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プロローグ 二人の馴れ初め
何本か書いてますが、短編的なのははじめてです。
少しでも楽しんでもらえれば嬉しいです。
「魔王!今日で貴様の命も終わりだ!」
薄暗い広間に響き渡る男の声。
声の主はこの世界の勇者だ。
部屋の奥にはこの城の主たる勇者の敵・・・魔王が玉座に座っている。
「よかろう!勇者よ!今日が貴様の命日だ。」
そう言って玉座から立ちあがり、いままで被っていたフードを脱ぎ捨てる。
それと、同時に薄暗い部屋に火の玉のような灯りが灯り辺りを照らした。
「いくぞ魔・・・えっ・・!?」
「来い勇・・・・ふぇ・・!?」
お互いに勢いよく駆け出そうとしたときに、はじめて互いの顔が見えた。
そして、互いに驚きの声をあげて止まってしまう。
勇者は魔王に見蕩れてしまった。
綺麗な長い銀髪と、透き通るような緑の瞳。そして、見事なプロポーションに落ち着いた佇まいに。
魔王も勇者に見蕩れてしまっていた。
短い金髪と、高い背丈。そして、整った顔立と力強い瞳に。
二人は時間を忘れて見つめあう。
そして思った。
((なんて、素敵なんだろう。))
この日、勇者と魔王は恋をした。