーカスは風の波で防ごうとするが、ダラハンの力は強く、その風を切り裂いてしまう。アヤセは正宗と村正の双剣でダンバラとリリスを相手取る。


リリスは口から無数の黒い蛇を吐き出し、アヤセを襲わせるが、彼女はすべてを切り裂いて拒絶する。カルマンは歌を歌いながら、地獄からオーガのような悪魔たちを召喚する。


― ルーカス、手伝って! ― アヤセ

― 僕の後ろに来て、アヤセ ― ルーカスは両手を合わせ、大きな風圧を集中させる。


― 何をする気なの!? ― アヤセは叫ぶ、風が強すぎる。

ルーカスはレオが技の範囲にいることに気付き叫ぶ ― レオ、僕の後ろへ退け!


レオは指示に従い、後退する。

― この技は僕の霊力をすべて消費する。7年間、これを磨いてきた ― ルーカス


ダラハンたち将軍が攻撃しようとするが、レオとアヤセがそれを防いで食い止める。

― ルーカス、まだか!? ― アヤセが叫ぶ。

― もう少しだけ… ― 鼻血を流しながらルーカスが答える。


炎が消え、レオの武器もボロボロになる ― 時間切れか…


ヴァレンティナは仲間の動きを察し、ベルフェゴールとベルゼブブを同時に攻撃して、彼らをルーカスの技の範囲へと誘導する。

ベルフェゴールとベルゼブブはヴァレンティナに二撃同時に浴びせ、彼女の足と腕が折れる。


― 喰らえ、終焉の嵐よ! ― ルーカスは両手から直線状に渦巻く巨大な風を放つ。


スザンはアスモデウスを振り払ってヴァレンティナを抱え、ジョヴァナの癒し能力で彼女の骨はすぐに回復する。

将軍たちは渦から逃れようとするが、地面が舞い上がる。ルーカスは腕を使いその渦を操る。


― あの渦を手で動かしている!?手が血だらけなのに… ― ダンバラ


ルーカスはベルゼブブに狙いを定める。

― そんなものが私に当たると思うか?人間め! ― ベルゼブブ


しかしベルフェゴールがベルゼブブの足を魔法で地面に縛り付ける。そしてルーカスの渦は細く凝縮され、ベルゼブブの腹を貫く。

皆が呆然とその光景を見つめる。


― 貴様…何をしたベルフェゴール…!? ― ベルゼブブは血を吐きながら問う。

― 黙れ。お前の失敗で計画はすべて台無しだ ― ベルフェゴール


― 貴様を殺してやる…! ― ベルゼブブ


ベルフェゴールはベルゼブブの首に噛みつき、地面に倒れた彼を獣のように食らい尽くす。

他の悪魔たちも状況を理解できず呆然とする。


― ベルフェゴール、何をしている!? ― アスモデウス


ベルフェゴールは立ち上がる。彼の姿は蒼白な肌、顔に浮かぶ無数の血管、真っ白な目、顔の両側にそれぞれ3つの目、巨大な口、体中に紫の血管、2本の角と尻尾を持つ異形の存在へと変貌していた。


