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アーツ・ホルダー  作者: 字理 四宵 
第七章 軍部と闇
62/200

7-3

「僕は、城ではどう振るまえばいいでしょうか」

「うむ・・・私がなるべく矢面に立つようにするが、必ず君にも言葉が振られるだろう。その時は、変に上手く答えようとせずに、感じたままを言ってくれ」

「それで、軍部の人間への対応は大丈夫なんでしょうか」

「ああ。つまり、我々は君を信頼しているということだ」

「・・・わかりました」


信頼されていると言ってもらって、僕は少しうれしくなった。


「君が来たのが早かったから、少し時間に余裕があるな。・・・そうだ、忘れないように言っておくが、登城の際は制服着用だからな」

「制、服・・・?」

「あぁ。会うことはないとは思うが、王族のいる城に入るんだ。ちゃんとした格好をしなきゃならない」


「いえその、制服なんてありましたか。皆が着ているところを、見たことがないんですが・・・」

「む・・・? そうか、レイルはまだ式典や会議をしたことがなかったか・・・一応、存在するぞ。めったに着る機会がないから、自分のロッカーに置いている人間も多いが、な」


コボル警備長はおもむろに立ち上がった。


「ちょっと待っていてくれ。新品のものがあるか、確認してくる」


そう言って、部屋から出ていく。部屋に残った僕は、椅子に腰掛けて待つ。

数分後、コボル警備長は何着かの制服を持って戻ってきた。自分も制服に着替えている。手に持った制服とは違い、コボル警備長の制服にはいくつかの階級章がついている。


「探してきたが・・・男物の一番小さいサイズなんだが、それでも大きいな・・・ちょっと、合わせてみろ」


僕は腕を伸ばして、コボル警備長の持つジャケットに袖を合わせてみる。コボル警備長の持っている制服は、どれも一回り大きかった。


「合わないな・・・」

「もともと、年齢が・・・ですからね」


僕は正式に入隊する年齢よりも、2歳ほど年をごまかしている。


「よし、ちょっと待ってろ・・・」


再び、コボル警備長は席を外す。

戻ってきたときには、また同じようなジャケットを持っていたが、見た感じでは一回り小さいようだ。


「女性隊員用のジャケットを持ってきたぞ。ボタンは逆だが・・・サイズが合わないよりはいいだろう。後で誰かに付け替えてもらおう」

「え? このジャケットって、女物なんですか」

「ああ、男物は合わないからな・・・しょうがない」


僕が制服の袖を持って眺めていると、事務の女性が入ってきた。


「失礼します。警備長、書類の追加を・・・」


気づいた僕は、黙って会釈をする。


「む、やはり細部が男物と勝手が違うな・・・」


警備長は服に夢中で、女性が入ってきてことに気づいていないようだ。


「僕、女物なんて着たくないですよ」

「いいから、我慢するんだ。ほら、着たらお城に連れて行ってやるから」

「・・・」


事務の女性は、黙って戸を閉じて出ていった。


「ん? 今、誰かがドアを開けたか?」

「閉じたところです。事務の方が、出ていったんですよ」

「・・・今のを、見たのか」

「今の? ええ、見たんじゃないでしょうか」

「な! ま、待ちたまえ!」


コボル警備長が立ち上がる。コボル警備長がこんなに慌てる表情は、見たことがなかった。

ドアを開けたが、すでに廊下はもぬけの殻だった。SSLともなれば、事務の人の足も速いのだろうか。


「・・・いかん、城に行く前なのに、私の政治力が薄れている」

「? どういうことですか」


僕の質問には答えず、コボル警備長は立ち上がった。


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