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非情な世界

 重い足を上げ、上る。上る。


 今、階段を上る。ほの暗い石の螺旋階段。明かりは松明のみ。後も先も見えない階段を上る。


 にわかには信じ難い、感情が追いつかない。


 壁伝いに階段を上がる。触る石の感触、伝う水。

 微かに聞こえる風の音に心臓の音が早くなる。


 石階段を上りようやく開放的な場所に出た。空一面に広がる夜空はまるで異世界だった。


 甲冑に身を包んだ兵士に連れられ、歩み出す。一歩一歩躊躇いもなく、踏み外すこともなく、寿命を削っていく。

 木の板はギシギシと不気味な音をたて、遂に、遂に、









 遂に、断頭台に首をかける。


 心做しか血の匂いがしたが、やはり気のせいだろう。


 そこには満天の星々が何知らぬ顔で輝いていた。


 なんでこうなった?


 鋭い刃が振り下ろされる瞬間、死が直前に迫ってくる感覚が体を蝕んだ。


「俺は、死にたくなんかないっ」


 絶対死ぬものか。生きて、生きて、生きて、生き抜いてやる。



 次の瞬間、小早川春人(こばやかわはるひと)の視界は黒に遮られた。



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