アスモデウスは異変を察知し逃げようとするが、ベルフェゴール(レギオン)は彼を追いかけ、生きたまま喰らう。悲鳴だけが響き渡る。


― なんだこれは…? ― リリスは怯えた声で尋ねる。

― これが真の黙示録の獣だ… ― ダラハン


― 終わったな… ― ガエル

― また別の人生があるなら、そこで会いましょう ― サフィラ

クリスは微笑む。


ガエル、クリス、サフィラは姿を消し、ポータルが開く。


― ありがとうスザン! これはチャンスだ。聖杯を使って悪魔たちを封印しよう! ― レオ


スザンは塔を見上げるが、ベルフェゴール(レギオン)は不気味に彼女を見つめ、手をかざすだけでスザンをポータルの中へと放り込む。


― 今のは何だったんだ…!? ― レオは、その存在の放つ力に信じられない様子。


ベルフェゴールは宙に浮き、両手を広げる。口を開けるとその中にブラックホールが現れ、世界中の悪魔たちを吸い込み始める。

地獄の将軍たちも逃れられず吸収される。


― 俺たちは…終わった… ― ダラハンは塵のように消える。

リリスが叫ぶが、それも無駄だった。


― 悪魔が…いなくなった…? ― ルナは信じられない様子。

ジョヴァナの意識が戻り、鎧が消える ― エネルギーを使い果たしたようね…


ベルフェゴール(レギオン)は青黒く変色し、全身に紫の血管、6つの目、大きな口と角、尾を持つ異形となる。

― 我に跪け、塵どもよ。名は…レギオン…


― どうすれば…? ― ルーカスは疲れ果てた声で言う。


レギオンはポータルを閉じ、手を振るだけで結界を消し去る。

ドラゴン化したカルロスが突撃するが、レギオンに触れられただけで真っ二つにされる。


― カルロス…死んだのか…? 何が起きてるんだ…


騎士たちは皆、鎧を失い、力尽きた状態で絶望の中にいる。

レギオンはやや離れた場所にいるバレンティナを見つけ、黒い槍を召喚して投げる。


その瞬間、レオが最後の霊力を振り絞ってバレンティナの前に飛び出し、彼女を庇って背中に直撃を受ける。


― レオ! ― アリスター


バレンティナはレオを抱きかかえる。彼は生きているようには見えない。

ショック状態に陥ったバレンティナに、ルナが叫ぶが彼女には届かない。


ルーカスがバレンティナの腕を引いて立ち去ろうとする。レオはその場に倒れる。

バレンティナはまるで自我を失ったような状態。


― ルーカス、レオの体を置いていくの? ― ジョヴァナ

― 今はどうしようもない。ここにいたら私たちも死ぬ… ― アリスターが涙を流しながら言う。

挿絵(By みてみん)

— アリスター!– ジョバナが泣き叫ぶ。


真っ白な空間の中に、レオは再び立っていた。周囲を見回しても、白い光に包まれた空間が広がるだけ。ふと視線を移すと、中型の木が鉢植えに入って立っている。風もないのに、一枚の葉がひらりと落ちる。


— ここはどこだ?– レオは戸惑いながら言う。


— やあ。– 小さな子供がレオの服を引っ張る。オーバーオールを着て、茶色い髪、白い肌、黒い瞳の少年。


— こんにちは。君は誰?– レオ。


— 僕は神さまだよ!– 少年。


— え?神様?


— 信じないの?


— いや、ちょっと……


— 僕は自分がどこにいるのか知りたいんだ。だって、僕の仲間たちが……– レオが話そうとした瞬間、


— 知ってるよ、君の仲間たちが君を必要としていることも、レオナルド、君がいつも友達を気にかけていることも。– 少年が言う。


突然、少年の姿が消える。


— ここだよ。– 低く重い声が響く。


レオが振り返ると、エレガントな服装の男が立っていた。ベストにシャツ、赤毛の髪と髭、茶色の瞳。


— あなたは誰?– レオ。


— 言っただろう、私は神だ。– 男は答える。


— まさか……まだ昏睡状態なのか?それとも俺はもう正気じゃないのか?– レオは空を見上げる。


— 神の名を軽々しく口にするな、レオナルド。– 男は微笑んで言う。


— 本当に神様なら、証拠を見せてください。


— 神を試すな!


その瞬間、白い空間は過去の戦いやレオの経験の映像に変わり、彼は驚愕する。


— 君を信じさせることはできる。だが君には自由意志がある。信じるかどうかは君が決めることだ。– 男。


— もしあなたが神なら、なぜ僕の祈りを聞いて、争いを止めてくれなかったんですか?– レオは丁寧に尋ねる。


— レオナルド、それはそんなに簡単な話じゃない。人間以外の干渉も多くあった。それでも私は君を忘れたことはない。君の祈りを聞いていた。君と君の仲間たちを信じていた。


— たくさんの人が死んだ……– レオが悲しげに言う。


— だが、それは終わりではない。考えてみてくれ、彼らは本物の戦士として戦ったんだ。


次の瞬間、男の姿が消え、失われた仲間たちがレオの前に現れる。


— お前、変わったな。そんな顔するなよ!– ロジャーがレオの首を抱きしめる。


— 教官、ロジャー!


