忍者〜為〜
素早い身のこなしと数々の術。手練の忍びとあらば、たちどころに部隊の1つも壊滅せしめる。だがしかし、忍びとは戦が起きる前に敵将を伐ち、戦わずして勝利を納める者である。潜入こそ忍びの真骨頂。屋根裏、軒下、庭の茂み、暗がりがあれば何処へでも。
今日も又、里の為に任務遂行する忍びあり。
闇に溶けているかのような気配の無さ。夜というものは、この忍びが創り出しているのかもしれない。
そんな忍びに、いとも容易く近づく影。誰しもが経験のある耳障りな音。痒くてたまらん《蚊》のおでまし。暗がりに潜んでいる所へ来られたら、たまったもんじゃない。しかし、そこに居るのは手練の忍び。『飛んで火にいる夏の』である。
潰した蚊を払うと、手に残る跡と血を見つけた。忍びは何処も痒くない。こうなると、この赤い点は誰のかは分からない。今まで気にも止めなかった事だ。潜み・忍び・吸えるモノを吸う。そうやって生きながらえた証は、音と痒み。何の為か、そこに理由は無い。それが生きる術なのだ。
疎ましい。只それだけの理由で、いとも簡単に叩き潰される命。幾度となく溶けた夜の中、雲の切れ間から漏れる月明かりに手を映し想う。嗚呼この虫は私と同じなのだ。
あぁ 喜劇にしようと思ったのに…
以前このキャラクターで長編にチャレンジした筈
手帳よ イズコ 伊豆湖←変換の妙 何処