あの人色の空(原案)
その日空は蒼く透明で、夕方にはとても美しい藍色になっていた。
「あ、この色は何色なのだろう」
藍子は思った。
藍子には想い人がいる。
酷く固い職業についていながらも藍子と一緒にいる時は柔和に笑ってくれる。
藍子の想い人が言うにはそれは藍子のおかげらしい。
藍子は空を見上げる。
ふとその空が藍子の想い人の笑顔と重なった。
藍子は色見本のホームページを検索するのを止めた。
「この空はあの人の色ね」
藍子は空を見上げるだけで柔和な笑顔になれた事を少し誇りに思えた。
その日の空は深く蒼く蒼くなり、そして漆黒になっていった。
2022年02月25日
夕方の美しい空に感謝