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幕間其の二

 アロイス王の腹心イーゴンの技能は戦闘に関する技能、項目しか分からないが、強さを見るだけなら十分に役立つ能力である。アダムはひとりだけ飛びぬけていた、彼はすべての技能が最高値なのだ。


 一方のディティはLv.20だ(これは他の勇者も同じであった)。格闘術、槍術がLv.25と高いものの、その他はまばらだ。とにかくアダムと比べるまでもなかった。


 しかし、ディティは自信満々である。


「(彼我の実力が分からぬのか……?)」

 イーゴンは疑問だった。Lv.20はアダムと比べれば低く見えるが、一般的に実力者しか到達できない。それくらい強いのなら気づきそうなものだが、と考えていたのだ。


 イーゴンのことはさておき、肝心の試合である。アダムのストレートパンチが、ディティの顔面を襲う。筋力があり速度は並みのボクサーでは出せない一流のパンチだった。彼の格闘術の技能がこれを可能にしているのだ。


 食らえば死ぬこともあり得るだろう。そして到底かわせそうに思えなかった。

 

 だが、当たらなかった。


 一瞬でディティはアダムの目の前から消えたのだ。


「!?」

 アダムも自分の実力に自信がある。まさか回避されるとは思わなかった。しかもディティは彼の背後にいつの間にかに移動してさえいたのだ。


 青年は、初めて恐怖を感じた。これから身に起こる事態を想像してしまったからだ。

 彼の後頭部は砕かれた。ディティの拳は鉄球のような一撃を放ったのだ。その威力はアダムの一撃を軽く超えていた。


「おお!!」

 訓練場内からどよめきが起きる。凄惨な攻撃だ、悲鳴にも近い声も聞こえてくる。ただ、それでもアダムは耐えていた。頭蓋が割られ、内側に破片がめり込み血が噴き出していようとも彼の強靭な肉体がぎりぎりで踏みとどまらせていた。


「おらよ」

 ディティは容赦がない。彼女は自身の手刀を彼の首に斬りつけて、なんと見事に切断したのだった。ころころと青年の首が血を転がり、首からは鮮血が噴き出すのであった。


「これであたしが勇者ってことでいいか?」

 王は圧倒的な彼女の強さに言葉を失っていた。隣りのイーゴンは目が見えないので試合の決着が今一判別出来ていない。


 アダムの輝く霊核が消え去ったことは分かっていた。

 通常これは死んだことを意味するが、なまじ彼の能力値を知っているために負けたとは思えなかったのだった。


「はっはー! こりゃすごい。賭けなら負けてたなあ」

 勇者として呼ばれた一人である大柄の男はあっけらかんと言い放った。アダムが死んだこと自体はあまり気にしていない。


「おい、なにのん気に言ってんだよ。お前らは魔王ってやつの一味じゃないかって疑われているんだぜ。王さま、こいつら殺していいのか? 勇者として呼ばれたんだ、暴れる場所くれるんだっていうんなら、暴れてやるよ」


 彼女は楽しそうに拳をゴキリゴキリとならしている。大柄の男は慌て出した、しかし悲哀さはない。どこかユーモラスな雰囲気をまとっている。


「おおい! やめてくれ~!」

「知るかよ」

「そうだ、王様、俺は使えますよ!」

「ほう、どういうことが出来る」


 男の目がギラリと光った。

「即座に、兵士たちの身を守り、敵をバターのように切り裂く魔力を込めた武具を作り出せます」

「いくつ造れるというのだ」

「いくらでも」


 男の言葉が嘘ではないかどうかすぐに試される。鉄の武具を彼の前に置かれ術をかけて見ろというのだ。男はなんなくやってのけた。


 手をかざし、魔力を練り込むとすぐに鉄製の武具は上質な職人が選び抜かれた素材を使って作った名品の鎧や槍、剣と変わらぬ性能を持ち始めたのだった。


 彼が吹き込んでいないただの武具と刃を交わしたりすれば、すぐに違いが分かった。数合打ち合っただけで普通の鉄槍はぽきりと折れ、鎧は役に立たない。


「すばらしい!」

 王は激賞した。一国を束ねる者としては個人の強さよりこのような集団に役立つ能力のほうがはっきりと利益として見込めるのだ。


 勇者が病気になれば戦闘力が下がり、替えが効かず一大事だが、魔術の武具は元気な兵士に配れば良い。魔王との戦いは何も勇者だけに負わされているわけではなく、王国軍も駆り出されて今も前線で対峙している。


 この能力があれば飛躍的に戦力が強化されるのだ。アロイス王はほくほく顔だった。

「なんでえ、つまらねえな。これじゃ殺せそうにねえ」

「おいおい」

 冷や汗をぬぐいなら男はディティの言葉に反応していた。


「お

長くなってしまいました。しかし、半分にすると短すぎる気がするので悩むなかの投稿でした。

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