ハイボールとコークハイ
勢いで書いた感じです!
└( 'Д')┘ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛酒と焼き鳥!!
「とりあえず、ハイボールとコークハイ」
「いつも通りやね!」
俺四季島 春はカウンターに座ると同時に、お酒を注文した。もうこの店には2年ぐらい通ってる。
奥さんが、暫くして注文したお酒を持ってきてくれた。
「はい!ハイボールとコークハイ!それとコレが付け出しの鶏皮ぽん酢ね!」
そう言ってジョッキに入った、ハイボールとコークハイを渡してきたので、ハイボールは俺の前に、コークハイを隣に座る彼女黒桜 櫻子の前に置いた。鶏皮ぽん酢は、それぞれの前に奥さんが置いてくれた。
「それじゃ、乾杯!」
「乾杯♪」
俺と櫻子は冷えたジョッキを軽くぶつけ合い、勢いよく飲んだ。冷えたジョッキに入ってるハイボールは、俺の渇いた体目掛け、喉から一気に染み渡る感じがした。クゥーッと俺と櫻子は目を瞑り、顔を少し歪ませ、染み渡るお酒を味わった。
「ねぇ春、喉が渇いても、少し我慢した甲斐が有るね♪」
「だな。この染み渡る感覚は、いつ味わっても最高だな!」
俺と櫻子は幸せを噛み締めるようそう言って、再びジョッキを傾けた。
体も喉も潤した俺は、付け出しとして出された、鶏皮ぽん酢を1口食べた。美味い! 鶏皮のクニクニ感とネギのシャキシャキ感が食感として楽しいし、何より噛めば、鶏皮から僅かに出る脂身が甘く、それをぽん酢が引き立たせてより甘みが増してるように感じる。
俺は口に入れた鶏皮を飲み込み、駆け込ますように、ハイボールを流し込む勢いで飲んだ。鶏皮の甘みとぽん酢の酸味が、ハイボールによって綺麗に流されたが、俺の口は再び鶏皮を求めてた。
やばい……鶏皮&ハイボールのループが成立してしまった。ふと、隣を見ると、櫻子も同じような感じらしく、お互いの飲み物は無くなりかけてた。
俺は櫻子に2杯目を聞き、声を出した。
「すいません!」
「はい!何にします?」
「ハイボールとコークハイそれと……ねぎまの塩と、つくねにぼんじりと櫻子は何がいい?」
「私は……ねぎまのタレと、レバーに期間限定の月見つくねで……あと!スライストマトお願いします」
「ちょっと待っててね!」
注文を聞いた奥さんはメモしてた紙を店主に渡し飲み物を作りに行った。店主は、そのメモを見て台下の冷蔵庫から串に刺さった肉を取り出し焼き始めた。炭火焼きだからなのか、時折聞こえるパチッパチッで炭が爆ぜる音が聞こえる。
「それにしても、トマトって珍しいな?」
「普段は、頼まないからね。私には、ちょっとした験担ぎみたいな感じだし」
「ん?仕事で何かあったのか?」
「後で、ちゃんと話すから」
そう言って、残り僅かなコークハイを一気に飲んでた。
俺もそれにつられて、残りのハイボールを飲みきった。
注文した焼き鳥が届くまで俺達は、職場の愚痴や最近の事、それと今度どこ行くかとか他愛もない話をして来るのを待った。
暫くして、注文してたのが届いた。
櫻子は俺の前に置かれたてる、ねぎまをチラチラ見て来てた、俺はそんな視線にクスッと笑みがこぼれ、1本をぼんじりの皿に置き、スッとねぎまを櫻子の前に持っていった。この店は2本1組だからこうやってシェアもできるのだ。
目の前に置かれたねぎまを見て、嬉しそうにしてた櫻子は、俺の前にタレのねぎまを1本載った皿を置いて、俺が置いた塩のねぎまを食べてた。
俺はタレ付きのねぎまをひと口食べた。もちろんネギとももを一緒にだ。口に入れた瞬間タレの甘みが口に広がり、それを調和するように、ネギの甘みと、ももの肉汁が溢れてきた。ネギは表面はしっかりとした歯ごたえだが、噛めばネギの中心から柔らかい部分がニョキっと飛び出てきた。コレがまたネギの味が濃縮されてて美味い!
