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私服組と制服組


 小学6年、ちょっと早い思春期を向かえた俺は、少々頑張りお嬢様やお金持ち等が多く通うお洒落系大学付属の有名私立中学を受験し、見事合格した。


 高い学費と、そこそこ難関な試験の為、普公立のうちの小学校から受験をし且つ合格したのは俺だけだった。


 これで……俺の事を知る者はもういない。

 誰も知らない新たな場所で俺は中学デビューを目論んだ。


 そして【可愛くてお金持ちの彼女】を見つけて、あいつらを……見返してやるって、俺はそう思い意気揚々と入学に望んだ。


 まずは入学にあたり、いけてる俺を目指すべく髪を校則ギリギリまで染め(校則はかなり緩いが金髪は駄目)、眼鏡をコンタクトにし、私服で通う事にした。


 この学校は入学式や卒業式等の式典以外の服装は自由。


 俺は出来うる限り最高のお洒落をして学校に通う事にした。


 そして……それは、俺の浅薄なその考えは直ぐに頓挫する。


 そう、この学校の大多数の生徒は、お金持ちか良家のご子息ご皇女ばかりだ。


 周囲は生まれてからずっとお金に困る事なく、良いものを食べ、良いものを着ている輩達。


 つまりは、お金で洗練された手練れだらけなのだ。


 私服を着て学校に来ている輩の服装は一見派手ではない。しかし私服で登校している奴らの着ている服は有名ブランドものばかり、しかも当然毎日同じ服装で通う者はいない。


 少ない小遣いをやりくりし、頑張ってユニ○ロやし○むらやマッ○スハ○ス等で服を買い漁り、一生懸命にお洒落を心掛けても、値段やセンスというハードルを越えられるわけもなく……目が肥えている女子達から嘲笑されている様に感じた俺は直ぐに髪を元の黒髪に戻し、小学生時代から愛用している眼鏡をかけ……そして……制服を着て登校した。


 そう、つまりこの学校には格差があった。


 大多数のセレブ私服組と、少数の庶民制服組、この学校には埋めがたい溝が存在していた。


 とはいえ、どこぞの学校の様に制服組と私服組を分ける様なカリキュラムは存在しない。

 

 私服組が上で制服組が下という様なカーストも見当たらない。


 ただただ、洗練されたお金持ちグループの私服組、そしてそこに入れない少数の制服組という区切りがそこにあるだけだった。


 でも、それでも私服組の彼ら彼女らと、俺とでは見ている景色が違う……いや違うと思わざるを得なかった。


 人間関係を構築しやすくする為、敢えて小等部の無い学校を選んだにも拘らず、私服組同士は既に人間関係が形成されていた。


 聞けば親同士のパーティー等で既に知り合っている間柄だとか。


 差別も区別も苛めも存在はしない、しかし学校内、クラス内の私服組の雰囲気は俺達制服組のそれとは違っていた。


 和気藹々とセレブな話をしている私服組、会社経営をしている親同士の交流、パーティー、海外旅行、そして都市伝説でしか聞いた事のない社交界なんて言葉が飛び交う。


 そんな会話に俺達庶民が入れる筈はない。


 そう、この学校はその私服組達の閨閥、いわゆる政略結婚の場となっていたのだ。


 そんな婚約者まがいのカップルが、うじゃうじゃと闊歩していては、万が一にも俺の入る隙間は皆無だった。

 

 それを知った時、自分の軽佻浮薄な考えでこの学校に来てしまった事を俺は激しく後悔する。


 しかし今さら学校を辞めても親に払って貰った庶民にはかなり負担になるであろう入学金や学費が還ってくる事はない。


 とりあえず3年間は我慢するしかない……俺はそう思い諦めていた。



 しかし、俺はそのまま中学3年間を過ごし、尚且つ高等部に進学してしまう。


 何故ならこの学校には、非常に気になる女子が居たからだった。


 そしてその人はその後俺の運命の人となる。


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