— 集中を保て。– ロジャー。


— みんなを助けて、レオ。– ニコルは笑顔で言う。


— お前がいなくて寂しかったよ、でも戻ってきたんだな!– チャン。


— ルーカスがまた問題起こしてるだろ?ちゃんとみんなの面倒を見ろよ。– ヴィニシウス。


— レオ、世界を見捨てないで。我々のアルカンジョを頼んだぞ。– デイビッド。


— テクノロジーチームも忘れないで。– ペドロとサルン、イヌン、トリン。


— 信仰を貫け!– ミゲルとダニエル、アナイラ。


— この悪魔たちを止めてくれ、息子よ。– シーロ神父。


— そうだ!– ロムロ。


— 進み続けろ、騎士よ。– ジュピター。


— 集中しろ、神の騎士よ!– ダイアナ。


— アルカンジョでの年月は、人生最高の時間だった。あの人たちを守ってくれ!– ヤタ。


みな落ち着いた表情で、少しずつ消えていく。目を開けると、またあの木があり、そばには黒人女性が立っていた。肩までのウェーブのある髪、サーモン色のドレス。


— 神様、ですよね?– レオ。


— よく分かったね。– 微笑む。


— 神って、空で一番輝く星みたいな存在かと思ってた。


— それも間違いじゃない。神には形がない。神はすべて、宇宙を動かし治めるエネルギー。私は言葉であり、始まりであり、終わりであり、変化であり、時間であり、空間。


— 大変そうですね。– レオ。


— でも人間ほどじゃないよ。– 彼女は笑う。


レオは無言になる。


— 笑っていいんだよ。君が冗談好きなの知ってる。


— 戻れるのかな……。


— それは君次第。どうしたいの?


— 戻っても、あんなものに勝てるとは思えない。でも、仲間を見捨てられない。……たぶん、ただもう一度会いたかっただけかもしれない。


— で、決めたの?


— 僕は弱すぎる!


— 彼女はそう思ってないようだけどね。


神が指差す先に、金髪碧眼の女性が現れる。足元まで伸びた髪、白い肌、白い美しいドレス、尖った耳。


— あなたは……?– レオ。


— 私はヴィヴィアン、アヴァロンの精霊。ランスロットの盾は私が授けたもの。アーサーにエクスカリバーを与えたように。盾はまた愛のある英雄を選んだ。それがあなた、レオナルド!– ヴィヴィアン。


— でも、もう盾は持ってない。


— そうね。でもあなたがその盾に選ばれたのは、正しく清らかな心があったから。


— あなたの声……知ってる。


— そう、知ってるの。


— でもどこで?


彼女の姿が消え、声だけが響く。


— あなたの夢の中よ。私はずっとそこにいた。すべての人生で。


— 彼女のような高位の魂が、僕に信頼を?– レオ。


— そうだ、レオ。– 神。彼女はずっと君を見守っていたんだ。


— 分かりました、神様。戻りたいです!


— よろしい。だが、一つだけ条件がある。最後の存在が君に説明すべきことがある。


レオが振り返ると、そこに死神が立っていた。


— あなたは生きているの?それとも死んでいる?


