表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ダメえもんシリーズ

ダメえもん ~もしもBox~

作者: moco

■主な登場人物紹介

ダメえもん・・・未来から逃亡してきたダメ型ロボット。不思議道具でにょび太を支える。

にょび太・・・小学四年生。将来の夢は『遊んで暮らす』の腐れ小学生。


このお話は昭和五十年代をベースに書かれたとお考え下さい。

尚、オリジナルと本編は一切関係がございません事、ご了承ください。


--------------------


「ね~、ダメえも~ん。もっと人生都合よく生きられないかな~~」


こんな事を言い出したのは、小学四年の眼鏡を掛けた少年・にょび太。現在、夏休み真っ最中だ。


「気持ちはわかるけどさ、それならまず先に努力しなよ~」


この家に居候している未来から来た、自称・スーパーロボットのダメえもんがエロ雑誌を読みながらダメ出しをする。


「そんな面倒臭いことしてられないよ~。もっと気楽に、自由に生きたいんだよ~~」


とても未来ある少年の発言とは思えない。


「相変わらずの腐れ発言するよね、君は。親の顔が見てみたいよ。・・・まぁ、そういう願望を叶える道具はあるけどさ」


にょび太の両親とは、毎晩夕食時に顔を合わせているのだが・・・。それはさておき、お腹のポケットに両手を突っ込んだ後、何かを取り出したダメえもん。



「ジャジャジャジャーン! 『人生やり直し機』~~~!」


「え、な、なにそれ!? ・・・どう見ても、釘付きバットにしか見えないんだけど??」


にょび太は顔を引きつらせ、ツッコミを入れる。


「これはね、相手をぶん殴って一度人生をリセットし、来世に期待するっていう必殺道具だよ。来世は異世界の貴族か王族にでも生まれ変われるといいね~」


そう言いながら、ダメえもんは釘付きバットをぶんぶんと振り回す。よく見ると、バットには血痕が所々ある・・・。


「さぁ、覚悟はできたかい? にょび太くん? バース・掛布・岡田のバックスクリーン三連続ぶち込み打法だ!!」


「うわ~~ん、やめてよ、ダメえも~~ん。僕は現世で自由に生きたいんだよ~~」


にょび太が泣きながら拒むと、ダメえもんはつまらなさそうな顔をする。


「なんだい、そうなのかい。それならそうと早く言ってよ。 そういうことなら・・・」


普通は現世のことを指すだろ、とにょび太は心の中で毒づくが、釘付きバットを握ったままなので言うのは止めておく。


「これだ! パンパカパーーン! 『もしもボックス』~~!!」


次いで取り出したのは、ゴーグルのような道具だ。どっからどう見ても、今で言う『ヘッドマウントディスプレイ』にしか見えない。


「もしもボックス? どう見ても、ゴーグルにしか見えないけど・・・」


にょび太の指摘には耳を貸さず、ダメえもんは道具の説明を始める。


「ふっふっふ、この道具はね。こうして頭に取りつけて寝転ぶと、別の世界の住人になれるんだよ。もうそこでは色んな事がやりたい放題なのさ」


「へ~、なんでも!?」


にょび太が感心を示すが、ダメえもんは既に別世界へ旅立ってしまったようだ。


「・・・うへへ、ぐへへ。ええチチしとんの~、ワレ」


「ちょっとちょっと、ダメえもん! それ僕の為の道具でしょ! ってか、一体何してんのさ、このダメロボット!」


急いでもしもボックスを取り外すと、ダメえもんはハッと我に返る。


「めんごめんご。ってこんな感じで、この道具は依存性が高いから気を付けて使ってね。あ、あとこの付属品を使えば更に高みに登れるよ?」


そう言って、差し出して来たのは何やら透明の液体が入った注射器・・・。どう見ても、怪しいク〇リにしか見えない。


「・・・そ、それはまた今度にするよ。じゃあ、この道具早速使ってみるね!」


さすがに、注射は本能で断ったにょび太。もしもボックスを取り付けて、早々に仮想現実世界へと旅立っていく。


―1時間後―


「・・・僕は正義のスーパーヒーローだ! こい、悪人ども! 僕がやっつけてやる!」


初めのうちは、少年らしく正義のヒーローになって大活躍しているようだ。


―数日後―


「また大当たりだ~~! まいったな~。こんなにお金あっても使い切れないよ~~。どうしよっかな~~」


今度はギャンブルで大儲けしているようだ。先日のヒーローはどうしたのであろうか?


―更に数日後―


「言う事聞かない愚民は見せしめだ~~。ははは、見たまえ。人がゴミのようだ!」


また暫く経つと、次は独裁者になったのであろうか? どこかで聞いたような台詞を放っている。

こうしてにょび太は来る日も来る日も仮想現実へとのめり込み、そしてやがて・・・


―夏休み最終日―


いつまで経っても止めないので、もしもボックスをダメえもんが強制的に取り外す。


「あれ? ここは? もう少しで赤毛の友と一緒に、全宇宙を手に入れるところだったのに」


某英雄伝説に出て来る登場人物のような台詞を言うにょび太。何故か、宇宙統一を目指していたようだ。


「いつまで経っても止めないから、強制的に終了させたんだよ。もう、夏休み最後の日だよ?」


「へ?」


ダメえもんの言う事がすぐに理解できないのか、壁に掛けられたカレンダーを見る。そこには8月31日の文字が。


「え“―――――!!」


こうしてにょび太は慌てて宿題に取り掛かるが当然間に合わず、翌日は先生にこっぴどく怒られるなど、自由のツケを払わされたのでした。


おわり

現在、連載小説「隻眼浪人と茶髪娘、江戸を翔ける!」も手掛けています。

こちらもぜひご覧になってください。(ブックマークやコメントをもらえると励みになります。)


https://ncode.syosetu.com/n9182ie/

Nコード=N9182IE

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