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アーツ・ホルダー  作者: 字理 四宵 
第七章 軍部と闇
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7-2

「本題、ですか」

「ああ。今までのは、ついでみたいなものだ。単刀直入に言うと、軍部から出頭の命令が出ている。私と一緒に、王城へと向かってほしい」

「出頭・・・? 僕が、何かしましたか」


慌てて、コボル警備長仁問う。


「レイル。出頭とは、必ずしも悪い意味ではないよ。そこまで怖がらなくてもいい」

「そうですか・・・。でも、訳あって呼ばれるんですよね? 僕には、心当たりがありませんが」


僕の言葉を聞き終わらないうちに、コボル警備長は笑い出した。

僕は、意味が分からずに口を閉じる。


「心当たりがない・・・か。それはまいったな。いい機会だ。君は、自分がどれだけ噂になっているか、認識しておくといい」

「僕が、噂に?」

「ああ。君は、大黒猿の群れの襲撃から一人生き延び、私にスカウトされ、SSLへと入り、アーツの可能性があると噂されるなか、剣精に直々に武を教わっている」


言葉を区切るたびにコボル隊長の顔は徐々に険しくなっていき、話し終えた時には、口角はもはや水平線の下だった。


「そして、この度のこの報告書だ」


コボル警備長は、さっき僕がサインした書類を叩いた。僕のサインが飛び上がる。

ため息をつくと、コボル警備長は僕の目を見ながら、頭を抱える。


「噂になっているのは、SSLだけではない。少なからず、軍部が興味を抱いている。・・・無理もないことだがな」

「興味・・・ですか」

「ああ。・・・確か、君は軍が嫌いといっていたような気がするが」

「軍を嫌いだったのは、父です。僕は・・・よくわかりません」

「そうか。では、一つ、くだらない・・・一生知らなくてよかったという知識を教えよう」


コボル警備長は、悲しそうな顔で苦笑する。


「興味を持つということは、必ずしもいい意味を持たないということだ」

「・・・?」


僕が上手く理解できなかったところへ、コボル警備長は言葉を続ける。


「軍が興味を抱くのは、どれくらいの味方となるか・・・ではない。どれくらいの敵になりうるかということだ」

「敵・・・? 敵って、僕は、この国の人間ですよ」

「ああ。もちろん、軍もそれを知っている。若い才能が現れ、自国民にアーツ・ホルダーが増えるというのは喜ばしいことだ。だが、彼らは宝が手に入った瞬間に、無くした時の損失を考える連中なんだよ」

「損失、といいますと」

「・・・つまり、君が他国に行ったり、アーツを売ったりする可能性だな」

「そんな・・・」


ようやく、コボル警備長が口の中で含ませている軍部へのイメージがつかめてきた。


「すんなりと理解するのは、なかなか難しいかもしれないが、疑うのが仕事という職業もあるんだ。そして、これから君が行くのは、そんな連中の住む場所だ」

「・・・なるほど」

「よし・・・王城めぐりは楽しいことばかりじゃなさそうというのは、わかってくれたな」


僕は頷いた。


「若いうちから政治の嫌な部分に触れさせたくはないのだが、国から給料をもらっている以上、こういうことは避けては通れない。君にも、覚悟を決めてもらいたい」

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