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アーツ・ホルダー  作者: 字理 四宵 
第五章 剣精の修行
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剣精の修行 -8

「大丈夫だ、女と違って男の裸なんて減りはしない」

「なんですか、そのよくわからない理論は」

「上だけ! 上だけだから、お願い!」

「上だけなら・・・あ、触らないでください! 自分でできますから!」


よくわからないやり取りの後、僕は上半身だけ裸になった。


「ああ、寒いんだったな。火を増やそう」


そう言って、剣精はかがり火を持ってきてくれた。温かくなったのだが、余計に明るくなって、少し恥ずかしい。


「それで・・・脱ぎましたけど」

「よし。それでは、もう一度さっきと同じように薪を割ってみろ」

「? わかりました」


言われたとおりに、再び手刀にマナを集めて薪を割る。当たり前だが、同じような結果だ。


「よし。では私が同じようにやるところを見ておけ」


めったにないんだぞ、と念押しをしてから、剣精は薪の前に立ち、僕と同じように手刀を構えた。・・・だが、似通っていたのは構えだけだった。

力みなくとった構えから放たれた手刀は、静かに薪を切断した。刃物を使ったような切れ味で、そこには何の抵抗もないように見えた。

反論の余地のない明確な結果に、僕は言葉も出なかった。


「同じ手刀で、どうしてって顔をしているな」


無言でうなずく。


「単純な話で、私の方が早くて力が入っていたからだ。とはいっても、筋力の差ではないぞ」

「マナの使い方ですか」

「ああ」


同じような構えで手刀を出した僕と剣精の、何がそこまで違っていたのだろうか。実感がわかない。


「よし、まずは構えるところからやり直しだ。切る直前のところまでやってみろ」

「はい」


言われたとおりにする。


「この状態で、主にマナが集まっているのが手刀だな」

「はい」

「では、ゆっくりと振り下ろしてみろ。薪に当たる直前で止めろ」


言われたとおりに、ゆっくりと手刀をおろす。


「自分の筋肉の、どこが動いたかわかるか」

「腕・・・ですか」

「違うな。もう一回、筋肉が動く場所を意識してやってみろ」

「はい」


三度目の動き。今度は、僕にも剣精の言わんとしていることが分かった。


「肩、です」

「そうだ。手刀を繰り出すとき、腕はほとんど動かない。手をカバーするために多少のマナは必要だが、他に振り分けたほうがいい場所がある」


そういうと、剣精は木刀を僕の肩にあてる。


「まずは肩。そして、腰だ。手刀に集中させすぎるよりも、そっちにマナを振ったほうが効果が高いな。やってみろ」


僕は頷いて、肩と腰にマナを集中させる。そのまま先ほどと同じように手刀を振ると、確かに速度が上がっているのが実感できる。

剣精の方を振り返ると、満足げにうなずいていた。


「マナを使うと、一時的に筋力が増える。だからこそ、動作の中で筋肉がどう使われるか意識することが大事だ」

「はい」

「肩と背中だけではない。もう一度ゆっくりと振り下ろして、自分の筋肉の動きを確かめてみろ」

「そのために、裸になったんですね」

「そうだ。服を着ているよりも、わかりやすいからな。後は、他の人の動きを見るときも、可能なら筋肉の動きを参考にするといい。マナの振り分け方の参考になる」


僕は言われたとおりに手刀を振る。肩、腰以外にも、背中にもマナを振ったほうがよさそうだ。


「言っておくが、私は脱がないぞ。そこまでのサービスは無しだ」

「だ、大丈夫です」


ニヤニヤと笑う剣精の方を、なるべく見ないように言った。

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