— どちらでもない。ただ、今はそれが重要ではない。– 死神。


— 僕が戻って、愛する者たちのために戦いたいのなら、課された代償を受け入れる覚悟が必要だ。


— 受け入れます!– レオ。


— では、食べるがいい。– 死神は木を指差す。


— この果実を?– レオが振り返ると、もう誰もいなかった。

レオが近づき、木から黄色い果実をもぎ取って食べる。

戦場では、傷ついたレオの体に空から降り注ぐ光が包み込み、その光は皆の視界を遮る。光が消えると、レオは黒いシンプルなスーツと死神の大鎌を身に着けて生まれ変わっていた。

「レオ?」―ルーカス。

「大丈夫か?早くそこから出ろ、兄弟!」―アリスター。

皆が信じられない様子で見つめる中、レオは友人たちに微笑み、その後レギオンを見据える。

「だが、お前は死んだはずだ!」―複数の悪魔の声が響くレギオン。

「馬鹿なことを言うな。お前には俺を殺せない。俺は“死”そのものだからな」―レオは静かに言う。

「今、何て言ったの?」―ルナ。

馬鹿な、とベルフェゴールは下半身と上半身が融合したような悪魔の翼を広げる。レオはレギオンの前に跳躍し、白くて黒い先端のある翼を広げる。

「お前に勝てると思っているのか?」―レギオン。

レギオンは赤く黒い筋のあるエネルギーを口に集め、レオに向かって放つ。レオはすばやく大鎌でそのエネルギーを二つに斬り裂き、地面に落ちたそれが大爆発を起こし、衝撃波がルナたちを巻き込む。


アルカンジョの本部では皆が不安に包まれる。

「彼らは勝てたのかしら?」―アマンダ。

「わからないけど、信じるしかない」―マイレイン。


“New SKY”の戦場では皆が爆発の見える地平線を見つめている。

「宇宙の皇帝に挑む気か?」―レギオン。

「俺に従えば力をやろう。共に世界の向こう側まで支配するのだ」―レギオン。

「その申し出は断る」

「ならば死ね」―レギオンは地面から巨大な骨の蛇を召喚する。

「レギオン、世界の均衡を汚し挑戦した罪により、お前は罰を受ける」

レギオンは笑い、骨の蛇が攻撃を開始する。レオは大鎌で防御し、火花が飛び散る中、悪の存在が連続攻撃を仕掛ける。レオは空へ飛び、蛇が届かない位置へ移動。蛇は口を開け、鋭い骨の弾を放つ。レオは透明な盾で防ぎ、攻撃が止むと大鎌を回転させ蛇の頭を斬り落とす。


レギオンが瞬時にレオの横に現れ、赤い三つの球体を手に回転させる。それを投げると爆発が起き、レオは吹き飛ばされ、上半身の服が半分焼ける。

「まだ生きているのか?」―レギオン。


突然、レオは自分のそばに亡き者たちの魂が見える。

「時が来たぞ、少年」―ロジャーが肩に手を置く。

レオは膝をつきながら立ち上がり、霊たちの助けを借りて白い球を手に集める。

「そうはさせない」―レギオン。


黄色い封印がレギオンを拘束する。下半身を失ったカルロスが地面にいる。

「カルロス?」―アリスター。

「生きてる!」―ジョバナ。


レオは目を閉じたまま集中し、手に力を集める。

「このやろう!」―怒ったレギオンが叫び、カルロスの封印が弱まる。


突然、バレンティナが走り、レギオンの頭上からパンチを繰り出し、彼を地面に倒す。アヤセも現れ、バレンティナと協力し、正宗と村正の剣をレギオンの翼に突き刺す。

「すごい…」―ルナ。

「本当にな」―アリスター。


レオが目を開け、ジャンプする。

「バレンティナ、離れて!」―アヤセ。

2人が避けた後、レオは球体をレギオンに直接放つ。巨大な力が戦場にクレーターを作り、レオは疲弊しながら二つに裂かれたレギオンの前に立つ。翼を打ち、レオはクレーターから飛び出す。

「やったの?」―バレンティナ。

皆が喜んで笑う。

「カルロスを任せて」―ジョバナ。


だがその直後、レギオンが体が壊れているにも関わらず飛び上がる。

「貴様らごときに俺を止められると思ったか?」

「何だって?」―ルーカス。


レオが不安そうに見ると、次元の裂け目が開き、スーザンと5人の男たちが現れる。全員美形で、その中でも一人は特に美しく、首元までの灰色の髪と、どんな空や海よりも美しい青い瞳を持っている。彼は指で裂け目を開く。

