Stage1:退屈な城
人生はゲームだ。
世界の全人種にはそれぞれ生まれ持った役割が与えられている。
その役割を果たす為に人間は生きなければならない。
例えば雑魚兵が勇者にはなれない様に、勇者もまた雑魚兵にはなれないのだ。
※※※
「だから、やっぱり豚は人間には慣れないんですよ、それに気付けない勘違いな人が多過ぎ!特にこの業界(芸能界)を目指してくる子は!」
お昼のバライティー番組のコーナー内で中年男性のタレントが熱く語っていた。
自身が子役から現在に至るまでの苦労を知っている為か、妙な説得力と迫力があるのだが、他の共演者達は苦笑いを浮かべている。
「アチッ」
事務所の休憩室に設置してあるテレビを横目に購入したコーヒーを恐る恐る一口啜るとやっぱり熱かった。
あ、紹介が遅れました。
俺の名前は山田翼。20歳。
身長は183cmで、体格はジム等で鍛えているのでそこそこ。
日本人の父親と、当時付き合っていたフランス人の愛人との間に出来て産まれて、ソッコー捨てられたのが俺らしい。(父親談)
そんな父親が社長を務める都内某所の芸能事務所で仕事・・・と言っても対した事はしてなくて基本雑用係。
同時に事務所系列の芸能専門学校の方もたまに見ている。
仕事なんて何でも良かったし、所詮、只の暇潰し。
自称ゲーマーの俺にとってクリア出来ないクエストなんてないのだ!
ー・・・とまぁ厨二っぽい俺の自己紹介はこれ位にして。
程良い温度に下がったコーヒーを一口飲みながら、片手に携帯を持ち出し、ゲームアプリのアイコンをタップする翼。
「Hi!」
突然、背後から発音の良い声で挨拶を掛けてくる女性の声。
振り向くとそこには、長身と焦げ茶のロングヘアー、スレンダーな体のラインがより際立つパンツスタイルな服装に、目鼻立ちのハッキリした色白でハーフ顔の女性。
街中を歩けばパッと目を引く独特な雰囲気が内側からも溢れている。
一瞬振り向いてはまた直ぐに、携帯の方へ視線を戻す翼。
画面ではゲームアプリ内のログインボーナスの文字が浮かんでいた。
「ー・・・なんだエリナか」
「まーたゲームぅ?翼ほんと好きだねー♪見た目カッコイイのに日本のオタク?みたいな事してるー♪」
時折、不慣れなカタゴトの日本語を交えながらクスクスと茶化す様に笑うエリナ。
「ゲーム好きと見た目は関係ねーよ」
翼はエリナの方を見ずに携帯画面に集中していた。
「あ!そう言えば♡じゃーん!この度、エリナ♡ファッション雑誌、Daybreakの専属モデルになりましたぁー♡初登場で表紙でーす♡20歳記念♡」
鞄から取り出した雑誌にはキリッとしたクールな表情でポーズを決めているエリナの姿。
「・・・聞いた事ない雑誌だけど何処の?」
「木村編集長のとこだよー!パパが知り合いで紹介してもらったの♡あ、もちろん初版20万部は買い占めて貰うアフターケアつき♡」
「ふーん・・・エリナは相変わらずだな」
「Thank♡」
エリナからウィンクと投げキッスを貰ったが翼はそれに対してはリアクションせず、再び携帯ゲームを続けた。
付けっぱなしのテレビからは司会者の一段と力強い声量でコーナー紹介の台詞が響く。
「さーて!続いてはメイク詐欺動画で再生数300万回!YouTuberのミトンさんです!まずこちらの写真をご覧下さいー!実はなんと・・・同一人物なんです!いやぁー驚きのメイク技術ですねー!」
「整形無しでもここまで女の子は変われるぞ!って言うのを伝えたくて日々研究しましたぁ~」
「私、こーゆー女キラーイ」
エリナはテレビ画面を見るとクスッと見下す様に告げた。
「ん?ああYouTuberか、時代の流れだよなー」
翼も釣られる様にテレビ画面を見た。
「幾ら磨いた所でチープな宝石は1カラットのダイヤモンドの輝きにも勝てないじゃん。どっちにお金掛けてプレゼンするなら、とーぜんダイヤモンドでしょ」
「うーん、まぁそれも一理あるけど、全ての商品が同じダイヤモンドだけだとつまらなくないか?そこにあえて違う商品を加える事で人は好奇心で食いつくし話題性も出るじゃん」
「それってつまり奇形って事?」
「そこまでは言ってねーって」
呆れるように溜息混じりに告げる翼。
「sorry♡」
口を手で隠しながらクスクスと笑うエリナ。




