矢野誠子の証言
矢野
私が犯人です。間違いありません。
尋問官
殺害の動機は?
矢野
信二は私の彼氏です。付き合ってました。もうお察しでしょうが、彼の浮気が原因です。それも浮気相手が私の妹でしたから。彼は何度か私の家に遊びに来ました。その時、妹がいることもありました。姉妹で同居しているのです。詳しくいつからということは言えませんが、彼は浮気をしているのではないかと思うようになり始めたんです。だから、彼の携帯を見たり、尾行したり、いろんな手段で調べてました。そしたらある日、妹とデートしているところを目撃してしまったのです。だから、悔しくて。憎くて。それで殺しました。
尋問官
どのように殺害したのですか?
矢野
呪い殺しました。
尋問官
呪い?
矢野
はい。ある日、道端の占い師に相談しましたところ、「思いは強ければ、現実すら捻じ曲がる」と言われました。私は呪いこそその思いということではないかと思いました。私は1月11日と12日のちょうど間の0時00分、積もり積もった恨みつらみを込めて藁人形の頭に釘を打ち付けてやりました。神社はS村にある**神社です(のち、捜査の結果実際に藁人形あり)。そうしたら見てください。私もこれでだめなら実際にこの手で殺してしまおうと思いましたが、そんなことしなくても死んでしまいましたよ。呪いに本当に力があるとは思いませんでしたよ。
尋問官
なぜS村だったんですか?
矢野
呪いの方法はサイトで調べました。私が見たサイトには「生と死は密接な関係にある。死をもたらしたい人物がいるならば、その人物が生を受けた場所で呪うのが良い」と書かれていました。彼がS村の出身であることは知っていましたから。
尋問官
被害者の遺体の発見場所がS村だったのはご存知ですか?
矢野
あら、そうだったの。やっぱり生と死は密接なのね。
追記
上記の藁人形に使用されていた釘は、非常に大きいものであった。藁人形の頭部を貫いていた。また、神社から事件現場までの距離を考えると、移動時間は徒歩で20分、走って10分であった。