「お前か?本来なら投獄されているはずだ!」―レギオン。

その男は微笑み、人差し指一本でレギオンを裂け目へと投げ込む。

「覚えていろ、また戻ってくるぞ!」―傷を負ったレギオンが裂け目に消える。


スーザンと男たちがレオに近づく。バレンティナたちは彼を守ろうと駆け寄る。全員が警戒している。彼らは悪魔のようだ。

灰色の髪の男が話す。

「これが騎士たちか?素晴らしい。私の父の創造物は実に興味深い」


「レオ、大丈夫か?」―アリスターが抱きしめる。

「スーザン?生きてたのか?こいつらは誰だ?」―ルーカス。

「失礼しました、自己紹介しましょう。私は地獄の皇帝ルシファー。そして他の者たちは、地獄の王子マモン、アザゼル、レヴィアタン、アスタロトです。ベルゼブブ、ベルフェゴール、アスモデウスが我々を封印して計画を進めていたのです」―スーザン。


「また悪魔か?」―ルナ。

「落ち着きなさい。若き女性よ、私は今のところこの世界に害を与えるつもりはない」―ルシファーは穏やかに話す。

「ベルゼブブに騙され、自らの城に何世紀もかけて編まれた強力な眠りの魔法で閉じ込められていた」―レヴィアタン。

「しかし、全ての計画を仕組んだのはベルフェゴールのようだな」―アザゼル。

「もう過ぎたことだ」―ルシファーは優しく言う。


「で、どうするつもりだ?」―レオは警戒を緩めない。

「我々は戻り、レギオンを再び封印する。真の黙示録の日が来るまでな」―ルシファーは誰よりも冷たく獰猛な眼差しを見せる。

「その日までに、俺たちはもっと強くなっている」―レオは対抗する。

「面白い。父はお前を信頼しているのだろう。こんなに早く戻る機会と“死”の役割を与えるほどに」―ルシファー。


「えっ?“死”って?」―アリスター。

「スーザン、助けてくれてありがとう」―ルシファー。


男たちは次元の裂け目へと消えていく。レオたちはそれを見送る。

「また会おう」―ルシファー。

「終わった…!」―ルーカス。

「いや、違う。これは延期されただけだ。人間の理解を超えた世界がある。俺たちは小さく未熟だが、感情だけは力になる」―レオは地平線を見つめながら言う。


ルナとアリスターが彼を抱きしめる。

「これからどうするの?」―アヤセ。

「待とう。そして備えよう。いや、新しい世代を育てよう」―スーザン。

「今は終わったようだ。帰ってやり直そう」―バレンティナ。

「そうだね」―アリスターとルナが同時に答える。


レオが空を見上げると、雨が降り始める。

「レオナルド?」―バレンティナ。

「俺は戻れない」―レオは悲しそうに言う。

「何だって?」―アリスター。

「どういうこと?」―アヤセ。

— これが私たちの世界に戻り、死の役割を引き受け、その役目を果たすための代償だった — レオは悲しい笑みを浮かべながら最後の言葉を告げた。

— いや — アリスターはレオに駆け寄り、泣きながら胸に手と顔を押し当てる。

— アリスター、僕は…

— 私のことを守るって約束したじゃない! — アリスターは泣き叫ぶ。

— アリスター、お前の兄は契約を結んだんだ、その契約を守らなければならない、それは破れない法だ — ヴァレンティナ。

— あなたには簡単なんでしょう、彼のことなんて気にしないで! — アリスターは厳しい口調で言う。

— アリスター! — ルナが彼女をなだめようとする。

— 私にとって簡単なことだと思う?愛する人をこんな形で失うなんて、とくに今、気持ちを伝える勇気を持ったばかりなのに。なぜ受け入れられないの? — ヴァレンティナは泣きながらアリスターの襟を掴む。

— ヴァレンティナ… — アリスターが言葉を止める。


みんな悲しみに包まれる。レオはヴァレンティナ、アリスター、ルナを抱きしめた。

— いつも君たちと共にいるよ、大切な君たちよ!ジョヴァナ、みんなをまとめ続けてくれ。ルーカス、頼むぞ、みんなを守ってくれ。スザンはいつものようにリーダーでいてくれ。カルロス、君は僕と同じ立場だが、元気でいてくれ、親友よ!


