表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アーツ・ホルダー  作者: 字理 四宵 
第九章 剣精の修行 その二
84/200

9-3

間もなく、僕は攻撃の精度が落ちるのを自分で感じはじめた。防御一辺倒の時より、攻撃をしてかわされるほうが、息が上がるのが早い。

肩で息をするようになると、余計に攻撃が当たる気がしない。一方の剣精は、涼しい顔をしている。


「剣精は・・・」

「ん?」

「全くミスをしていない気がします」


自分でも子供っぽいと思い、ずるいという言葉は飲み込んだ。

僕の言葉を聞くと、剣精は意外という顔で考え込む。


「うーん、そうか? 自分では、数手前はああ動けばよかった、とかいつも考えているんだが・・・」

「ええ・・・でも、僕との手合わせで挽回不可能な状況には、なったことがないですよね」

「それはそうだ」


当然、という顔でうなずく。


「動き・・・というか、行動に揺らぎがなく、ミスにならないところを、見習いたいんですけど・・・」

「うむ、難しいことを言うな。それを教えられれば、苦労はないのだ」

「やっぱり、そうですよね」


妙に納得をしてしまう僕だったが、剣精は話を終わらせなかった。


「レイルは、チャンスだと思って攻撃をする瞬間、頭が真っ白になっていないか」

「えっ? まぁ、そういわれると・・・」


心当たりはある。戦闘の経験が少ないからか、隙を見つけたらすぐに攻撃に移ってしまいがちなのは、自分でも気づいていた。そして、その行動が剣精の反撃の餌食になりがちだということも。


「かわされた後のことを考えて、二手三手後の行動をイメージするだけで、隙ができにくくなる」

「二手三手、ですか・・・」


剣精は軽く言うが、実際は判断と想像の繰り返しだ。なかなか思考が付いていかない。


「大丈夫だ。お前なら、できる。賢い子だろう」

「はい・・・」


理由は明確ではなかったが、深く突っ込んでもみっともない気がして、僕はそれで納得することにした。


「訓練中も、頭を使って戦う癖と、相手の動きを思い出す癖をつけておくんだ。そうすれば、いずれずっと勘で戦うやつとは大きな差ができる。相手のアーツや技を破るきっかけにもなる」

「技を破る・・・」

「今は、引き出しをたくさん身に着ける時期だ。そのためにも、私を含めて色々な動きをよく観察するんだ。いつか、それが次のアーツに結びつくかもしれないぞ」

「アーツ・・・そういえば・・・」


僕は、常々疑問に思っていたことを口に出す。


「剣精は、アーツを持っているんですか」

「ん? その質問は・・・あまり、よくないな」


剣精は、自分の唇に人差し指を当てる。


「アーツを持つということは、危険に晒されることでもあるからな。アピールしたり、組織に属していたりしなければ、秘匿にしておく人も多い。うかつに聞くものじゃないぞ。デリケートな話題だと思ってくれ」

「・・・わかりました」

「そして、答えはイエスだ! 私はもちろん、とびっきりのアーツを保持している」

「えっ、この流れで答えるんですか」

「私に一体なんの危険がある。暴きたければ、かかってこいという感じだな」

「うーん、確かに、剣精に襲い掛かってくる人は少なそうですね」

「うむ、寂しい限りだ」


そう言って、剣精は木剣をぶらぶらとさせる。こちらを、何度かチラチラとみて、何かを気にしているようだ。


「・・・」

「どんなアーツなのかは、聞かないのか」

「どうせ、答えてくれないでしょう。それこそ、デリケートな話題ですからね」


にやっと笑って、僕の髪をぐしゃぐしゃにする。


「他のデリケートなことなら、答えてやってもいいぞ、ほら、言ってみろ! 男子なら色々あるだろう」

「え、いや、急に言われても・・・」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