俺はねぎまを味わってたらふと、櫻子との事を思い出した。
そう言えば……櫻子との最初もねぎまだったんだよな……
櫻子と初めて会った日、俺は仕事で色々あり少しイライラしてた時に、偶然この店に訪れたのだ。その日は店も混んでて偶然横に櫻子が座ってた。
その時の彼女は、今どきなのか、串から外して食べてたのだ。
何時もなら、なんとも思わない俺も、その日は何故かその行動が許せなくて、話しかけてしまった。結果……言い争いになり、その日はムシャクシャした事は今でも覚えてる。ただ数日経って、申し訳ない気持ちになってた。それから俺は、彼女に会ったら謝ろうと思いこの店に通い始め、何度かして、彼女を発見して謝った。
その日からちょくちょく会ったら話すようになり、飲み友になって去年恋人になった。
ある意味ねぎまのお陰で、俺たち付き合えたんだよな……
「何しんみりとした顔で食べてるの?」
「ん?いや……なんか懐かしいなって俺と櫻子が初めて会った日とかを、思い出してたんだ」
「そ……そう……」
そう言って、櫻子は酔ってるのか、少し顔を火照らせ、俺から視線をズラしてコークハイを飲んだ。飲み終わった櫻子は再び俺の方を見て、真剣な面持ちで見つめてきた。
「ねぇ、私達付き合って1年過ぎたよね?」
「ん? そう言えば、1年過ぎたな」
「その……私も、そろそろいい歳だし……最近春が真剣に考えてくれてるのかその……気になるというか……」
「あぁ……それについては、ちゃんと考えてるから」
俺はそう言いながら、スマホを探すフリをして、鞄を漁り始めた。
「ちょっと! 人が真剣に話してるのに、何探してるのよ?」
「ちゃんと聞いてるから……おっ!あったあった」
俺は、話を軽く流してると勘違いして、ムッとした顔で俺を見てくる櫻子の前に、そっと小さい箱を置いた。
置いた瞬間、それを見た櫻子はいきなり固まってしまい、動かなくなってしまった。
「ちゃんと考えてるって言ったろ?」
「え?……今……ここで?」
そりゃこんなタイミングで、こんな形で渡されるんだから、普通は困惑するよな。
「ん~色々考えたんだけど、やっぱココが良いかなって思ったんだよな。だって、この店で俺達知り合ったし色々節目になるきっかけって、この店だしさ」
「そりゃ……そうだけど……なんか……意外だなって思って……」
「なんでだよ?」
「春の事だから、夜景の綺麗なホテルで赤い薔薇を部屋に散らしてシルクのベッドで愛の告白をするのかと……」
「そこまでは考えつかなかったな……俺的には赤い薔薇の花束と共にって考えもあった」
「うわぁ~それなら今の方が何万倍、何億倍もマシだよ」
俺の赤い薔薇の花束を聞いて、ひき気味に顔を歪ませてると思ったら、そのまま瞳に涙が溜まっていき、鳴き始めた。
俺はそっとおしぼりを渡し、泣き止むまで待つことにした。
ただ……このままだと、空気も重いと思った俺は、冗談混じりでねぎまを持ってこう言った。
「まぁ、俺と櫻子もこのねぎまのように、一緒になって、良い家庭作ろうよ」
俺がそう言ってニカッと笑うと、櫻子は、少し赤くなった瞼からおしぼりを外し、テーブルに置いた。そのまま俺のねぎまを奪いさり、食べた。
「ダサ! こんなプロポーズされるとか、私だけじゃないかな?」
そう言いながらも、嬉しそうに微笑み返す顔は、俺が今まで見てきた笑顔で1番輝き、嬉しそうで、とても幸せそうにしていた。
そして俺達は、ただの客同士から、飲み友を経て恋人になり、そして夫婦になった。