12年後。

抵抗の都市たちが集まっている。アルカンジョ、ケルビム、セラフィム、スローンズ、ヘブンズ。それらは無数の巨大な柱に支えられ、地上にそびえている。この土地は、悪魔との戦争の後に都市と緑が復興し、世界人口は大きく増加し、すべてが希望に満ちている。


— ママ、ママ — 茶色の髪と緑の瞳の少女がアルカンジョの廊下を走り、年上の二人にぶつかる。

— すみません、マイケル博士、マリーン隊長。

— あの子は何でもかき回すのよ — マイケル博士。

— お父さんに似てる — マリーン隊長。


少女はドアを開け、二人の女性を見る。

— ジョヴァナおばさん、ママ見なかった?

— きっとニュー・スカイにいるわよ — 白衣を着たジョヴァナは何かを調べているようだ。

— ありがとう!

— でもあの子は全然じっとしてないのね — メイレーンが椅子に座り言う。


少女はまた走り出す。廊下の向こうから男性が逆方向に歩いてくる。

— ルーカス教官、気をつけて!

男性は壁に寄りかかり、

— 気をつけろ、転ぶぞ、と言う。


廊下の橋を渡りながら、彼女は下を覗くと、多くの人が機械を操作しており、全ての「サイバー兵士」が鎧をまとっている。

— ねぇ、誰か見た?

— いいえ! — みんな一斉に答え遮る、慣れているようだ。

— 授業はないの? — アマンダ。

— また後でね、アマンダさん。


アマンダは首を振り笑う。

— 経済はどう? — アリスター。

— すごく成長しているわ。戦争から12年で9つの都市がすでに建設された — ルナがコーヒーを飲みながら答える。


少女はルナとアリスターの部屋の前を通る。

— あの子はあなたの姪じゃない? — アリスター。

— いいえ、あなたのじゃない? — ルナ。

二人はため息をつく。


スザンは部屋からガラス窓越しに全都市を見渡す。緑の木々、湖、鳥が風景を飛んでいるのが見える。


ニュー・スカイに着くと、多くの人がいるが、小さなニュー・スカイの墓地のそばには一人だけ、ヴァレンティナがいる。

— ママ!

ヴァレンティナは振り返り言う、

— レオナ、ここで何してるの?

— ママ、いつもここにいるの? — レオナ。

— そうよ、ここにいると気持ちが落ち着くの。でも、授業は?行くべきじゃない? — ヴァレンティナは少し不機嫌そう。

— うん、でも早退したの — レオナ。


ヴァレンティナはそよ風が顔に当たるのを感じながら地平線を見つめる。

— ママ、パパはここにいるの? — レオナ。

— いいえ、あなたの父は普通の人間が行けない別の場所にいるの。


レオナは黙っている。

— ママ、またあの男の人の夢を見たの。彼は死だと言ったけど、私のことが好きだって。怖くないの、一緒に遊ぶの。どうしたらいい?ママ。

— 娘よ、それが嫌でなければ、好きなようにすればいい — ヴァレンティナは微笑む。

— でも、死は悪いものじゃない? — レオナ。

— レオナ、死を悪いものと見ることもできるし、一方で、毎分を精一杯生きるチャンスと見ることもできる。死は終わりじゃなくて、新しい始まりなのよ!

— 私、それ好き。ママ。

— そう、さあ行こう — ヴァレンティナは歩き出す。

— まって、ママ!

— それとね、授業を休んだからお仕置きよ!

— ずるいよ!

挿絵(By みてみん)

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